映画「破壊の日」初日舞台挨拶が7月24日(金)、東京・渋谷のユーロスペースで行われ、豊田利晃監督、渋川清彦、窪塚洋介、松田龍平らが登壇した。
豊田監督は「今日は映画館に“映画”を観に来ていただいて本当にありがとうございます」と新型コロナウイルスの感染者が再び増える中、会場をうめたファンへ深く感謝。
続けて、「この映画は今年の初めに、東京オリンピック開会式に併せて公開しようと思ってつくった映画なんですけど、コロナがあり、緊急事態宣言があって、それが明けた5月25日から『もう一度、7月24日に向けてつくるぞ』と思ってつくった映画です」と説明。
さらに、「去年、出羽三山へ行った時に修験道や生きたままミイラになる即身仏の修行の話を聞きました。出羽三山の神社はもともと疫病退散のためにつくられたもので、当初から疫病退散はこの映画のテーマの一つだったんですけど、それがまさかコロナの影響をくらった中でつくることになるとは思わず、6月22日から撮影し始めて、30日にクランクアップして、一昨日完成しました」と社会情勢との関連性、そして、超短期間で撮影された作品であることを報告した。
豊田組常連の渋川は「劇中の僕の車にも注目してほしいんですが、名前がコロナマークⅡっていうんです。今は不自由な世の中で、本人は別に変なことと思ってなくて発言しているけど、叩かれたりするんですよね。でも、映画の中ではいろんなことが自由なので、映画を楽しんでもらえたら幸いです」とコメント。
窪塚は「僕が感じるのは豊田さんの怒りというか、何かを壊したいという気持ちなんですよね。俺は今、何に怒ってるのかなと思ったら、今のムード、空気、そんな暗くなるのはやめましょうよと。だって、病は気からなんですから、そこを削ぐなよというのを常々感じていました」。
続けて、「結果、答えが『破壊の日』の映像の中に刻まれてるんじゃないかな。豊田さんは今まさにこの瞬間、この時代、この時にしかできない表現をしている監督であり、(キャストは)表現者たちだと思うので、そういうところもひっくるめて、『楽しんで』という言葉が合ってるかわからないですけど、ご覧になっていただけたら」と“窪塚節”で呼びかけた。
松田は「いろいろ考えてたんですけど、何をしゃべろうかな…」と苦笑したままうつむき、登壇者から一斉にツッコまれると、「こういう時代でいろいろ思うところがありますけども、こうやって呼んでもらえて嬉しかったし、元気をもらいました」と照れ笑い。
そして、「映画の中に7年前のシーンがあって、そのシーンを撮った時はこういう形で映画になるとはまったく想像しないでやっていて、それが作品になった時にすごく感慨深いというか、7年前と今とで何が違ったのか。僕自身の話ですけど、芝居に対してとか、自分の気持ちに対して…そういうものを豊田さんに破壊してもらえる作品になったなと。公開できてとても幸せ。ソーシャルディスタンスを続けていこうと思います」とメッセージを発した。
最後に豊田監督は、「映画館は安全だと思うんです。マスクをして、飛沫も飛ばさず。早く元に戻ることを祈ってます。この映画はコロナの中でつくった、俺たちの祈りのような映画です。その祈りが皆さんに届くことを祈ってます。7月24日を楽しんでください」と訴えかけるように客席を見渡していた。
「破壊の日」は2020年7月24日(金)~京都出町座、ユーロスペース、京都みなみ会館、大阪シネ・ヌーヴォ、フォーラム仙台、シネマ ジャック&ベティほかで全国順次公開。
©「破壊の日」製作委員会