シンガーソングライターの大森靖子を中心に2018年に結成したアイドルユニットZOCのメンバー、香椎かてぃ、21歳。
アイドルなのにタバコを吸っている写真をSNSにアップし炎上するなど、“我が道を行く”スタイルを貫き、InstagramとTwitterで合計65万人以上のフォロワーを獲得している。
引きこもり、高校中退から一念発起し、玉城ティナらを見出したアイドル発掘オーディションのミスiDに応募。デビューへの道筋が見えたが、彼氏からのDVを受け精神的にボロボロに…。そんなどん底を経験しつつも、アイドルとして巻き返していくまでの歩みを振り返ったフォトブック「新あいどる聖書」(扶桑社刊)が、今年4月に出版されるや、すでに4刷まで重版がかかりアマゾンでは欠品状態になるなど、まさに話題の人となっている。
フジテレビュー!!では、彼女にSkypeでロングインタビュー。本では語られていない、今後の夢や、自分らしく生きるためのコツを明かしてくれた。さらに家族の話をしている時に見せた意外な素顔とは――。
<香椎かてぃ インタビュー>
――「新あいどる聖書」を出版して1ヵ月以上経ちましたが反響はいかがですか?
「(掲載されている私物の)コスメを使い込みすぎてる感じが、かてぃらしいですね」っていうコメントがすごいのと、インスタのタグ付けの量が半端なかったです。
――モノトーンのコーデのページが印象的でした。着こなしのポイントは?
基本、私服は黒か白が多い。地球上でも、白と黒が落ち着く人が多いのでは、と思いますが…。モノトーンのコーディーネートは黒すぎると、喪服にみたいになってしまうので、ところどころ肌を露出したり、チェーンとかも巻いちゃったりして。若い子向けの感じにはなってしまうのですが。参考になればな、という気持ちでした。
――昔からモノトーンが好きだったんですか?
いや、昔は結構レインボーでしたよ。いろんな色を着るのが好きだったんですけど、なんか黒になってしまいましたね。
夜は、黒で出かけたら、見つからないから。昨日も、病み散らかしてしまい、家の前で座ってたんですけど。黒はそういうのがね、バレないというか、いても気づかれないので、好きですね。
ま、なるべく色に囚われないようにしてますね。(ZOCの)メンバーに赤ばっかり着る子がいるんですけど、ああいう感じには、ちょっとなりたくない(笑)。
――髪色もコーディネートに影響しますか?
髪色というか、髪型ですかね。ロングの時とかは、ワンピースもいいですが、ウルフ(なヘアスタイル)でワンピースだと、自分の中で女装感が出ちゃう。金髪だと割と白が多いですね。
アイドルっぽくすると兄にバカにされた日も…自身でコンプレックスを克服
10歳上の兄と、1歳上の兄の末っ子として育ったかてぃ。1歳差の兄とは幼い頃から喧嘩が絶えず、中学生の頃、ももいろクローバーZのかなこちゃん(百田夏菜子)に憧れアイドルを目指す決意をしたかてぃに、厳しい言葉をかけたのはこの兄だった。
――お兄さんから何と言われたのですか?
アイドルっぽくしていると、お兄ちゃんによくバカにされるんですよね。「お前、自撮りすんのかよ」とか「お前なんか、ぶりっ子してんじゃねーよ」とか「お前、ブラジャーつけてんのかよ」とか結構言われて…。ワンピースとか、ちょっと女の子らしいのが、恥ずかしいのもありまして、もうこのままでいいです。
――理想の自分に近づけるために努力していることは?
お母さんからよく「鏡を見ろ」って言われていたんですよ。だから、「鏡を見る」ということは、よくやっています。自分が結構コンプレックスまみれなので。だから、「あそこがもう少しこうだったら」と想像して、それに合うものを徹底的に調べて、改善していきますね。
――一番改善した部分はどこですか?
一番は目が離れてるところです。お兄ちゃんに似てるんですよ、自分が。それが一番イヤで。なるべく努力してるんですけど、やっぱり似てるんですよね。(兄の顔は)岩石みたい(笑)。岩石にならないよう、日々頑張ってるんです(顔にローラーをあてるような仕草をしながら)。
――目が離れている人のメイクのポイントは?
なるべく外にアイシャドウを広げないとか、逆に、つり目の人はつりさせてあげるのも、今っぽいのではと思います。あと前髪(の幅)を逆に広げてしまうとか。それは、割といい感じになりました。
DVを乗り越えた時に聴いていた曲
高校1年の冬に退学し、定時制高校に編入したかてぃは、後にZOCを立ち上げる大森靖子のライブを見に行き、衝撃を受ける。そして、アイドルオーディションのミスiDに応募し、ミスiD2017で大森靖子賞を獲得した。
その後、「大森靖子がアイドルを作る」という誘いを受け、上京。アパレルのアルバイトを始め、新しい生活をスタートさせる。しかし、アイドルのプロジェクトがなかなか始動しない中、初めて付き合った彼氏から頻繁に暴力を受け、ついには、一緒に住んでいた自分の部屋を追い出され、ホームレスになってしまう。
――“底辺が巻き返す”というコンセプトを掲げていると本にも書いていましたが、今までで「これは巻き返せた!」ということは?
やっぱり、いろんな暴力を受けてきたけど、(元彼から受けてきた)DVが一番、自分の中で酷でした。そのDVを終えてのZOCだったので、DVを乗り越えて自分がすごく強くなったような気がします。
――DVをどうやって克服したんですか?
「ZOCが始まりそうだから、別れなきゃ」という気持ちと、いろんな人に「別れろ」って言われて…。周りがいたからかなぁ。
あと、yonigeっていうバンドの曲を聴いたから。「アボカド」とか、yonigeメドレーを聞きながら、朝5時くらいに一人で、千歳烏山から歩いて、(彼氏と住んでいた)自分の家まで行ったんですけど、ドア開けると、部屋には何もなかったっていうのを、(今でも)毎日思い出すくらい印象深いですね。
別れた彼氏が引き上げた部屋には、ブランド品や使える物は何も残っていなかったという。かてぃ自身も、その日に引っ越す予定だったため、慌ただしく片付けて部屋を後にしたという。
そんなどん底を乗り越え、2018年秋、ようやくZOCが始動した。
母親に似て、人に何かをしてあげるのが好き
インタビューでは、異端児キャラとはちょっと違った、母親譲りの一面が明らかに。マネージャーさんも取材に加わり話してくれた。
――お母様はどんな方ですか?影響を受けたところはありますか?
思い立ったらすぐ行動して失敗するタイプ。うち、美容室なんですけど、お母さんは、美容師なのに、送迎するわ、ご飯出すわ、人に物をあげるわ、いろんなことをしていて、そういうところがちょっと似てるなと思いました。私も人に何か物をあげるのが好きなんで。
――かてぃさん自身は、ファンサービスなどたくさんするタイプですか?
そうですね。お客さんに対して、何かするのが好きなので、それは遺伝な気がします。
――(オンラインで同席していた)マネージャーの富永さんも、何かしてもらったことはありますか?
富永マネージャー:一番最近だと、スタバのカードをもらいました。おとといくらいに、ふいにくれました。おごり癖もめっちゃあります。一応私の方が年上なんですけど。
かてぃ:富永さん、うちがアパレル(のアルバイト)の時に、すごいご飯をおごってくれたので、恩返しはしたいという気持ちがありますね。
富永マネージャー:それをはるかにも超えてしまっています。最初は、「ありがとう」って思っていたんですけども、今ではそれを超してしまって、ただただ、ご馳走してくれる人になっちゃって、「どうしよう」という感じです(笑)。
かてぃ:なんか恩はね、大事にしたいと思ってます。
新しい夢は「韓国に住みたい」その理由は…?
――新しい夢ができたとSNSで話していましたが、どんな夢ですか?
全部終えてからになっちゃうんですけど、韓国に住みたいっていう目標ができました。富永さんとやりたいって話しているのは、アパレルや、カフェ、あとスナックも入っていて、一つの建物にいろんなお店が入ってるという…。小学生みたいな夢を持ってます。
――韓国のどういうところが好きですか?
なんか人間らしいと言うか、好きなんですよ。文化も好きですね。あと、韓国はすごくおしゃれで、韓国に私のブランド「CULT」を持っていきたいという気持ちもあります。
――韓国にはよく行くんですか?
韓国によく行くんです。その場でピアスを開けられるとか、自由な感じがすごく好きなので、韓国にいつか住みたいな、という目標というか…。でもZOCが優先ですけど、あと、韓国語を覚えるためにも、行った方がいいかなって思って。
――初めて行ったのはいつですか?
小学生の時に、韓国の女の子が、ホームステイで1ヵ月半くらい泊まり来てて、その子に(韓国に)呼ばれるようになったんですよね。その子も日本が好きで、会うと、カフェでずっと日本と韓国の話をしています。初めて(韓国に)行ったのは、中学生の時ですかね。それからは、月1で行ってました。一人で行くときもあります。
――その韓国のお友達とはどうやってコミュニケーションを取っているんですか?
相手は、日本語がすごくできる子なので、LINEで、「どこにいますか?」みたいな感じで連絡をとって会ってます。
そして、韓国と日本の違いの話をしてます。韓国はこういうの絶対しないみたいな。「日本の人はテンションが高いからすぐ日本人ってわかるよ」とか、「韓国人はテンションが高くてもずっと同じ声の低さで話す」とか、そういういろんなことを知れて楽しいです。
――その夢を実行できるのはいつ頃になりそうですか?
ZOCを終えてからですね。ZOCは何があるかわからないので、誰も予想はできないですね。どこかで爆発して…とか。ワンチャン、明日終わるかもしれない。ギリギリのラインで生きているので。
――ZOCが終わったら、かてぃさん自身はアイドルを続けますか?
やらないですね。ZOCしか自分を受け入れてくれないし、ZOCじゃないとアイドルをやりたくないってくらい、ZOCは好きです。
――今は、どれくらい“底辺が巻き返せて”いますか?
まだ、まだ、今1ロールぐらいです。最近、パフォーマンスをすごく頑張りたいっていう気持ちが、降り注がれていて、ちゃんとアイドルをやりたいなって思います。それで巻き返したいですね。
インスタグラマーだと思われがちなので、「お前アイドルだったんだ」って言われるのを巻き返したいです。
――ファンの皆さんへメッセージや伝えたいことは?
自分らしく生きて欲しいなって、思いますね。本当にみんな、周りを気にしちゃって、自分のやりたいことができてないみたいで、「お母さんがダメって言うから無理だ」とか、「彼氏から『この髪型は似合わない』って言われるんだけど、かてぃちゃん、どうしたらいいか決めて」とか言われるんですけどね。
勇気を持ってね、やってしまったら、何も怖いものなんてないです。勇気を出すのは、最初は難しいかもしれないけど、頑張って欲しいなって思います。
――どうやったら自分らしく生きていけると思いますか?
「自分が楽じゃないと、こんな人生、生きにくくないですか?」って思います。
1回ノーブラで外に出てみるとか。海とかでケツを出すとか。あ、それは犯罪ですけど。切り替えるポイントやきっかけを作ったら楽なのでは?
自分を一番大事と思えば、他人のことなんて、もう気にしないと思います。難しいけど。