松本まりかさんが、2月13日(日)14時~フジテレビで放送される『ザ・ノンフィクション「もう限界かもしれません〜コロナと父娘のラーメン屋〜」』(※関東ローカル)の“語り”を担当します。

コロナ禍で勝負をかけたラーメン店が苦境に!父と娘の決断は?

「もう限界かもしれません」

この一文から始まる張り紙が物議を醸し、話題となったラーメン店があります。

2021年5月、コロナ禍での度重なる休業要請で、苦境に立たされた経営への思いを張り紙で訴えたのは、店主のえつ子さん(35)。

ずっと水商売の世界で生きてきた彼女が、ラーメンの世界、それも激戦区である東京・荻窪で勝負しようと決めたのは理由があるのです。

えつ子さんの父・裕也さん(54)は、居酒屋やキャバクラを展開する飲食店グループを経営する社長。順調に売り上げを伸ばし、事業を拡大していく中、コロナ禍となり、グループの売り上げは10分の1に。

そこで、えつ子さんは、“夜の街”よりも影響を受けづらいと考えたラーメン店を開店したのです。

ところが現実は厳しく、2020年6月の開店以来、ずっと赤字続き。無料サービスを充実させても、新作ラーメンを出しても、客足は伸びません。

父が経営する店も経営難が加速し、キャバクラは休業を強いられ、追い詰められていきます。そこで、父と娘は、大きな決断を求められることに。

出口の見えないコロナ禍の中、飲食業界の現場では一体、何が起きているのか…ある父娘の姿を通して、その実態をカメラが追いました。

今回、“語り”を担当する松本さんは、「共感するところが多かった」とコメント。収録後に話を聞きました。

<松本まりか インタビュー>

――ナレーションを終えての感想は?

このコロナ禍で、飲食店のみなさまが大変な窮地に立たされている、その実状を詳細には知らなかったので、ここまで追い込まれているお店もあるんだというのを目の当たりにして、「ああ、こういうことなんだ」と学ぶことができました。知るべき現状だと感じました。

――えつ子さんは「もう限界かもしれません」というメッセージを店頭に張り出し、SNSでも話題になっていました。知っていましたか?

ネットで拡散されているものを見かけていました。それで、「同情を買おうとしている」などといった批判があるのも目にしていて。コロナ禍での経営危機とは別に、社会的な問題にもなっているSNSでの誹謗中傷もあるのだと知り、とても考えさせられました。

――VTRを見て印象に残っている場面はありますか?

冒頭と最後のお父さんの後ろ姿。あのカットだけですごく感じるものがありました。

えつ子さんとお父さんの絆…絆ってあまり簡単には言いたくないですが、それでも、親子の絆が感じられるところも印象的でしたし、あとは、(従業員の)菊池さん。

34歳にしてお給料をたくさんもらっているわけではない菊池さんが、お給料よりもお店の存続を願うという…。

経営危機のラーメン屋さんでも、そこが生きがいだからなくさないでくれ、という切なる思い。お金がないと生きていけないのは当然なんだけど、お金以上に自分にとって大切なもの、居場所なんだ、というのが伝わってきました。

置かれている立場は違えど、私も自分ごとのようにとらえました。自分が本当にやりたいこと、したい生き方ってどういうことだったっけ?そういうことって、常々感じていないと、ぶれてしまうこともあります。そんなことを気づかせてももらいました。

――改めて、コロナ禍に対する思いを聞かせてください。

たくさんお仕事をもらい、すごく忙しくなったのは、コロナ禍前後からなので、そこからの期間というのは、私の中では結構大きなものなんです。ただ、うれしい悲鳴の中で、そうじゃなかったことも実はすごくあって。

それは、自分にとって大切なものを見失っているんじゃないか、という不安。この2年くらいの中で、何が大切なのか、ということをすごく考えさせられました。

全然仕事がないときとすごく仕事があるときって、180度違うと思われるかもしれないですけど、私はそうではないと感じていて。大事なのは、(どんな状況でも)自分が幸せを感じられるってこと。

たとえすごく成功していてもとても孤独だったら、成功はないのと一緒かもしれない。

コロナ禍で忙しくなる中、そういうことを考えいつも模索していました。忙しくなる前は、そういったことを大事に思っていたのに、環境の変化とともに考える余裕がなくなってしまった。それよりも、やらなくちゃいけないことがあり過ぎて。

でも、大切なものを見失ってしまったら、意味がない。本当の意味で自分は生きることができているのか、大事なものを置いてきてしまっていないか。自問自答する日々だったので、今回のお話はとても共感できることが多かったです。

――改めて視聴者のみなさんに届けたい思いをお聞かせください。

「自分だけじゃない」と、思えるのじゃないでしょうか。コロナで苦しんでいない人は少ないかもしれないですけど、飲食関係などの方々は、より「一人じゃない」と思えるんじゃないかと思います。

今、限界を感じている方はたくさんいると思うんです。でも、よく「乗り越えられない試練は与えられない」と言いますけど、つらくても「自分は試されているんだ」というような見方をして、限界に立ち向かうしかないんですよね。

それと、自分の身の回りだけを守る、自分だけがよければいい、という考えの人もいると思いますが、やっぱりそれは違うと思っていて。困っている方々には、誰かが手を差し伸べてあげないといけないと思う。

じゃあどうしたらいいのか、ってなったら、まず知ることだと思うんです。ちゃんと現状を知って、そのうえで考えていかないといけない。私たちが一緒になって考えていく、それがまず大事なんじゃないかと思っています。

<ナレーションの一部をご紹介>