井沢(沢村一樹)たちは、テロ計画の黒幕と思われた水島歩の正体が篠田(高杉真宙)だったことに気づく。そのとき、ミハンが加賀美(柄本明)を危険人物として検知した。26年前、映画館で起きた神経ガステロの際に、犯人の息子である歩を救った加賀美は、彼にミハンのことを話していた。
加害者家族ゆえに激しいバッシングに遭いながら生きてきた歩は、ミハンに強くひかれ、この世から犯罪をなくしたいという思いに囚われて暴走したのだ。加賀美がミハンに志願したのも、そんな歩を自らの手で葬るためだった。
加賀美は、拳銃を手に、篠田が入院している病院へと向かっていた。だが、すでに篠田の姿はなかった。
山内(横山裕)は、クラッカーの諏訪(松尾諭)が刺殺されていた篠田のアジトで捜査一課の早川(マギー)らに合流する。
そこで早川は、諏訪が篠田を拳銃で撃ったものの反撃にあって刺殺されたこと、そして小田切(本田翼)の骨伝導ベルトに精巧な盗聴器が仕掛けられていたことを山内に伝えた。無線で香坂(水野美紀)を呼び出し、射殺したのも篠田だった。
一方、小田切は監察官から聴取を受ける。香坂の死で自分を責めていた小田切は、警察を辞める決意をする。
井沢は、服役中の宇佐美(奥野瑛太)に会いに行く。宇佐美は、篠田がかつて生活していた児童養護施設にいたのだ。香坂が宇佐美を訪ねていたのは、弟の歩が生きているか調べるためだった。
宇佐美は、篠田を虐めていたと答えた。が、その篠田が、子どもたちに性的虐待を繰り返していた施設長を殺して、この世の地獄から救ってくれたのだという。井沢は、香坂が篠田に殺されたことを宇佐美に伝えた。「言っただろ、お前は一線を越える」。宇佐美はそう答えるだけだった。
そんな折、ミハンが篠田を危険人物として感知する。篠田は、元傭兵の里谷(高岩成二)と行動を共にしていた。篠田がまだ爆弾を所持していることを知った井沢たちは、彼の行方を追い始めた。
ほどなく、篠田に命を救われたことで彼の協力者となった警察庁秘書課の小宮山(菅裕輔)が、何故か警視庁の警備部を訪れていたことがわかる。小宮山に接触する井沢。すると小宮山は、自分もミハンを支持しているひとりだ、と言って、井沢に篠田からのメッセージを伝える。それは、未完成だった自分の夢を完成させ、井沢の夢も叶える、というものだった。
一方、加賀美は、小宮山が里谷に電話していたことを掴む。ミハンを法制化に導くことが篠田の目的ならば、狙いは法制化の大きな壁になっている南雲元総理(浜田晃)の暗殺だった。小宮山が警備部を訪れたのは、南雲の警備状況を知るためだった。
そのとき南雲は、慧北大学付属病院で、以前ミハンの事件にも関わりがあった医師・益子(近江谷太朗)によるオペを受けていた。病院内に爆弾が仕掛けられていることは助手を務めていた真田医師(猪征大)から益子にも伝えられた。だが益子は、オペを止めれば患者の命に関わるとして、オペを続行する。
現場に駆け付けた井沢たちは、電源盤の中に仕掛けられた爆弾を発見する。爆弾にはトラップが仕掛けられており、南雲のオペに併せて3時間の猶予が作られていた。それは、患者やスタッフが避難するために猶予を生み出すためだった。爆発を止めるには起爆装置を奪うしかない――それを持っているのは篠田しかいなかった。
井沢は、篠田からのメッセージや、彼との会話に思いを巡られ、ある確信を得る。篠田は、すべての始まりの場所――26年前に神経ガステロが起きた映画館で、すべてを終わらせるつもりなのだと。
井沢たちは、指揮車両で映画館へと向かった。だが、その途中で、里谷たちに襲撃される。傭兵として紛争地を渡り歩いてきた里谷は、公安部の曽根崎(浜田学)から架空のテロへの協力を持ちかけられたころ、篠田と出会ったのだという。そこで篠田が歩んできた人生を知った里谷は、彼に賭けてみようと思ったらしい。里谷と激しいバトルを繰り広げていた井沢は、里谷の手下たちを制圧した山内から、先に映画館へ行くよう告げられる。
井沢が映画館に到着すると、客席には篠田の姿があった。そこで篠田は、香坂を殺したときのこと、そして井沢の妻・康子(田山由起)と娘の希(牧野羽咲)を殺害したときのことを話し始めた。
山内と吉岡は、里谷と戦っていた。里谷の圧倒的な戦闘力と、駆けつけた部下たちのせいで劣勢を強いられる山内たち。そこに現れたのが、小田切だった。
篠田は、ミハンのテストケースで起きた冤罪事件について他言しないよう康子を説得したが聞き入れてもらえず、康子と側にいた希を刺殺した。希はそのとき、「お父さん、助けて」と叫んだという。篠田への怒りを抑えられず、銃を向ける井沢。篠田は、額に指を当て、撃てば爆弾を止められ、復讐も完結すると井沢に言い放った。
ほどなく、里谷たちを拘束した山内、小田切、吉岡が映画館に到着する。吉岡は、井沢の凶行を止めようとするが、それを制したのは山内だった。井沢は、激しい葛藤の中、篠田に向けていた拳銃を天井に向けて撃った。篠田は、意図的にミハンに検知され、自ら井沢を挑発して殺させようとしていた。篠田は、最初から爆弾を爆発させるつもりもなかったのだ。
ミハンがテロを企てた男を探知し、それを防いだという事実を残すためだった。「君は僕だ。僕が君だったかもしれない」。井沢は、そう篠田に告げると、「君を赦す」と続けた。
篠田は、罪もない人を殺した自分は罰せられなければならない、井沢は自分を殺していいのだと返すが、もはや彼には立っている力もなかった。篠田の腹部は銃で撃たれた傷が開き、出血で真っ赤に染まっていた。力なく倒れ込んだ篠田に近づいてきたのは、加賀美だった。篠田は、加賀美に抱きしめられながら静かに息を引き取り……。
その夜、ミハンルームにいた小田切のもとへやってきた山内は、篠田のポケットに入っていたという手紙を渡す。その中で篠田は、騙してしまったことを詫び、小田切への思いが嘘ではなかったことを記していた。泣き崩れる小田切。
加賀美は、北見(上杉柊平)に会い、篠田が死んだことを伝えた。北見は、篠田の思いが報われるといいな、とつぶやいた。
早川は、門田(粗品)とともに曽根崎の元を訪れる。門田は、最後の仕事だといって、曽根崎を逮捕した。警視庁を去る門田は、世話になった早川に頭を下げて笑顔を見せた。
井沢は、香坂が撃たれた現場に花を手向けた。「あなたに出会えて良かったと思っている」。井沢は、そうつぶやいた。
その夜、井沢の部屋に、鍋料理の材料を買い込んだ山内たちがやってくる。命を救われた南雲元総理がミハンの実績を改めて評価したこともあり、ミハンの再始動が決定したお祝いだった。
あくる朝、井沢は出勤の準備をする。部屋には、それまでなかった康子と希の写真が飾られていた。そのとき、骨伝導ベルトが鳴った。それを受けた井沢は、これから起こる犯罪を防ぐために再び動き出し――。