フジテレビフィギュアスケート班が 「アイスダンス LESSON WEEK」配信
7月1日より、いよいよ2020-21シーズンに向けて動き出したフィギュアスケート界。新型コロナウイルス感染拡大防止のために活動が中止になった前シーズンを受け、フジスケ動画では3月末からさまざまな動画を配信してきたが、今回からは「アイスダンス LESSON WEEK」と題した特別動画を公開。
アイスダンスといえば、今季から髙橋大輔選手が参戦することで話題になっている。ということで、今回の動画企画は、フジテレビスケート中継でカップル競技を担当する“スーさん”こと鈴木芳彦アナウンサーが、日本スケート連盟強化スタッフでアイスダンスのジャッジも担当する五島千寿(ごとう・ちず)さんを特別ゲストに迎えて徹底トーク。
アイスダンスLESSON WEEK~日本アイスダンス界の「今」~
鈴木アナ:今年日本アイスダンス界、2020-21シーズンを迎えることになりますけれども、今回のアイスダンス事情をどう見ていらっしゃいますか?
五島さん:我々が取り組んでいたアイスダンスのトライアウトを途中まで実施したのですが、緊急事態宣言が発令されてからは中止し、活動が止まってしまっている状況があります。その中でも、自分たちはやっていけそうだと前向きに取り組んでシーズンを目指そうとしている若いチームはいるので、できることから少しずつ、氷だけではなく陸上からでも、何とかシーズンに入っていけるようお手伝いをさせていただいています。
日本でアイスダンスの選手が少ないのはなぜか?
鈴木アナ:アイスダンスというのは、シングルの選手に比べてカップル数が少ない印象ですが、どんどん増やしていきたいというところはありますか?
五島さん:ある程度、数が増えれば質・レベルも上がっていくとにらんではいますが、ご存じの通り、日本のカップル競技の環境は非常に厳しいので、結果的に海外に行かないとしっかりしたトレーニングができないという状況です。中学生高校生で海外に長期で滞在できるのか、学校もありますしね。そういうことを考えると、単純に数だけ増やせばいいということではないなと、ここ数年トライアウトや強化の部分で携わらせていただいて思いましたね。
大事なのは、ただ単純に「強くする」とか「うまくする」とかではなく、チームに合ったカスタムをしていった結果「強くなっていた」というのが理想なのではと思って。緩急をつけるように心掛けています。
鈴木アナ:なるほど、日本でアイスダンスの練習をするのが難しいと。 素人的な質問なのですが、 海外のコーチ陣の下で練習しているカップルは多いのに、日本では具体的に何が難しくさせているのですか?
五島さんは、鈴木アナの質問に対し、カップル競技における日本と海外の練習環境の違いについて分かりやすく説明、日本アイスダンス界の現状を語る。そして、話題は「2人での競技」に移っていく。
鈴木アナ:五島さんもアイスダンサーでした。2人で行う競技の難しさってありますよね。
五島さん:そもそも相手がいないと一緒に戦えないですから、自己主張だけでもダメです。大変な部分ももちろん多いのですが、喜びは2倍です。やはり、アイスダンスは一緒にプログラムを作っていくというクリエイティブな部分を求められるので、作っている時間は何時間でも苦にならないといいますか、何時間でも氷に乗れる(練習できる)から、そういう意味では(シングル競技などから)転向してきた人は 皆さん「こんなに違うんだ」と言いますね。
鈴木アナ:そうなんですね。
「チームの“解散”は、細胞分裂のチャンス!」前向きにとらえて
五島さん:あとはチームが「解散すると残念」という意見が私の方にも届くのですが、私の中では「チームの解散は、細胞分裂のチャンス」だと思っています。あるチームが解散をしたならば、(それぞれが新たなパートナーを見つけて)また新しくチームができますよね。どんどん増えるチャンスになるので、良い化学反応が起きると前向きに考えています。
鈴木アナ:カップルを結成して、コンビを結成して、続けていくのはそれぞれスケーターの個性もありますし、難しいところがありますものね。
五島さん:そうですね。恋愛だって初めて付き合った人と長年連れ添う、墓まで連れ添う人ってなかなかいないと思うんですよね。それをまた継続しなきゃいけないので。
鈴木アナ:アイスダンスは、シングルに比べると選手たちが少ないじゃないですか。アイスダンサーが増えると組み合わせのパターンも増えていくし、そうすると長くカップルを続けられるパートナーが見つかる確率が上がってくるのかなと。
五島さん:その国全体も強くなりますよね。
鈴木アナ:そうですよね。
五島さん:残念ながら解散してしまったかもしれないけれど、失敗や人の痛みを理解してまた次に強いチームを作ればいいだけの話なので。「解散=この世の終わり」ということではありません。それがノウハウとして構築されるのと、解散という辛い経験をしている人は、結果的に、強くて美しいアイスダンサーになれると信じていますので。そういった部分は、前向きにとらえていただけたらうれしいなと思います。
髙橋大輔選手がアイスダンスに転向し注目が集まるが…
そんな中、今シーズンは髙橋大輔選手がアイスダンスに転向する1年目ということもあり、鈴木アナは「特別なシーズン。日本国内においては、今盛り上がらなかったら、ここから先どうするんだっていうくらいの、最大最後の盛り上がるチャンス!」と息巻くが…。
五島さん:まさに、髙橋選手の転向はフィギュア界だけではなく、世間的にもすごく注目されました。私たちはそれにあぐらをかかずに、この機運をどういう風に高めていくかをしっかり考えていかないといけないな、と。それと同時にそうはいっても、いきなり急成長というのは、ジュニアのチームなどではないので、少しずつトレーニングをして継続を力に変えていき、(アイスダンスの)大国にしていくのが理想だなと思っています。
鈴木アナ:髙橋大輔選手がアイスダンスに転向したシーズンに、新型コロナウイルス感染拡大の影響でなかなか練習できない状況に見舞われてしまったのが非常に大変だと思うのですが、村元哉中(むらもと・かな)選手はオリンピック出場経験もありますし、この2人で組んで、いかにカップルとしての完成度を高めてくれるのかが今シーズンの楽しみなんですよね。
五島さん:そうですね。そこに、現チャンピオンの小松原美里&ティム・コレト組も「負けていられるか」というところも絶対にある。彼らは彼らで長いキャリアを持っているので、実際に全日本選手権( 「全日本フィギュアスケート選手権」 )で戦うところはみんな楽しみにしてくださるんじゃないかなと思っています。私自身も本当に楽しみですね。まったく個性が違うチームですから。
動画の後半では、村元&髙橋組が結成されたことにより、よく聞かれるようになったという質問「リフトは大変なのでは?」についてや、シングルからアイスダンスに転向する際の難しさについて、専門的立場から解説している。
そして「今シーズンがアイスダンスを盛り上げるチャンス」と話す鈴木アナは、これまでのアイスダンスファンだけでなく、髙橋大輔ファンもアイスダンスを見る機会が増えると予想し「アイスダンサー髙橋大輔に感動する準備はできていますか?」と問いかける。
アイスダンスを知ることは、今後の髙橋大輔選手を見るうえで必要
鈴木アナは、シングルで全日本ジュニア選手権(「全日本フィギュアスケートジュニア選手権」)に出場し、表彰台にも上がっていた木原龍一選手がペアに転向後、ペアならではの技を成功させた際に「あのシングルスケーターだった木原選手が!」と感動した体験を挙げ、「アイスダンスを知っておくことは、髙橋大輔選手のことをアイスダンサーとして見る上ですごく必要なこと」と力説する。
そこで、五島さんに「アイスダンスをどう見ればいいのか」という「観戦バイブル」を聞いていく。
五島さんが「アイスダンスを見るうえでとても大事」と語る「大前提」とは…。
日本アイスダンス界の「今」が分かる動画はこちらからチェック!