こ・ん・な・の・が、
見・た・か・っ・た!!!
視聴後、あまりにも興奮し過ぎて、放心状態。
程なくして、友達数名に“すっっっごい良かった!”旨、こっそり感想漏らしちゃったりなんかして、レビュー出来てないくせに、とりあえずまずは誰かにお礼が言いたくてフジテレビの人にメール送っちゃったよね。それぐらい、この大興奮を誰かにお裾分けしないと気持ちが収まらない、素晴らしすぎる視聴後感!
これまでいくつも医療ドラマ見てきたけど、これこれ!こういうの!
こ・ん・な・の・が、見・た・か・っ・た!!!(二回目)
ありがとう!
そんな、もう見て!と言うしかない。誰も何も言わなくても体感できる大エンターテインメント作品に対して、僕がいちいちここが良かった!なんて言うことが、相当野暮な気がしてならない…んですが、これも自分のお仕事!ってのも、もちろんあるんですよ?そりゃあもちろんそうなんだけど、僕のこの興奮を、事前に、誰かに、できれば多くの人に、ちゃんとお裾分けしなければ!という使命感のもと、以下、タラタラと興奮ダダ洩れレビュー、書かせていただきます。
まずはみなさんの懸念点…っというか、僕が事前に勝手に思っていた視聴前の問題を拭っていきたいと思います。
『また医療モノ?フジテレビの木曜劇場、また医療モノなの?問題』
前作『アライブ がん専門医のカルテ』は、とっても素敵なヒューマン系医療ドラマでしたが、2クール連続だし、1月期は各局で医療モノが多かったし、加えてこないだまで『グッド・ドクター』→『Dr.コトー診療所』の再放送だったことも相まって、やっぱり拭えなかった“また医療モノ?問題”。
だけどご安心ください!“新しい発見”があります!!
前作『アライブ』が、患者だけでなく主人公である医師たちにも濃厚な人間ドラマを用意したことで、ただの医療ドラマではない“新しさ”を見せたのに対し、この『アンサング・シンデレラ』も、“病院薬剤師”が主人公という新しい視点からの医療モノ、引いては職業モノにおける“知られざる職業”も発見することができます。
その見せ方が実に見事。序盤、薬剤師さんってそんなことやるの?ホントに?ドラマだからでしょ?なんて視聴者が感じた疑問を、すぐさま新人薬剤師の目線を通して、“これも病院薬剤師の仕事”と見せていく展開が華麗でストレスフリー。一見、医療モノ第1話初っ端あるあるの“救急患者の処置”なのに、実はその中でこれまで知ることのできなかった医療モノの新たな視点と、病院薬剤師が院内でどんな立場にあるのかをさりげなく描いている…という巧さ。
また物語だけでなく、画的にも新たな医療モノを感じられるのも大きなポイント。“病院薬剤師”と、僕らがより身近に感じている“調剤薬局で見かける薬剤師さん”との違いも指摘しながら、薬の待合室のその裏が、いかに戦場と化し、プロフェッショナルな手さばきのもと、薬剤師たちが奔走しているのかがわかる場面は見ていてとても気持ちがいい。
特に無数の薬が陳列された調剤室の造形は、これまでいくつもの医療モノを見てきたけれど、今まで見たことのない景色と新しさいっぱいの映像。その雰囲気を眺めているだけでワクワクしちゃいます。
だから医療モノではあるんだけど、その中で働く知られざる特殊なプロフェッショナルたちの姿と、画的な新鮮さもちゃんと味わえる、そんなドラマなんです。そして、その様子を見たら、薬をもらう時にやたら待つなと思ってたあの時間…薬見繕うだけじゃんとか思ってた自分…薬剤師さんたちに全力土下座の気分になります。
『石原さとみの熱量問題』
本当に失礼な話なんですが、僕はこのドラマを見る前…。病院薬剤師さんが主人公で、患者を“診察”できる立場にない人物が、医者以上の活躍をするドラマ…、しかもその主演が石原さとみさんって、ちょっと危険な香りがしたんですよ。
だって石原さとみさんは、堂々と主演が張れる華と、圧倒的なオーラを持った、稀有な女優さんだけれど、その華と圧倒的なオーラの加減を間違えると、その熱量が暴発しちゃって、温度差ができてしまうのでは…と勝手に心配していたんです。
いくら物語を成立させるためとは言え、医者以上に活躍してしまう主人公ってそれだけでもハードルが高いし、それをあんなにかわいらしく美しい石原さとみにやられたら、ありえない…となってしまうんじゃなかろうかと…イチかバチかな気がしてたんです。
だけど、んなこた言われなくてもわかっとるわい!!と往復ビンタしてくるような物語展開と、さすがの石原さとみさん、全部承知の上での演技を見せてきます。石原さとみさんがこの主人公を演じることによって出てくるちょっとしたエグみ…時に刃となってしまう正義感や、思い上がり、軋轢を、ちゃんとドラマの中に落とし込んでくるのですよ。
石原さとみさんが持つ熱量によって、登場人物達が突き動かされる部分と、そこから生じてしまう弊害もちゃんと描く、その絶妙なバランスを保つことによって、ただのスーパーウーマンものではない、リアリティのあるドラマに仕上がっているのです。
しかもそれを初回に、主人公の活躍と病院薬剤師の“HOW TO”、キャラ紹介だけで済ませてもいいのに、弊害まで描くんですよ。このドラマの覚悟を感じましたね。
そしてその覚悟は、最後のエンドロール映像で、さらにダメ押ししてくる仕組みになっています。このドラマの主人公は薬剤師だけではなく、薬を通して出会った患者さんも主人公である…そんな“人間”をちゃんと描きたいドラマなんだということを示してくるのです。
この、医者だけでなく出会った患者さんと、その後の人生も描くという姿勢は『アライブ』と同じ系譜なんだけれど、今作は一見、石原さとみさん主演で、主人公大活躍!なドラマと思わせておきながら(僕が勝手に思ってただけですが)、その“振り”があることでさらに、人間ドラマとしての輝きが増してくるように感じます。
さてどんな秘密がエンドロールに隠されているのか?こんなに手が込んでて、粋でオシャレなエンドロールはめったにありません!必見です。
っと、こんなにもエンドロールに感激してしまったのは、僕がタイトルバック(映像付きのエンドロールも含む)が大好物だからなんです。なのに最近のドラマは、主題歌とドラマの世界観に合わせた映像をつくらず、本編映像の上にスタッフロールを流す“一体化式”が主流です。だから僕はこれまで黙っておりましたが、ドラマの最後、主題歌が流れ本編映像の上にクレジットが出た瞬間、ちょっとだけ…いや結構、かなりがっかりしていたんです。今回もタイトルバックないんだ…って。
だから今回も、ラストカットの超絶美しい映像で終わりかけたとき、つい祈ってしまいました。「お願い!この映像の上に、クレジットを表示させないで!画が汚れる!やめてーー!!」と。その思いがようやく届いたようです。もうすでにドラマの本編で大満足しているのに、大好物のタイトルバック、そしてあまりに粋なその中身に、僕の視聴後感が絶頂に達してしまったのです…。
突然ですが、速報が入りました。
医療ドラマに新しい画的な面白さを生み出した“調剤室の造形”ですが、まさか、セットとのことです!!(視聴後の御礼と共に、あの造形はセットなのか?と質問しておりました)。
アンビリーバブル!!うん、そりゃ、あんな洗練されて画になる調剤室、リアルにないよね…だけど、あれだけの規模、あれだけの細かさ…フジテレビ美術、恐るべし!!
ってことは、フジテレビは過去の名作ドラマを総動員させたら、救命センターも作れるし(『救命病棟24時』)、総回診もできるし(『白い巨塔』)、離島に診療所もつくれるし(『Dr.コトー診療所』)、バチスタ手術もできるし(『医龍』)、なんなら船上だってやぶさかではないし(『海の上の診療所』)、調剤薬局も運営できるってことですよね?テレビ局の仕事越えてる!
text by 大石 庸平 (テレビ視聴しつ 室長)