人気ものまね芸人3人が、ものまね界の今後について不安を口にしました。
7月10日(日)放送の『ボクらの時代』は、ものまね芸人のJPさん、ミラクルひかるさん、ホリさんが登場しました。
いきなり松本人志×今田耕司×YOUの鼎談に
今年1月、『ワイドナショー』(フジテレビ)で、新型コロナウイルス感染症の濃厚接触者となった松本人志さんからTwitterで指名され、代役を務めたことで、一気に知名度を上げたJPさん。
ホリ:明らかに、「ブレイクタレント」って感じするじゃん。
ミラクル:うん。
ホリ:去年とかは、ミラクルが、結構、広瀬香美さんとかYouTube系というかさ、SNSでとにかくバズりまくっていたわけじゃない。
JP:はいはいはい。
ホリ:それで、ミラクルの流れで(仕事に)呼んでいただけることとかあって、めちゃくちゃ助かって。今年は、JPがハネてくれてる。
ホリさんとJPさんが、今田耕司さんと松本人志さんのものまねを披露すると、すかざすミラクルさんがYOUさんのものまねで参戦。3人は、息の合ったところを見せました。
JP ネタ選びは「誰かがやっていない方」
3人は、ネタ選びについて語りました。
ホリ:JPはさ、こう、意識はしてきたの?自分なりに、作戦は立ててきたの?
JP:立ててきました。やっぱり、「ホリさんがやっているか」「ミラクルさんがやっているか」とかいうのがあるんで、そういう、2人がやらないところをやる。
で、今の時代はものまね芸人の数が多くなって、チョコプラ(チョコレートプラネット)さんとかお笑いの人も算入されて。いろいろ増えたので、自分だけトンと出るのは難しいから、じゃあ、誰かがやってないやつをやろう。そうすれば、セットで出られるとか。
ミラクル:ふーん。
JP:ホリさんが、南海キャンディーズの山ちゃん(山里亮太)をやられたときに、じゃあ、しずちゃんをやれば需要があるかなって。
ホリ:「じゃない方」じゃないけど、こっち(をまねする人)が多いから、(自分は)こっち、みたいなね。
JP:そうそう、そうです。
ミラクル:なるほどな。
JPさんとホリさんは、南海キャンディーズのものまねでトークを展開し、ミラクルさんは「自然にネタに入っていくんですね。感動しちゃった!」と笑いました。
ホリ ものまねは「15秒のCMスポットを作ってる感じ」
ホリさんは、JPさん、ミラクルさんのものまねスタイルを「ストロングスタイル」と称し「憧れる」と打ち明けました。
ミラクル:「ストロングスタイル」って?
ホリ:要は、本当に平場でずっとしゃべっていられるっていうのは、どっちかっていうと、俺は苦手な方なの。
JP:例えば「フレーズを言って終わる」じゃなくて、とにかく目についたものを、ずーっと、1日中その人でいるみたいな。
ホリ:それ、すごいよね。JPなんかは、原口(あきまさ)さんとほら、『ワイドナショー』やってたじゃないですか。
JP:はいはい。
ホリ:あれって、ほとんど台本決めないでやるじゃない?
JP:はい。
ホリ:あのストロングスタイルは、俺じゃ対応できないのよ。
ミラクル:ああ、そう。
ホリ:あんなに俺、ずっとしゃべれない。構成考えたりとか、そういうのは好きというか得意というか…そっちは、もともとあったけど。だから、裏方っぽいのも好きなわけよ。
ミラクル:ああー。
ホリ:もともと、テレビ局で働きたいなとか。まぁ、広告関係で働いてたけど、そういうのも嫌いじゃないから。
ミラクル:なるほど。「広告代理店ものまね」だ!「代理店」だ、もう。
ホリ:そう。「代理店」の感じ。「この人の、こういうところ面白いですよね」っていう。
ミラクル:ポッポッと取って出しで、一口サイズで!
ホリ:そうそう、全部CMスポット。15秒とか30秒とか。
JP:ああ、なるほど、なるほど。
ホリ:「出川(哲朗)さんの、こういうところが面白いから切り取りました」とか「えなり(かずき)くんのこういうところが面白いから切り取りました」っていう、15秒のスポットCMを作ってる感じがずっとある。
ミラクル:逆に、数がないと不安だったりして?
ホリ:そうそう。
JPさんは「そう(ホリさんのように)なりたかったけど、なれなかったんですよ」と、それぞれのスタイルが違いが明らかになりました。
ミラクルひかる ほかの仕事「全然ダメでした」
ホリ:(ミラクルさんに)美容師やってたわけじゃない?もともと。
ミラクル:うん。
ホリ:その美容師のときと、ものまねのときと、共通点はあるの?何か。
ミラクル:……ないです。
ホリ:(笑)。
ミラクル:それでいうと、あの…ほかの仕事をやったときとか、上手くできた方ですか?私は、全然ダメでした。
ホリ:俺は、たぶん、普通にできた。
JP:一切、できなかった。
ミラクル:わはははは。
JP:全部、できなかった。
ホリ:で、しょうね(笑)。
JPさんが「トラック運転したりとか、パン作ったりとかいろいろやりましたけど、一切できなかった。(自分から)ものまね取ったら、ただのボウフラ」と言うと、ミラクルさんも「一緒一緒。だから、そういうやつがストロングスタイルになりやすいのかもね」と分析しました。
ネタ作りは直感「自然と体が反応する」
3人は、SNSの台頭により変わりつつある、ものまね界についても言及しました。
JP:最近は、YouTubeとかTikTokとかTwitterとかありますけど、そこからネタ拾ったりもあります?姉さんは、そのへんは鋭いですよね。
ミラクル:まー、もう、それだけになりましたね、最近。結局、自分が興味あることしか目が向かないじゃないですか。
JP:うん、うん。
ミラクル:無理やりやろうと思えばできるんだけど、無理やりやる必要があるのか?っていう時代でもありますもんね。
ホリ:おお、うん。
JP:言ってる意味は、わかります。
ミラクル:昔だったら、「お前、次のネタどうすんだ?今人気あるドラマの誰誰か誰誰やんねぇと、テレビ出さねぇぞ。それ、レベル低いと次からもう出さないからな」って、言われた世代じゃないですか。
ホリ:言われたね。
ミラクル:今、それがないですよね。
ホリ:例えば、ミラクルは、新ネタ作るときとか、何か意識するの?ピンと来た人をやるわけ?流行ってるからやるの?何なの?
ミラクル:もう、本当に、自然に入り込んできた瞬間が…映像見ていて、発見する瞬間に、自分の口角が(上がって)、体が反応するんですよ。
ホリ:おお、おお。
ミラクル:意地悪な気持ちっていうのもあるのかもしれない(笑)。「ここには、何かある」っていう顔をするんです、自分が。
JP:欲してる、DNAが欲してるんですね。
ミラクル:もうね、「おいしそうなもの発見した」って。
ホリ:餌(エサ)見る感じになっちゃうんだ。
ミラクルさんは「あのね、そもそも私、ケンカ大好きなんですよ。小さいころ、ものまねは好きだったけど、プロレスラーになりたかったんですよ」とぶっちゃけ、続けて「(SNSなどを見ていて)ヤバいやつ出てきたな。これやらないと女が廃(すた)る。このテーマをやったら、お客さんが喜ぶ。何を怖がってるんだ」と、自分の中の闘争心を語りました。
この発言に、ホリさんは「そんなの、天才だわ!そういうのないわ、俺」と感心。
ミラクルさんは「その人を傷つけることは絶対にしたくないんです。絶対的にいじめられっ子を守りたい。だけど、いじめてるやつをボコボコにしたい」と、ものまねに込めた秘めた願望を語り、笑わせました。
ホリ「今のテレビは、政治家のものまねをやらせてくれない」
ホリさんは、ものまねの本質について「自分よりも権力が上とか、上の人をこき下ろした方が面白いって俺は思ってる」と語りました。
ホリ:だけど、今はテレビでやらせてくれない。政治家のものまねって。
JP:そうですね。
ホリ:やったら、「与党の考え方」「野党の考え方」って言われてしまうかもしれないとか。あとは、放送の時期に何が起こるかわからないから、って言われて。
JP:ああ、そうそうそう。
ホリ:ものまね番組とかもそうだし、こういう番組も、ちょろっと声まねをして、言ったことをそのまま言うのはできるけど。例えば政治というか、その内容をいじる方が本当はものまねっぽいなと思ってるんだけど。
JP:うん、うん。
ホリ:まぁ、今はそれをテレビではあんまりやらせてくれないっていうのが正直なところ。
ミラクル:そこねー。局の方が嫌がると、仕事が減るっていう恐怖はありますけど。法律に引っかからないんだったら…。
JP:そうですね。今は、出せるところもたくさんありますし。
ホリ:だから、ライブとかではやるけど。お客さんも、そういう知識があって「あれじゃ、テレビでできないよね」って言うじゃない。
ミラクル:そうですね。テレビという場所が「面白い場所」じゃなくて…何か“清い場所”になっていかなきゃいけないっていうのが、大きな問題なんですよね。
ホリさんは、外国人のものまねなどで身体的特徴を表現しようとすることが「差別してるわけでも、いじっているわけでもないけど、アウトになってきている」と語りました。
ホリ:体の大きい人を、肉襦袢(にくじゅばん)着てものまねするのも、そのうちダメになってくるのかなとか。
ミラクル:なりますよね。
JP:ああ、なるでしょうね。
ホリ:なるよね。
ミラクル:私が思うにね、ものまねもいつか…ダメになりますよ(笑)。
ホリ:(笑)。
JP:(笑)。それ、でも、ホンマあると思いますよ。
ミラクル:そういうことなんですよ。
ホリ:見た目もダメ、だから完コピじゃないと許さないよっていう人も増えてきたわけじゃない。でも、ちょっとデフォルメして、足りないとか、違和感…共感と違和感があるから、面白いと思ってるんだけど。
JP:ズレがね。摩擦が面白いんですよ。
ミラクル:今でいうと、マジョリティとマイノリティの狭間にいるのが…。
ホリ:面白いよね。
ミラクル:それが、ものまね芸人じゃないですか。それを完ぺきにこっち(マジョリティ)に寄れと言われたときに、自分たちのマイノリティが「うわー」ってなるんですよ。
ホリさんは「そこはちょっと、今後怖いなと思うところがある」と、ものまね界の今後について不安を口にしました。
JP「生きていく中で、ものまねを使いながら克服」
一方、JPさんの「ものまねは、原始時代からあるものだから、絶対になくならないと思いますよ」という、仕事としてではない「ものまね」への見解も。
ホリ:声まねとか、見た目のものまねではないけれど、面白いとかいいなとか、憧れた人を自分に取り入れるじゃない。それを僕らが職業にしちゃってるだけであって。流行りの自分のしゃべり方とか、ない?
JP&ミラクル:あります、あります。
ミラクル:ものまねの一種ですよね、それも。
ホリ:そうだと思うのよ。
ミラクル:そうやって、自分の願望みたいなものをネタにぶち込んでるのかもしれないですよね、私たちは。
ミラクルさんが「ギャルになる女の子も、ギャルのものまね」と言うと、JPさんも「一般の人も、実はステルスものまねをやっている。人生を生きてく中で、ものまねを使いながら、どこかで克服していることがあるのに気づいていないだけ」と語りました。
ホリさんも「‟まなぶ“とは、‟まねぶ”こと」と、武田鉄矢さんの言葉を引用し、鼎談を締めくくりました。