6月11日(木)23時からフジテレビにてソーシャルディスタンスドラマ※『世界は3で出来ている』が放送される。
主演は林遣都。今回唯一の出演者で、一卵性の3つ子役=一人三役を演じる。脚本は、連続テレビ小説『スカーレット』の水橋文美江、監督は2020年新春に『フジテレビ開局60周年特別企画 教場』を演出した中江功が担当する。
今回、林が演じるのは商事会社勤務・望月勇人(もちづき・ゆうと)、会計士・望月泰斗(もちづき・たいと)、茨城在住の農園経営・望月三雄(もちづき・みつお)。29歳の一卵性3つ子だ。
※リモートで撮影されたドラマではなく、リモートによる打合せと、密を避けて安心・安全な状況下で撮影を徹底したドラマ。
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このたび、そんな林のインタビューが届いた。
<林遣都 インタビュー>
――出演オファーを受けての感想を教えてください。
昨年から今年にかけて、(『スカーレット』の)脚本の水橋さんと(『教場』の)演出の中江さん、このお二人との出会いは自分の中での大きな出来事でした。
もっと水橋さんの描く人間を演じたいと思いましたし、中江組をもっと経験したい、またいつか参加したいという気持ちがあったので、まさかそのお二人で、しかも出演者が自分だけという形で、声をかけていただけたというのは、とてもうれしかったです。
今、いろいろなところで新しい試みでの撮影が行われている中で、映像作品を作る人たちにも、きっといろいろな変化があったと思います。そんな中で、自分が一人の俳優として何をやっていくのか…脚本があって、監督さんやスタッフの方々がいて、普通に演じられる喜びを(今回のお話で)改めて感じました。
もちろん、撮影はソーシャルディスタンスを守ったり、スタッフさんの人数を減らしたりと変わってきていますし、いろいろ守るべきことはありますが、やっていることは今までと変わらず、スタジオにセットを組んでいただいて。
改めて、役者って一人じゃ何もできないんだなと思いましたし、実際にこうして撮影に入ってみても、皆さん(スタッフ・キャスト)が集まってはじめて、ひとつの映像作品が生まれるんだということを感じました。
これからも撮影環境は変わっていくとは思いますが、今自分ができることをやっていきたいなと思いました。
「水橋さんの台本は、セリフが勝手にしみこんでいく」
――その水橋さんの脚本を読んでいかがでしたか?
本当に水橋さんの脚本が大好きなんです。昨年から今年にかけて1年弱、『スカーレット』で一人の人間を作っていただいて、それを演じていて、ずっと感動しっぱなしでした。
水橋さんの見てきたものや、人生観や世界観、笑いのセンス、すべて本当にとても好きで、演じがいがありました。
また、水橋さんが生み出す人間を演じたいと思っていたんですけれど、まさかこんなに早く、しかも3人も書いていただいて演じることができるというのは自分にとっては大きな喜びでした。
今回台本を読んでいて、改めて感じたことは、水橋さんの台本は、セリフが自分の(お芝居の)準備や努力とは別のところで勝手にしみこんでいくというか…それが何でなのだろう、と思ったときに、水橋さんの台本ってすごく“余白”があるんだなと感じました。
今回だと、三人が子供のころにお世話になった近所のラーメン屋さんの若社長の話とか、お母さんのこととか、いろいろな背景がどの登場人物でも、役の上で登場しない人でもしっかり描かれていて。
演じる側がそれを想像してイメージを膨らませて、水橋さんが与えてくださった設定を作り上げていかないとすごく薄っぺらいものになってしまうと思うんです。
かなりハードルの高い台本で、難解なのですが、その作業を自分でやっていくことによって、ひとつひとつのセリフが、本当に自分がこの役をずっと生きて経験してきたかのようにその手助けをしてくれるんです。だからやっぱりすごい台本だなって今回、より強く感じました。
「かなり挑戦的な企画だなと思いましたが、やりがいを感じました」
――一人三役を演じられるということで、事前に気をつけたことなどありましたか?
3つ子という設定には最初驚きましたけれど…とても難しいだろうし、かなり挑戦的な企画だなと思いましたがやりがいを感じました。
演じ方によって、できあがるものがまったく変わってくるな、と感じたので、ひとつひとつ台本を読みながら膨らませていきました。
でも、自分が3つ子を、3人分を演じるので、同じ顔はどうしようもない。撮影期間も短く、入れ替わりながら撮っていく中で、とにかく一人一人気持ちを込めて演じていくことを軸におきました。
見てくださっている人に、掛け合いや空気感で、だんだんそこにいる三人が何となく、気がついたら別人に見えていたらいいなと。精一杯自分の心を込めて演じることでどこまでできるかなって。
――実際に演じられていかがでしたか?
(三役を)入れ替わりながら演じていくのは、僕自身も混乱しました。台本ができてから撮影までの限られた時間で自分がどこまで膨らませられるかということが勝負だと思っていました。
今回の企画で、映像作品のスペシャリストの方たちと一緒にお仕事できたということの喜びの方が大きく、とにかく楽しかったです。あとは自分がどこまで突き詰めていけたか?というところです。
「中江監督は、今までなかなか出会えなかったタイプの監督さんです」
――久しぶりの中江監督の現場はいかがでしたか?
昨年『教場』ではじめてご一緒して、感銘を受けたというか…当時も話していたのですが、中江組の雰囲気、演出…映像作品の現場ってこうでないと、と思うことが多々ありました。
今回もそれをより強く感じました。ものすごい分量と大変な撮影を短い時間で皆さんされていて。そんな現場が自分にとってすごくプラスで、こういう監督の下でもっと演じるべきだなと改めて思い知らされました。
今回、自分なりに準備はしましたが、中江監督が“さあ、どう演じるの?”っていう感じで、どれだけ大変な状況でも俳優力が試されているというか、撮影中にセリフや芝居で失敗しそうになった時に、“中江監督の下で育った役者さんは、たぶんこんなの当たり前にやるんだろうな”っていうのがすごく自分の中にはあったんです。
それがあるので、自分もどこまででもがんばれるというか、やればやるほど結果やできあがりが変わってくるんだなっていうのは感じています。今までなかなか出会えなかったタイプの監督さんなんです。
『教場』の時に印象的だったのは、大勢のキャストやスタッフの方々がいたのですが、誰に対しても分け隔てなく愛情をもって接してくださる。
とにかく人柄がすてきな方なので、今回出演者が1人で、これだけマンツーマンで演出していただけるというのは今後の自分の財産になると思いますし、大きな作品になりました。
――中江監督は、今回のドラマは、林さん以外のキャスティングは考えていなかったとコメントしていましたがどう思われましたか?
あんなにうれしい言葉はないです。でも、プレッシャーでもあります。
――最後に、見どころなど視聴者へのメッセージをお願いします。
今回のドラマは、ソーシャルディタンスドラマという、なかなか挑戦的な試みをしているドラマだと思います。現場も試行錯誤で苦労しながらやっていましたし、僕自身も(放送を見るまでは)どんな映像作品に仕上がっているのか想像ができません。
今の段階でのこの作品の見どころは難しいですけれど、改めて“テレビドラマっていいな”と感じていただけたら。いくらでも想像が膨らむ作品になっているので、僕自身演じさせていただいて、こんなに幸せなことはありませんでした。“またドラマを見たいな”という気持ちになっていただけたらうれしいです。