イレギュラーとは言え『隕石家族』の後に『犯罪症候群』って、共通点は“タイトル全部漢字!”くらいなんじゃないかという程の落差。
落差という言い方には語弊があるかもしれませんが、『隕石家族』が爆裂ハイテンションで駆け抜けていったドラマだとしたら、『犯罪症候群』はテンション抑えめ…っていうかテンションという概念がないかのようにじっくりジワジワ視聴者をその世界観に引きずり込んでいく…という意味での“テンションの差”。何にしたところで、またしても土曜の夜、眠らせてくれませんよ!
というわけで、この『犯罪症候群Season2』 ですが、もちろん当然“Season1”が存在します。だけど、安心してください!“1見てない”、“覚えてない”方!全く問題ありませんよ!むしろ見てない、うろ覚えの方が、初回の衝撃度は増す!はずです!
もちろん僕はせっかくなので、Season1の全8話、復習しましたよ。そしてSeason1も思い返せば、そりゃあまあ、いろんなことがありました…。
身代金500万円という“小口誘拐事件”、連続若者失踪事件に潜む“戸籍交換”、新たな誘拐事件で発生した“燃えた身代金1億円”…と、この3つの事件だけでなんだかワクワクしてきませんか?“小口誘拐”に“戸籍交換”に“燃えた1億円”ですよ?それに加えて、少年に妹を殺さた“元刑事”(玉山鉄二)、その妹が婚約者だったという“現役の刑事”(谷原章介)、全ての事件の鍵を握る“警視庁の謎の男”(渡部篤郎)という主要メンバーがドラマを担ってて、後半さらに未成年による犯罪被害者が集まる“少年犯罪を考える会”が絡んできて…というてんこ盛り。それがまさか全8話でスピーディかつ濃厚に展開されるのです。
ってついついSeason1も見てくださいという流れになってしまいましたが、やっぱり気になっちゃった方は是非FODにて配信中なので、オンエアまでに見終える自信がある方のみ!ご鑑賞ください。
とはいえ「Season2だけ見て話わかるの?」と心配な方、妹を殺された元刑事も、今回の主人公である婚約者を殺害された現役刑事も、警視庁謎の男の謎具合も、ちゃんとさりげなく劇中で紹介されるし、前作ではエッセンス程度だった“少年犯罪を考える会”についても今回から大きくお話が動き出すので、事前情報なし、もしくは最悪このレビューを読んでいない方でも、面白さに何ら影響することなく、新ドラマとして普通に楽しむことが出来ます。“シーズンものあるある”の、「ここで終わんのかよ!」って感じで逃げ切ってのそのままシーズン2突入パターンではありませんので、どうか僕を信じて下さい。
じゃあ『犯罪症候群』ってタイトルがちょっと…どんなドラマなのかわかんないし…わからないと見る意欲がわかないわ…とか言っちゃう、僕みたいなタイトル気にしがちな皆さん!ご説明いたします。『犯罪症候群』、それは犯罪を起こしてしまう“きっかけ”がキーポイントになっています。その“きっかけ”は、この作品の大テーマである“復讐”だけではなく、不幸な境遇、社会への不満、日々の鬱屈など、その大小に関わらず誰しも何かの“きっかけ”で犯罪を起こす危険を秘めている…つまり誰もが「犯罪症候群」である…と、僕はSeason1を見て解釈しました。
その解釈が合っているのか間違っているのかは、視聴した方それぞれが感じることだとは思うんですが、少なくともこのドラマ、先に挙げた3つの事件は、何か大きな事象によって生まれたものではなく、何気ない日常の中に潜む小さな事象の積み重ねによって悲劇が生まれた…ということを丁寧に描いています。だからこそめくるめく事件のエンターテインメントに心踊りながらも、他人事じゃないと恐怖も感じてしまうのです。
さて、なんだか偉そうに解説してしまいましたが、とにかくこの作品は何の先入観もなく、画面で起こる捜査や事件を感じるまま追う、いい意味で気軽に視聴することをおすすめいたします。なので敢えてここにはあらすじは書かず、僕の心情の変遷をお伝えすることにします。序盤から興味深い事件の連続に…怖い怖い!…、これとこれは繋がってるよね、そうに違いない、ですよねー、そうに決まってる…え?違う?なんで?なわけあるかよ!おかしくない??おかしくない!!哀しすぎるわ…って翻弄されてたら最後、「えー!!」ってなります。絶対「えー!!」ってなります。それを体感するためにも、深読みは厳禁なのです。ピュアな気持ちで視聴ください。
…っと言ってしまってはなんだか逆効果になりそうですが、Season1を見ていない、詳しく覚えてない…そんな人こそ、開き直って、まっさらな気持ちでご視聴ください!
最後に「オトナの土ドラ」ファンにお知らせがあります。前々作の『パパがも一度恋をした』をご覧になっていた方。『パパ恋』の思い出はどうか一旦お忘れ下さい。『パパ恋』に登場してた喫茶店のマスター(金剛地武志)が再び喫茶店従業員として登場し、「あ、“パパ恋”喫茶店の人!」って興奮しちゃうのに加え(時系列的には『犯罪症候群』の方が先だけど)、あのトモちゃんのクラスメートの幹太(若林時英)が、とんでもなくやりきれないキャラクターで登場するので、幹太をいい子だ…なんて親目線で見ていた僕は『犯罪症候群』には全く関係のない邪念が入ってしまいました。キャラクターに共感するあまり、ついつい別作品とはいえ、同じ「オトナの土ドラ」というだけで同じ世界線にしてしまいました…ってこれはただの僕の勝手な妄想ですね。申し訳ございません。そして思い出しておきながらなんですが、そのお二方、作品の違いでこうも見え方が違うのか!っていう顔をちゃんと見せてます。乞うご期待。
というわけでたった1話でこの濃度。これ、全4話で終わるんでしょうか?それだけに、またしても充実したドラマおうち時間を過ごせる予感!
text by 大石 庸平 (テレビ視聴しつ 室長)