依頼人との齟齬が発生し、

「俺が話す!」

と、男気を見せた次の台詞が、「殺したのは俺だ…」という主人公(谷原章介)。

娘の見舞いに訪れない母親へ、

「生きる希望が必要なんです!!」

と、訴える本人が息子のために殺人を繰り返すという看護師(手塚理美)。

どちらも最初の台詞は男前だし正論なのに、実際にやってることは全くの真逆、大きな矛盾をはらんでいるという恐ろしさ。

加えて、中盤。主人公が後輩刑事に連続犯の心理について諭す、

「一度でも殺せば、手についた血は消えないんだよ…」

その時の、谷原さん演じる鏑木の表情が!“無感情の向こう側”過ぎて怖い!!谷原さんの真骨頂!!!なんて思った次の瞬間、

「そしたら…もうそれまでとは違う道を行くしかない…」

って悲しみがどうしてもこぼれ落ちちゃう…その表情こそが谷原さんの真骨頂だった!!!っていう…。何秒もないセリフの中で、無感情で怖い!とこぼれ落ちる悲しみを表現するんだからね。むしろそんな風に演じてしまう谷原さん自身が恐ろしいよ。

というわけでついつい今週の注目ポイントを再現してしまいましたが、ご安心ください!第2話、そんなもんじゃありませんよ!!

主人公がなぜ、少年犯罪被害者の復讐を代行する“職業殺人者”になってしまったのか?その理由を、克明に描いていきます。

驚いたのは、主人公がそうなってしまった理由は、“恋人が少年に殺されてしまったから”の一本で、サイコパス化してしまってる…とばかり思ってて、それでもさっき触れた谷原さんの“無感情”が発揮されるし、それを思う存分楽しもう!という心づもりだったのに、このドラマはむしろ、谷原さんの“感情”を美しく引き出すドラマだったのです。

なぜ“職業殺人者”になってしまったのか?いかにして「少年犯罪を考える会」の矢吹(木村多江)と出会ったのか?を、衝撃的な展開と感情が痛いほど伝わる丁寧な描写とで、起伏たっぷりに描いていき、その流れの最後に、鏑木がいかにして殺人者となる“決意”をしたのか?それがわかる仕組みになっています。それはとても残酷で悲しい決意で、到底理解できないはずの感情なのに、鏑木の気持ちが手に取るようにわかってしまう、美しいグラデーションを描くのです。その鏑木と矢吹の二人のシーンは圧巻、必見です。

もしかしたらこの二人は、少し違ったシチュエーションで、何か一つでも不幸な境遇を経ていなければ、お互いの痛みを分かち合える、良きパートナーになっていただろうに…、と思うとすごく辛い気持ちになります。しかもそのシーン、映像の美しさも相まって、見え方によっては大人のラブストーリーの様…なのに実は残酷で悲しすぎるという…。辛すぎる。

しかも、なんだかプロポーズのように放った「殺してやろうか、俺が代わりに…」というセリフがあまりにも残酷で…。ああ辛い。

そしてまだまだ…。今回の見どころ…というより、Season1までさかのぼっての見どころと言ってもいいでしょう。それがキャラクターたちの“目”です。

今回の第2話の前に是非、公式HPトップに映る鏑木の“目”、武藤(玉山鉄二)の“目”を、よーく見ておいてください。そこから感じ取れる“何かはわかんないけど何かある”と思われる、その“何か”が、明らかになります!

…何言ってんのこの人…って思ったあなた!だけどね、それはちゃんとセリフでしっかり説明されるので、とにかく事前に二人の“目”をじっくり見て、何かを感じ取っといてくださいね。それが判明した時、ちょっとゾワっとしちゃったもんね。そしてその“目”について考え始めたら、キービジュアルの真ん中に座ってる渡部篤郎さんの“目”も、相関図に映る木村多江さん演じる矢吹の“目”も、手塚理美さん演じる小島の“目”も…。やっぱり役者さんて凄い!当然だけど、役者さんはここまで“目”で表現できるんですね。改めてその凄さを思い知ることが出来ました。

主人公の悲しい過去がさらに描かれる今回ですが、個人的には手塚理美さんが演じる看護師の小島が見逃せません。様々な出来事や葛藤を経て“決意した”主人公・鏑木に対して、小島は悲しく苦しい現実が今なお“現在進行中”とあって、いつ壊れてもおかしくない…っていうかもう壊れてるそのキャラクターの危うさ、暴走が見ていられなくて…見逃せないんです。それがまた次回、とんでもない展開になるようで…。つまり、やっぱり見逃せない!

text by 大石 庸平 (テレビ視聴しつ 室長)