フジテレビ・スケート班が取材した動画を毎日配信!Vol.57

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受け、カナダ・モントリオールで開催予定だった「世界フィギュアスケート選手権2020」(以下、「世界フィギュアスケート選手権 」=「世界選手権」)が中止に。シーズンのクライマックスの舞台は失われ、様々な活動も停止する状況になってしまったが、来季までの想いを繋ぐべく、フジテレビ・スケート班が取材した動画が3月23日から配信されている。

シーズン中に放送しきれなかったインタビューや取材動画、特別動画が続々と登場。フジテレビュー!!でもその内容を紹介していく。

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今回は「フジテレビフィギュアスケート担当アナウンサーがフィギュアスケートについて語る動画」第3弾の後編として、引き続き、“スーさん”こと鈴木芳彦アナウンサーと大村晟アナウンサーが登場。

前編では、「中国の勢いがすごい」と2019-20シーズンのペア競技を振り返り、また、日本の三浦璃来(みうら・りく)&木原龍一(きはら・りゅういち)組の活躍を語り合った2人。

後編は、大村アナからの質問を機に、鈴木アナのカップル競技への思いを深堀りしていく展開に…。

鈴木芳彦アナ × 大村晟アナ カップル競技への愛を叫ぶ

大村アナにとって鈴木アナはフィギュアスケート実況の「師匠」

大村アナ:実況の時の資料とか、それこそアイスダンスの先生たちの勢力図みたいな、ああいう情報は「どうやって調べているのかな」と。

鈴木アナ:僕はね、アイスダンスに関しては、2006年の「全日本選手権」から実況していたんですけど、2007年の「世界選手権」ですごく勉強したんですよ。解説の宮本賢二さんに教えてもらって。

公式練習日の朝6時から夜11時まで、2日間か3日間くらいずっと2人でいたの。そこで、各アイスダンスカップルの練習を見ながら、全部教わったの。「どういうところを見るんですよ」「どういう距離感がいいんですよ」とか。とにかく解説者が、教科書みたいなところがありましたね。

そして大村アナの言う「勢力図」を「これでしょ?」と取り出したのは、こちらの企画にも登場したオリジナルのレジュメ。

鈴木アナ:シングルと違って、アイスダンスとペアというのは知らない人たちがたくさんいると思うので。そうすると、誰がすごいのか、どのチームがすごいのか、どういった技をするのか、どの先生についているのかを1組1組調べていくと、勝手に(コーチの名前が)出てくる。

カップル競技を知らない方々に伝えるためには、「相関図」を我々がわかっていた方がいいと思うんですよ。この人たちはいつも表彰台に乗る人たちですよ、この人たちは常に世界のトップを取っている人たちですよ、とか。そいういう「相関図」=「世界の構図」というものを伝えたいなって思って。

ペアは逆にね、「どこどこ門下生」で伝えていなくて、技で伝えてますね。どういうパフォーマンスを持っているチームなのか、とかね。ジャンプがある分、わかりやすいところがあるんで。

カップル競技の真髄は「2人で」というチームワーク

大村アナ:スーさんは、ペアの中ではどの要素が一番好きなんですか?

鈴木アナ:ペアは僕はね、スロージャンプなんですよね。

男性が女性を投げるようにして跳ぶ「スロージャンプ」

大村アナ:いいですよね~。

鈴木アナ:自分のタイミングじゃなくて、お互いに呼吸を合わせて跳ばなくちゃいけないでしょ。男性の投げる方も呼吸を合わせなきゃいけないし、女性もそうだしね。僕はスロージャンプ、すごく好きです。見ていて、2人の気持ちが合ったか?合わなかったか?ずれてしまったか!?とか、そのあたりが楽しめる要素ですね。

大村アナ:そこですよね、カップル競技の真髄って。

鈴木アナ:そうそう、やっぱり「2人で」という、チームワークですよ。大村くんは、好きな要素ある?

大村アナ:僕もスロージャンプに注目はしてるんですけれど、リフトとか。やっぱり、シングルとアイスダンスにはない「派手さ」というところでは、リフトには注目しますね。本当にあの、スピンじゃないですけど、僕ら絶対できないじゃないですか。上にも持ち上げられないし、上に乗ることも僕らできないですし。

男性が女性を持ち上げる「リフト」

鈴木アナ:それを氷の上でやってるわけですからね。そのすごさをもっと感じてほしいですよね。

日本のアイスダンスを新しいステージに導いた「リード姉弟」

鈴木アナ:ペアは迫力という面で、シングルを男女で一緒に滑るとどんな迫力を生み出すのか、どんなドラマを生み出すのかという競技だと思うんですけど。アイスダンスに関してはね…。

そこで「アイスダンスの良さってなんですか?」とよく聞かれるという鈴木アナが「伝え続けたいプログラムがある」と切り出す。

鈴木アナ:これは大村くんにも覚えてほしいし、動画をご覧の皆さんにもぜひ覚えていただいて。アイスダンスファンにこれからなる人たちにも伝えてほしいなと思っているんですけれども。一つ例を挙げさせてもらっていいですか?日本のアイスダンス界をずっと引っ張ってきてくれた「リード姉弟」!

「リード姉弟」は、鈴木アナがアイスダンスの実況を始めた2006年の「全日本選手権」でデビューし「自分のアイスダンス実況の歴史は、リード姉弟を伝え続けてきた時間だった」と振り返る、姉のキャシー・リード選手と弟のクリス・リード選手で結成されたカップル。今年の3月、クリス選手の訃報を知らされ「ショックを受けた」と鈴木アナ。

鈴木アナ:彼らは、日本アイスダンスを新しいステージに導いてくれた存在だと思いますし、新しい日本のアイスダンスを世界のリンクに刻んでくれた存在だと思います。永遠に語り継がれるべきカップルだと思います!

クリス選手はその後、村元哉中(むらもと・かな)選手ともカップルを結成し、日本のアイスダンス史上最高の成績を収めてきたことを挙げ「クリスさんは偉大なる功労者だと思っていますし、彼がいたこと、そして今はお姉さんのキャシーさんも指導者として頑張ってくれていますけれども、リード姉弟の歴史を伝えることはすごく大切なことだと僕は思っています」とアツく語る。

アイスダンスの魅力を伝えるために語り継ぎたいプログラムとは

「ファンの皆さんにはリード姉弟で新しい時代が来たことを覚えていてほしい」と、アイスダンスの魅力を伝えるプログラムとして、とても分かりやすい彼らのプログラムがあると紹介する。

鈴木アナ:2009-2010シーズンのフリースケーティングの“映画「天使と悪魔」より”というプログラムがあるんですよ。これは、実際に僕、キャシーさんから直接どの要素にどの意味があるのか聞いたんです。2人だからこそ、わかりやすくなる演技。キャシーさんが悪魔の役、クリスさんが天使の役を演じています。

鈴木アナが初心者にも分かりやすく解説

と、実際の演技の映像を見ながら鈴木アナが一つ一つのエレメンツで何を表現しているのか、演技のストーリーを解説していく。「2人だからこそ魅せられる、ドラマチックなプログラムなんですよ」と言う言葉に大村アナは感心しきり。

鈴木アナは「こんなにわかりやすいプログラムはなかなかない」「アイスダンスを初めて見る方にも絶対に見てほしい、最初に見てほしい」と、そのプログラムとリード姉弟の魅力を語っている。

時間いっぱいまで語りつくした鈴木アナだが、まだまだ伝えたいことがあった様子。最後は大村アナと「カップル競技、盛り上げていこうね!」と誓い合う。

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