フジテレビ・スケート班が取材した動画を毎日配信!Vol.59
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受け、カナダ・モントリオールで開催予定だった「世界フィギュアスケート選手権2020」(以下、「世界選手権」)が中止に。シーズンのクライマックスの舞台は失われ、様々な活動も停止する状況になってしまったが、来季までの想いを繋ぐべく、フジテレビ・スケート班が取材した動画が3月23日から配信されている。
シーズン中に放送しきれなかったインタビューや取材動画、特別動画が続々と登場。フジテレビュー!!でもその内容を紹介していく。
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フジスケの公式Instagramに寄せられた、フィギュアファンの“見たい!”映像集が実現!
今回も、フジテレビスケート公式インスタグラム「フジスケ動画で見たい映像」 に寄せられた、多くのリクエストに“応える”企画の第2弾、 「見たい!動画」 リクエストアンサー編Vol.2 をお届けする。
今回は、本田真凜選手の2019年「全日本フィギュアスケート選手権」(12月18日~22日、以下「全日本選手権」)のショートプログラムまでをインタビューを中心に振り返っている。
2018年からアメリカを拠点にしていたが、2019年7月のインタビューでは、ある“変化”が…。
本田選手:去年は、日本に帰って来た時は練習時間が朝4時から1時間貸し切り、一人か、兄妹が付き合ってくれるときもあって。時差の調整などもあまりうまくいかなかったので、今年はそこをちょっと変えたいなと思いまして。拠点を変えるのではなく、試合があるから日本で練習しないといけなくて、(本田)武史先生に(日本滞在時のコーチを)お願いして、良い練習がしたいなという感じで、今年はできればいいなと思っています。
一つ一つの試合や毎日の練習を大切に頑張りたい
本田選手:試合でのメンタルが、去年一年やってみて「本当に弱いな」と感じたので、そこをもっと自分に自信を持つために、ミスのない演技がコンスタントにできるようにしたいなと思います。
昔の「何でもうまくいく」「何でもできる」という貯金が今はゼロで、だからこそ普段の生活から一つ一つの行動や、練習からも、一つ一つのジャンプの前に、自分が何を目指しているのかなど、どういう練習がしたいのかというのを考えるようになりました。
今、すごく大事な踏ん張りどころだと思うので、一つ一つの試合や毎日の練習を大切に頑張りたいなと思っています。
2019-20シーズンの目標、テーマはシンプルに「頑張る」と掲げた本田選手。
2016年の「世界ジュニアフィギュアスケート選手権」で、日本女子6人目の金メダルを獲得するなど、 いろいろなことが上手くいっていたノービス・ジュニア時代。しかし、2017年の「全日本選手権」では五輪への切符を逃して涙した。
2018年2月のインタビューでは「上手くいかないことが続いて、自分に自分がついていかない感じです。このまま妹たちの期待にも負けるわけにはいかないので頑張ります」と誓っていた。
やりきったと思える練習を心掛けている
2019年、「全日本選手権」直前に国内の試合に2週続けて出場し、本番へ照準を合わせた。
「全日本選手権」直前の12月10日のインタビューでは…。
本田選手:日本にいるときは、練習時間が早朝か深夜かになってしまっているので、その時間を大切に、体をしっかり朝でも夜でも動かせるように心がけてやっています。
そして、ここ数年の苦悩についても言及する。
本田選手:昔の感覚はゼロに近いくらい何もなくて。新しい身体というか、心もそうなんですけど、全く別の人という感じ。それが良くも悪くもなんですけど。
一時期は、去年や今年の最初ぐらいもそうなんですけど、練習をやってもやってもどうしたら跳べるのか、跳べていてもなぜ跳べているのかがわからなくて。身体的にもいろいろ工夫して、もうちょっと軽い方がいいのかっていう風にして、ジュニアの頃よりも身体的には状態が良くなっていても、滑ってみると上手くいかなくて。どうしたらできるようになるのか、すごく苦しかったんですけど、最近は楽しくできています。
――貯金はゼロという話でしたが、今の貯金はどのくらい貯まりましたか?
本田選手:昔の貯金というのは、本当にもうないです。今も貯金してるというよりは、そんな余裕もないので、貯めたらすぐ使うという感じです(笑)。
今年はたくさんの方に自分の演技を見てもらいたいという気持ち
――まもなく「全日本選手権」ですが、怖さはありますか?
本田選手:ないです。それはなくて。去年は本当に「嫌だ」って感じで、「延期にならないかな」とか、考えてたんですけど (笑) 。本当にそれくらいジャンプが分からなくなっていて。どうすれば跳べるのかとか、昔みたいに「試合になったらできる」という気持ちも全くなくて。できることなら隠れてこっそり一人で演技をしたいという感じで。
でも今年は、たくさんの方に自分の演技を見てもらいたいという気持ちでいるので、その気持ちを大切に、思いきり演技をして、やっぱり笑いたいというか。その気持ちが大きいです。
――今季の目標「頑張る」は達成できていますか?
本田選手:自分で「頑張っている」と思えるうちは本当に頑張っていないというか、頑張り切れていないと思っているので、もっともっとできるんじゃないかなと。「頑張ってるな」って思ってます。だから、もうちょっと頑張れると思います。
楽しくできていますし、本当に何も考えることがないというか、自分のために演技ができると良いなと今年は思っていて。いつも誰かのためにというか、周りを結構気にして滑っていたので、今回は本当に自分のためにやってきたことを出せたらいいなと思います。
――分岐点となる「全日本選手権」を迎えるわけですが、人生の分岐点で、どんな行動をとる傾向ですか。いろいろ考える慎重派?積極的な行動派?
本田選手:慎重にいきます。「そうなんですか?」という感じが自分でもするんですけど、最近はそうなんです。昔は違いました。後のことは何も考えずに、その日そう思ったらそうするって感じだったんですけど。最近はいろいろ考えるようになりまして(笑)。
――それは成長?変化?
本田選手:大人になれたのかなという感じもしますけど、後先何も考えずにノリで決めてきたので、その結果や経験で、スケートだけじゃなくほかの部分でもいろんなことが分かって慎重になったと思うので、今の方が正解な気がします。
――今の自分は好きですか?
本田選手:あんまり好きじゃないです(笑)。昔の方がもっと激しい生き方というか、なんか、いろいろムラがあって面白そうだなっていう風に、客観的に見たら思います。それが自分となるとまぁ大変で(笑)。今の方が落ち着いていて楽です。
――「全日本選手権」はどんな分岐点になりそうですか?
本田選手:本当のことを言うと、結構大事だと思っていて。本当に、スケート人生の分岐点なんじゃないかなと思っています。大きすぎるんですけど、でもそのくらいなんじゃないかなと。
――覚悟はできていますか?
本田選手:それは持てているので、あとは試合でどうなるかというのは本当に自分次第。どう転んでも、そういう人生だというか、そう決まっているくらいの感じで。今できることはやっているので、そういう方向に進んだら、その時はまた考えて。慎重にやっていきたいです。
誰のためでもなく、自分のために、いい演技ができたら
そうして迎えた12月19日、「全日本選手権」ショートプログラム当日。
目標は「思いっきり滑って思いっきりジャンプして思いっきり楽しむ」と語っていた通り、本番では会心の滑りで会場を魅了。「本田真凜の輝き、全日本に帰ってきました!」と、実況の声が響き渡った。
終了後のインタビューでは、演技を振り返っての感想や、演技後に見せた涙の意味を清々しい表情で語るほか、改めて「全日本選手権」への思いも明かしている。さらに、妹の望結と紗来からのキュートな祝福の場面も収められている。
苦難を一つ乗り越えた本田選手の2020-2021シーズンに期待が高まる。
インタビューと感動の「全日本選手権」の模様はこちらからチェック!