シリーズ3冊目の著書「真・東海オンエアの動画が6.4倍楽しくなる本 虫眼鏡の概要欄 ウェルカム令和編」(講談社刊)を出版した東海オンエアの虫眼鏡

そして、初めての著書「腹黒のジレンマ」(KADOKAWA刊)を出版したパオパオチャンネルのぶんけい

トップ動画クリエイター・虫眼鏡とぶんけいによる対談前編では2人がお互いの動画にどんな印象を抱き、どんなふうに親交を深めていったのかが語られたが、後編では互いの著書への感想、withコロナがそれぞれの活動にどんな影響をおよぼしたか、そして、20代後半の2人がこれからの活動にどんな予想図を描いているのかを聞いた。

虫眼鏡×ぶんけい 対談前半はこちら!

──虫眼鏡さんにとってはシリーズ3冊目、ぶんけいさんにとっては初めての著書ですが、お互いの本を読んでどんな感想をもちましたか?

ぶんけい:普段から交流があるから、プライベートの生活とかもなんとなく知っているわけじゃないですか。ざわくん(虫眼鏡)は、日常生活でも常にユーモアを忘れない人だなぁと思っていて。ここに移動してくる間も何か楽しい会話をしようと心がけたり、おふざけしたり。さっき、レフ板を持って僕に光を当ててくれたんです(笑)。

そういう些細な楽しさを忘れないところが、ありありと本の中にも詰まっている。世間へ苦言を呈している中でもユーモアを入れて、中和してくれるところがざわくんの武器だし、それがあるからどんな強い言葉や意見でも楽しく読める。自分と違う意見も、すんなりとり入れることができる。そういう言葉が書けることを心から羨ましく思います。

ぶんけい

虫眼鏡:いやいや、叩かれないように逃げてるだけかもしれないですよ?

ぶんけい:そんな人は最初から叩かれそうなこと書かないですもん(笑)。多分、言いたがりなんですよ。

虫眼鏡:つい言っちゃうんだねぇ(笑)。「腹黒のジレンマ」は、まず普通に僕がファンだったので、ぶんけいさんのことをいろいろ知れたのが嬉しかったです。友達になったからといって「高校時代、何してたの?」とか「なんで大学辞めちゃったの?」とか、そんな根掘り葉掘り聞かないじゃないですか?それを知識として知れたことで、今後また一緒にご飯を食べに行った時に、今までとは違った接し方ができるかなっていう表面的なことが一つ。

もう一つは、僕とぶんけいさんは人間のタイプ的にちょっとだけ似てるんですよね。「そうそう!そうなんだよ」って僕が言いたいことを、違う表現で言ってくれてて。その中で「この言いまわしは一本とられた!」って思うこともあれば、「お前、そっち派かよ!」というところもあって。

ぶんけい:ははは!うんうん。

虫眼鏡:だからって、敵、味方で戦うわけじゃなく、意見はいっぱいあっていいと思うんですけれども、彼という人間がこういうところにいるんだっていうのがわかったのが面白かったです。

普段から僕は、「自分の言いたいことをズバッと言うけど、これ全然正解じゃないからね?意見はいっぱいあっていいし、相手を潰す必要はまったくないから」ってことを個人チャンネルでやってるラジオで口を酸っぱくして言ってるんですけど、ぶんけいさんの意見の中に「これは違う」と思うところもあれば、「そうだったんだ!勉強になるから参考したいな」と思うところもたくさんあったので、何回も読み返すだろうな、この本という印象を受けました。

ぶんけい:嬉しいです。確かに、ざわくんの本と交互に読むと口論している気持ちになる箇所があるよね。

虫眼鏡:完全に矛盾してるところもあって。

ぶんけい:両方を読んだ人はパニックになるかもしれない(笑)。そういう意味でも、次はざわくんのエッセイを読んでみたい。ぼくもざわくんの知らない部分がいっぱいあるし、出していない部分も多いと思うので。

──昨今、新型コロナウイルス感染防止のためにイベントやコンサートの中止が相次ぎ、エンターテインメント業界は大きな影響を受けました。この時期、お二人はどんなことを考えましたか?

虫眼鏡:僕はこういう状況下でも、自宅で全部完結できる、僕たちの活動の仕方ならパフォーマンスを100%出せるぞと思っていたので、「今こそ頑張らなきゃダメでしょ。俺らしか頑張れるやついないよ!」という意味で、ちょっとした使命感が出てきたことがプラスの影響でした。家で暇してる人たちが外に出たいと思わないくらい、面白い動画を毎日届けなきゃって。ぶんけいさんはどうでした?

ぶんけい:ぼくが経営している映像会社ではそれほどの影響はなかったんですが、エンターテイメント業界全体としては、芸能人の方とYouTubeの距離が一気に変わった期間だったなと思っています。

ぼくは今、YouTubeを休止していますけど、現役のYouTuberの皆さんにとって何かしら感じることがあっただろうし、もちろん盛り上がったという意味ではプラスだけど、もしかしたらライバルが増えたという意味ではマイナスになった人もいるかもしれない。業界が大きく動いた時期だったなと認識しています。

ぶんけいを呼んでおけば、絶対に面白くなると思われるような人になりたい

――リモート技術の進歩も含めて、今後の映像エンターテイメントの発展を楽しみにしています。最後に、20代のお二人が未来の日本、未来の自分自身に思い描いていることを聞かせてください。

ぶんけい:うわっ、難しい質問だな。

虫眼鏡:じゃあさ、僕が35歳になった時にどうしていてほしい? 

ぶんけい:35か。わりとすぐやな。

虫眼鏡:いやいや全然。まだ7年もあるし。

ぶんけい:だってYouTube始めたの何年前?

虫眼鏡:7年前。

ぶんけい:でしょ?もう1回繰り返したらってことだから……でも、やっててほしい気持ちはある。

虫眼鏡:YouTube?

ぶんけい:うん。今と同じ体力で続けられてるかはわからないけど、できるだけやっててほしいなっていうのと、YouTubeの盛り上げを守る立場であってほしいという気持ちもある。もしかしたら教えるとか、育てる方向にいくのかなとか。それは別に先生に戻るって意味じゃなくてね(※虫眼鏡の前職は小学校教師)。

虫眼鏡:YouTubeの世界の中でってことね。

ぶんけい:そう。それか、YouTubeに限らずエンターテイメント全体に向かって、芸能事務所を立ち上げてるかもしれないとか。多才だからいろんなことをしつつ、YouTubeをやっててくれたら嬉しいな。

虫眼鏡:どうなんだろうね?やってんのかな。微妙だね。

ぶんけい:それは体力的な問題? 

虫眼鏡:いや、多分、僕的にはまだまだ若いもんには負けんぞというかさ。今まで散々バカにされて「お前ら、素人なんだから人気なんて一瞬だぞ」って言われてきたけど、そうでもなかったわけで。

虫眼鏡

だから、そういうことを言った人に対して「ほらみろ」くらいの気持ちもあるけど、それはそれとして味方ですよと認めて、じゃあ、ここからみんなで盛り上げていきましょうとなった場合、どうなるかってことだよね。

社会的に応援してくれるだろうし、もっと大きい市場になって、発展はしていくだろうけど…、強いチームってトップが入れ替わるじゃん?野球チームもそうだけど。

僕たちがいつまでもトップにいたらそれはもうオワコンじゃない?なので、僕としては7年後も人気者でいたいなっていう気持ちもあるし、人気がなくなっていてほしいなという気持ちもある。

ぶんけい:ああ、なるほど。余裕がないとその考えはできへんわ(笑)。

虫眼鏡:それまでに稼ぎきりたいけどね(笑)。

ぶんけい:もう稼ぎきってるとは思うんですけど。

虫眼鏡:いやいや全然。ヒーヒーですよ、もう。

ぶんけい:この前も、動画の企画で競馬に200万円賭けてたもんね。

虫眼鏡:結局、手元に残ったのは34万円(笑)。でもさ、ぶんけいさんの本に「将来、◯◯ですって肩書きを与えられたくない」みたいなことを書いてあったじゃん?いろんなことをやる人になりたいって。そういうことを言ってるぶんけいさんを見て、ズルいなと思った。

ぶんけい:それは自分もそうありたいってこと?

虫眼鏡:なんか、キミだけ少年じゃん?まだ。小6の気持ちっていうか、将来何になろうかなっていつまでも思ってる子じゃん?

ぶんけい:ははは!思うのはタダだけど、実際やるとなると、めっちゃ難しいことだよね。

虫眼鏡:でも、その考えはパクリたいなと思ったことの一つで。僕も、絶対YouTuberじゃなきゃ生きていけないとは思わないし、ここまでやってこれたってことは多分、何かしら得意な能力があるんだと思うから、それを活かしてセカンドライフに何があるかを“?”の状態にしておきたい。そのほうがワクワクするなと思ったので、そこはちょっとパクらせていただきます(笑)。

ぶんけい:カテゴライズせずに仕事をしていきたいっていうのは、つまり「とりあえず、ぶんけい呼んどけば絶対面白くなる」って思われる人になりたいってことなんですよね、何においても。アイドルグループやアニメを作る時に「ちょっと助けてよ」って呼ばれるような人になりたいと思っていて。

何か面白いものを作るために必要な人になりたいっていうのが、結構近いのかもしれない。そうなれるよう、ざわくんとはこれからも仲良く、いろいろ教えてもらいたいです。

虫眼鏡:こちらこそよろしくお願いします!

インタビュー・文: 秦野邦彦