『SUITS/スーツ2』第3話完全版

甲斐(織田裕二)とチカ(鈴木保奈美)は、『幸村・上杉法律事務所』のトップの座を狙っている上杉(吉田鋼太郎)の動向を注視していた。上杉が、シニアパートナーの過半数の票を集めて代表権の交代を画策するものと考えたチカは、まず企業再生部門の瀬川修一(笹野高史)を味方につけるよう、甲斐に命じる。

一方、真琴(新木優子)と交際を始めたばかりの大輔(中島裕翔)は、彼女にすべてを打ち明けるべきかどうか悩んでいた。そんな折、チカからディナーに誘われた大輔は、幼いころのことなどをいろいろと尋ねられる。だが、チカが自分を呼び出した目的がわからず、困惑するばかりだった。

瀬川のもとを訪ねた甲斐は、チカに対して不満を抱く彼に、力になれることを証明したいと申し出る。そこで瀬川が提示したのは、建設中の商業ビル『大手町スカイビスタ』プロジェクトを潰せ、というものだった。

『大手町スカイビスタ』は今年の春に完成予定だったが、大幅に建設が遅れていた。原因は、プロジェクトを進めるマディソン建設のワンマン社長・芹沢(石丸幹二)のこだわりで、度重なる仕様変更にあったためだった。また、同社はメインバンクの東京ナショナル銀行への返済も迫れられていたが、資金は完全に底を尽きている状態だ。しかし芹沢は、建設を断念すべきだという甲斐たちの提案を聞き入れず、追加融資をしない銀行の方がおかしい、と主張して最新の財務計画書を甲斐に手渡す。

同じころ、アソシエイトを統括する蟹江(小手伸也)は、経済誌に載った“アソシエイトが選ぶ働きやすい法律事務所”という記事で、『幸村・上杉法律事務所』がワースト2位だったことにより、東大ロースクールはインターンシップの廃止も検討しているということでチカに責められる。改善を命じられた蟹江は、東大ロースクールから抜き打ち視察に来た真野麻子(MEGUMI)を出迎える。だが蟹江は、こっそり視察するつもりだった麻子をアソシエイトたちに紹介してしまい、いきなり彼女から非難されてしまう。

大輔の調査により、大手町スカイビスタには、一流ブランドからのテナント応募が殺到していることがわかった。しかし、メインバンクの東京ナショナル銀行は追加融資を受け入れないのは何故なのか。そのとき大輔は、東京ナショナル銀行の融資担当者・吉永由紀子(太田緑ロランス)の名前が、蟹江のオフィスに飾られている東大居合道部の寄せ書きにあったことを思い出す。

蟹江は、大輔だけでなく、伽耶子(中村アン)からも頼まれ、大手町スカイビスタの追加融資を認めるよう、由紀子に頼みに行く。しかし由紀子は、まったく聞く耳を持たなかった。

あくる朝、甲斐は、カフェの前で由紀子に声をかけ、金融部門のプロである蟹江も追加融資が降りないことを不審に思っている、と切り出す。すると由紀子は、玄人ぶったシロウトが一番判断を誤る、と言い放ち、弁護士先生のことはリスペクトしているが、銀行の仕事を甘く見られては困る、と言い残して去っていく。

大輔との交際を伽耶子に見破られた真琴は、彼女に誘われて飲みに行く。そこで真琴は、何でも包み隠さずに話してくれた大輔の誠実さに応えるため、自分も職場での過去の恋愛のことなどを話そうと思っている、と伽耶子に話す。大輔に電話した真琴は、伽耶子にばれてしまったことを報告するとともに、嘘のない関係でいたいから自分のことも全部知ってほしい、と留守電を残していた。

翌朝早く、甲斐が出社すると、すでに大輔が来ていた。大手町スカイビスタ周辺の模型を用意した大輔は、周辺で建設中の4つのビルのうち3つのビルのメインバンクが東京ナショナル銀行であることに触れ、大手町スカイビスタが差し押さえになった後の買い手がすでに決まっているのではないか、と指摘する。

そんな折、甲斐のオフィスを訪れた芹沢は、明日臨時の取締役会が開かれることになったと報告する。芹沢を社長の座から降ろそうとする動きがあるらしい。そこで甲斐は、まだ戦うつもりかと芹沢に問いかけた。しかし芹沢は、皆の反感を買ってまで続ける気はない、すべての責任は自分にある、と答え……。

同じころ、会議室では蟹江が麻子と対峙していた。アソシエイトたちからヒアリングをした麻子は、今後も幸村・上杉法律事務所とのインターンシップは継続させることにしたが、アソシエイトたちに蟹江に対する不信感が蔓延していると告げる。彼らは、蟹江が自分の仕事を押し付けていると感じているのだという。

真琴は、幸村・上杉法律事務所を出ようとしていた麻子に声をかける。麻子とともにカフェを訪れた真琴は、試験恐怖症であることを彼女に告白した。それに対して麻子は、パラリーガルで唯一個室を持つほど優秀なのは間違いないのだから、何度でも試験を受ければいい、と助言する。

甲斐のもとへやってきたチカは、瀬川の顔を立てるよう命じた。戦っている相手は上杉なのだから意地を張らずに、瀬川の意向に従えと言うのだ。

その夜、甲斐は、落ち込んだようすでアソシエイトのオフィスにいた蟹江を見つける。麻子に言われた言葉が堪えたらしい。かつて甲斐は、蟹江の案件のファイルを隠したことがあった。そのことで蟹江は上杉から手ひどく叱られたが、2日徹夜して資料を作り直したのだ。思い出話をしているうちに、少し気分が楽になる蟹江。甲斐は、そんな蟹江に、「君は凄い」と告げて去っていく。ひとり残された蟹江は、ICレコーダーに録音していた甲斐の言葉を何度も再生していた。

翌朝、蟹江は大量のファイルを持ってアソシエイトたちの前に現れる。彼らに任せていた仕事をすべて済ませていたのだ。残っているのは資料整理だけだったが、アソシエイトよりはるかに短い時間で出来る作業をやらないのは、そういう仕事をこなしてこそ実力がつくことを知っているからだ、と続ける蟹江。アソシエイトたちは、その言葉に触発され、自ら新しい案件に取り組み始める。

甲斐は、大輔をともなって由紀子を訪ねる。大輔は、大手町スカイビスタが差し押さえ物件になった後、買い手となるのはどこかを探っていたが、見つけることが出来なかった。それはすなわち、買い手が東京ナショナル銀行であることに気づく甲斐。格安で大手町スカイビスタ手に入れようと目論んでいたことを見抜かれた由紀子は、法的な問題でもあるのか、と返した。それに対して大輔は、建設中の4つのビルも、集客が見込める大手町スカイビスタではなく銀行のオフィスが立っても何も得はないから真実を知れば怒る、と返す。続けて甲斐は、メインバンクを変更するような事態が起きた場合の損害にも言及し、銀行員のことはリスペクトしているが我々の仕事を甘く見ない方がいい、と由紀子に告げる。

マディソン建設では、臨時の取締役会が開かれる。そこには、芹沢や重役たちとともに瀬川の姿もあった。駆けつけた甲斐たちは、辞意を表明しようとしていた芹沢を制し、東京ナショナル銀行が追加融資を決めたことを報告する。それを受け、重役たちに計画の続行を願い出る芹沢。だが、そこで芹沢の解職動議を提出したのは、側近の重田(阪田マサノブ)だ。重田は、建設計画を遅延させ、会社の信用を落とした芹沢の責任を問い、役員たちに賛成の起立を求めた。しかし、重田以外は皆、芹沢への支持を表明し……。

オフィスに戻った瀬川は、甲斐の行動は案件の乗っ取りだと非難し、チカに処分を迫った。すると甲斐は、ある資料をチカに見せる。それは瀬川が東京ナショナル銀行と手を組み、ビルを明け渡すよう仕向けた証拠だった。チカは、メガバンクに取り入った方がファームの利益になる、などと言い訳をする瀬川に、今日中に退職届を出すよう命じた。

甲斐は、チカのティーセットが乗ったワゴンを押しながら、彼女のオフィスを訪れる。そこで甲斐は、どんな状況になろうともチカを守る、と告げる。

伽耶子は、真琴と話をしようとしていた大輔を呼び止める。そこで伽耶子は、甲斐が何故リスクを冒してまで大輔と関わってきたのかに触れ、その気持ちを踏みにじらないでほしい、と訴えた。

あくる日、大輔は、真琴とともにカフェを訪れる。そこで、真琴に別れを告げる大輔。続けて大輔は、真琴と別れた後に仕事が手に付かなくなってファームをクビになった同僚の話を切り出し、真琴を嫌いになったわけではないが上手くやっていく自信がない、と告げた。真琴は、突然のことにショックを受け、「はっきりおっしゃたらどうです?私じゃ釣り合わないと……」と言い残してその場から立ち去ってしまう。

その夜、甲斐は、ひとりで残業をしていた大輔の元を訪れる。「これでよかった」という甲斐に、大輔は、わかっているがやっぱり辛い、とその苦しい胸の内を明かし……。