『ゴシップ#彼女が知りたい本当の○○』第2話完全版
瀬古凛々子(黒木華)は、早期退職した山田礼二(生瀬勝久)に代わって、「カンフルNEWS」の編集長に就任する。突然のことに困惑を隠せない根津道春(溝端淳平)や下馬蹴人(野村周平)ら部員たちを尻目に、せっせと編集部内の仕事環境を整える凛々子。
その頃、世間では人気俳優の前橋恵一(武田航平)と元女優の妻・清瀬みさと(清水葉月)の離婚が話題を集めていた。
ワイドショーで「円満離婚」と報じられているのを見た凛々子は、「別れるのに関係は良好。意味がわからない…ザワザワする」と言い出し、主演舞台が初日を迎える前橋の囲み取材に行くことに。
根津たちは、カンフルNEWSが前橋の所属事務所だけでなく、ほとんどの芸能事務所から取材NGや出入り禁止処分をくらっているから取材は無理だと告げる。だが凛々子はまったく耳を貸さず、自ら取材に行って記事も書く、と言って出かけてしまう。
凛々子は、カメラマン役として半ば強引に根津を引っ張って前橋の公演先を訪れる。案の定、凛々子たちは取材を断られてしまうが、前橋のマネージャーが根津の大学時代の先輩・牧紗耶香(秋元才加)だった縁で、今回だけという条件で囲み取材への参加を許される。
ところが、そこで凛々子は「2人の間で性的な結びつきはいつまであったのか?」といきなり前橋に切り出し、前橋だけでなく集まったマスコミ陣をあ然とさせる。
編集部に戻った根津が前橋の囲み取材の記事をチェックすると、どのサイトも凛々子の質問を切り口にした記事ばかりだった。中には「カンフルNEWSの女性記者が前橋恵一にゲス質問」というタイトルの動画ニュースまであった。
そのとき一本真琴(石井杏奈)が思わぬ記事を見つけて声をあげた。「週刊東西」のサイトに、前橋がグラドルと一夜を過ごした、というスクープ記事が掲載されたのだ。この記事を受けて、ネットやワイドショーは、一斉に前橋を非難するようになり…。
何か裏があると感じた凛々子は、根津とともに牧に会いに行き、今回の件は事務所も事前に把握していたのか、と尋ねた。答えられないと返す牧。だが、アプローチしてきたのは不倫相手とされるグラドル・宮島鈴音(大原梓)らしい。深夜ドラマで共演した際に、前橋の大ファンだと言ってやたら積極的だったのだというのだ。
そのとき、カンフルNEWSのSNSアカウントに、鈴音の元カレを名乗る人物から「今回の不倫報道は宮島鈴音の売名行為だ」というタレコミが入る。オンラインでその人物に取材を申し込むと、仕事が上手くいかずに悩んでいた鈴音が、前橋と不倫した時期と一致する半年ほど前に「いい出会いがあった」と言って急に元気になったのだという。
凛々子と根津は、さっそく鈴音のマンションを訪れる。だが、そこにはマスコミ各社も集まっていた。元カレだという男は、カンフルNEWSだけでなく、他社にも情報を流していたのだ。
事態が動いたのは翌日のことだった。鈴音が動画サイトで芸能界引退を発表したのだ。
鈴音のコメントに疑惑を抱いた凛々子は、単身、彼女の所属事務所を訪れる。そこで社長の豪田(鈴木隆仁)と対峙した凛々子は、鈴音が引退することは不倫報道が出る前に決まっており、週刊東西にネタを売るように勧めたのは事務所ではないかと切り出す。凛々子は、「私“は”売名なんて」という鈴音の動画コメントから、他に売名を考えた人物がいると考えたのだ。
鈴音のSNSアカウントにアップされた3ヵ月前の写真に、保育士試験のテキストが映り込んでいたのも凛々子は見逃していなかった。つまり、少なくても3ヵ月前には鈴音の引退は決まっていたが、前橋との関係を知ると、最後に写真集の売り上げを伸ばすために利用したのではないかという。
豪田は何も答えず、部下たちに凛々子を追い出すよう指示した。それでも食い下がる凛々子を、事務所の外階段で乱暴に押す部下たち。階段を落ちかけた凛々子を抱きとめて救ったのは、凛々子のことを心配して駆けつけた根津だった。
だが、助けてくれたことに対する礼も言わない凛々子に、根津は呆れるばかりで…。
その夜、凛々子は、黄実子(りょう)の店を訪れ、助けてくれた時の根津のことを話す。「まず言うことあるだろ」という根津の言葉が理解できないというのだ。
その会話に割りこんできたのが、少し離れた席でパソコン作業をしていた顔見知りのカメラマン・笹目(寛一郎)だった。笹目から、相手が求めているのは挨拶や感謝の言葉ではないか、と言われ、納得する凛々子。
その際、黄実子は、笹目のパソコン画面に撮影をしてきたという子どもの写真があることに気づく。子どもは目を離すとすぐに危ないものに触ろうとする、と話す笹目。その話を聞いていた凛々子は、鈴音がSNSにアップしていた写真の中から、あるものを見つけた。
あくる日、凛々子はレンタカーを借り、根津とともに鈴音のマンションを張っていた。するとそこに、みさとが4歳の息子・翼(石塚錬)を連れて現れ、マンションの中に入っていく。驚く根津に、みさとは鈴音に子守りを頼んでいる、と告げる凛々子。凛々子は、鈴音の写真の中に、子どもが悪戯しないように、コンセントにカバーがはめられていることに気づいたのだ。
しばらくすると、みさとが1人でマンションを出てきた。こちらに向かってくるみさとの目を欺くため、カップルを装い、凛々子に覆いかぶさってキスをしているように見せかける根津。するとみさとは、凛々子たちの車を通り過ぎ、やってきた車に乗り込む。凛々子たちは、直ちにその後を追いかけた。
別の日、凛々子と根津は、翼を連れて出かけようとしていたみさとに、「前橋さんと宮島さんの不倫を仕組んだのはあなたですか?」と切り出す。しかしみさとは、言っている意味がわからない、と言って立ち去ろうとする。そのとき、大きな声で翼の名前を呼び「鈴音ちゃんのこと好き?」と問いかける根津。すると翼は、笑顔で「うん!大好き!」と答えた。凛々子たちは、驚いた様子で戻ってきたみさとを、取り敢えず編集部まで連れていく。
みさととともに編集部に戻った凛々子たちは、鈴音も呼び出す。そこで、みさとが男性の部屋に入っていく写真を見せる凛々子。その男性が、演技指導の先生であることは凛々子たちも把握していた。つまり、みさとは前橋と離婚し、女優に復帰するための準備をしていたのだ。
その指摘を受け、観念したみさとはすべてを話し始めた。仕事ばかりの生活で演技の仕事が楽しめなくなっていた毎日から抜け出せるかもしれない、という打算もあって前橋と結婚したこと、しかし子どもが成長するにつれ、妻でも母でもない、女優の自分に戻りたいという気持ちが大きくなっていったことを。前橋にも女優復帰を相談したことがあったが、返ってきたのは「みさとは家で笑っている顔が一番いいよ。どんな役演じたときよりも」という言葉だった。
そんな折、テレビ局にいる前橋に荷物を渡して帰ろうとしていたみさとは、人目につかない階段で、「どうしても辞めたいなら200万円払え」と事務所のスタッフらしき男たちから脅されていた鈴音に出会ったのだ。鈴音も自分と同じように、出たくても出られない場所にいると感じたみさとは、夫と不倫してくれたら200万円払う、といって彼女に今回の計画を持ちかけたのだった。
計画通り、人を信じやすい前橋を酒に酔わせてホテルに連れ込み、服を脱がせて写真を撮る鈴音。翌朝目を覚ました前橋は、隣で微笑む鈴音の姿に事の重大さを思い知り、離婚に応じるしかなかったのだという。
協力した鈴音は、口止め料として200万円を受け取り、事務所を辞める交渉をすることができたが、計算外だったのは前橋との写真を豪田に見られたことだった。それが週刊東西の記事になったのだ。
みさとと鈴音は、今回の一件を記事にするかどうか心配していた。そんな2人に、記事にすると告げた凛々子は、例え今隠せても、いずれ真実はばれてしまう、といっていくつかのSNS投稿を見せた。そこには、凛々子と同じように保育士試験の本に気づいた者や、みさとが男性と一緒にいるところを見た、という目撃証言もあった。
凛々子は、些細な偶然だけで間違った内容があたかも真実として伝わるより、自分の言葉で真実を伝えた方が良い、と告げると、本当のことしか書かないと約束し…。
記事を書いた凛々子は、根津にタイトルのチェックを頼む。ノートパソコンを受け取り、【泥沼に発展!?】を【本人激白】に修正する根津。凛々子は、記事のアップを頼むと帰ろうとした。そのとき根津に呼び止められた凛々子は、「ありがとう。あなたがここにいて良かった。根津くん」と告げて…。
あくる日、みさとは謝罪会見を開き、真相を明らかにした。凛々子が書いた記事は順調にPVを伸ばしていた。
根津のもとには、牧からのメッセージが届く。そこには「ゴシップサイトに感謝する日がくるとはね」と記されていた。
帰宅途中、凛々子はネコに気づき、スマートフォンで写真を撮る。その凛々子を物陰から見ている男がいた。それは笹目で…。