生田斗真が、ジャニーズ事務所に入所してからの日々を振り返った。
11月14日(日)の『ボクらの時代』(フジテレビ)は、11月19日(金)に公開予定の映画「土竜の唄 FINAL」で主演の生田斗真、脚本の宮藤官九郎、監督の三池崇史が登場した。
初めてのドラマで「上手いね」と褒められて…
宮藤からの「『明日、キンプリ(King & Prince)に入って』と言われたら、できるの?」という質問に「できます。キンプリが良ければ入ります(笑)」と即答した生田。
宮藤は「すごい。基礎ができてるってことですもんね」と感心。すると生田は、「子どものころから、1日で10曲覚えて明日本番とか、しかも6回公演とか、わけわかんないことやってたから(笑)。ちょっとその辺の感覚がおかしくなっちゃってるのかもしれないし、だいぶ鍛えられた」と、ジャニーズ事務所に入所してからの日々を振り返った。
そんな中、三池監督は「デビューは小学生ぐらいでしょ?」と尋ねる。
生田:そうです。小学5年生のときですね。小学5年生のときにジャニーズ事務所に入って、初めてドラマやったのが、『あぐり』(NHK)っていう朝ドラだったんですけど、そこで初めて台本というものを見て。
宮藤:えー!?
生田:すごいですよ、1週間前とかに「決まりました」って台本が来て。「台本って何?」「お芝居って何?」。
宮藤:(笑)。初めて見た台本が朝ドラって、すごい。
生田:そうそう。
三池:でも、それ「役者」っていうのは、あまり意識はなかったんだ。
生田:僕は、本当に仕事意識みたいなものをまったく考えずに過ごしてきちゃったので。現場に行ったら大人たちがいて、遊んでくれるとか、同年代の共演者の子たちと遊べる…台車あるじゃないですか。物運ぶ。あれを監督が押してくれて、台車にみんなで乗っかって「イエーイ」と、ただ、それが楽しかっただけ(笑)。
宮藤:じゃあ、お芝居というところで壁にぶち当たるみたいなことって、どれくらいでぶち当たったの?
生田:そうだな…でも僕、なんとなく、初めてやったドラマで、子どもだったからっていうのもあったんですけど、「上手いね」みたいな感じになったんですよ。褒めてもらったんです。初めてやったことで、わけもわからずやったことで褒めてもらったから、中学1年のときだったんですけど「ちょっとこれ(自分は)天才かもしれない」って…。
宮藤&三池:(笑)。
生田:「天才子役、現れたな」。
宮藤:「それが、まさか俺だったとは」(笑)。
生田:「来たな」みたいな(笑)。で、しかも朝ドラの放送終了後か、そのちょっと前に、新聞の記事が出て、僕を特集してくれた新聞だったんですけど、その見出しが、「第2のキムタク」って書いてあったんですよ。
宮藤:すごいな。
生田:中1ながら「俺か、第2のキムタク」(笑)。
宮藤:「天才子役」で「第2のキムタク」だと、だいぶ安泰だよね。
生田:(笑)。これ、ヤバいなみたいな。
宮藤:すごいな、ヤバいな。
生田:と思ってたもんで、次にやったお仕事、その次にやったお仕事「あれ?なんか違うな」「あれ?キムタクじゃないのか、俺は」「なんでだ?なんでだ?」みたいなことで。
宮藤:あ、そうなんだ。
三池:それは、自分の芝居に対して?周りの?
生田:でも、自分の思いもあるかもしれないですね。(お芝居で)自分以外の人になるって、初めての経験だったから、ちょっとわけわかんない感じになったんですよ。なんか、トリップするっていうか。
宮藤:あー、なるほど。もう1人の自分がね。
生田:そんな経験、したことないから「なんだこれは!」っていう。ものすごい衝撃的なお芝居との出合いを交わしたもんで、しかも周りが褒めてくれたから。2回目とか3回目とか「あれ?なんか、なんでうまくいってないのかな」とか。それでずっと「なんでだ?なんでだ?」みたいなことを続けてきている感じはあるっていうか。
宮藤:へぇー!じゃあ最初は、本当に幸せだったんですね。
生田:そうなんですよ。
生田が語る演劇人たちとの出会い「この中に入って一生暮らしたい」
三池:でも、なんで歌わなかったの?
生田:選んでもらえなかったうちの1人なんで、僕は(笑)。「(僕が載った)新聞記事出しましょうか?」みたいな。
宮藤:「第2のキムタクですけど?」(笑)。
生田:「おかしいな?」って(笑)。で、高校くらいのときに演劇に出合って。僕は「うわ、こんなに面白い、楽しい仕事があるんだ」と思って。で、その周りの、身の回りにいる演劇人の人たちが、すごいかっこよく見えて。「うわ、この中に入りたい、この中に入って一生暮らしたい」って思ったんです。
グループとしてCDデビューを果たしていない生田に、三池監督はさらに突っ込んだ質問をした。
三池:それはでも、どこかで葛藤はなかったの?っていうか、なんか、グループに入りかけた、入るか入らないかの選択を迫られたりとか。
生田:やっぱり高1、高2くらいになってくると、自分もこれどうにか考えなきゃいけない、大学いくのか就職するのか、どうするのかって。そのころに本当に演劇に出合って。「よっしゃ、僕はこっちでいってみよう」って。まだそういうふうに役者部門みたいなものを突き抜けた人っていらっしゃらなかったから。「自分が、そこの先頭切って走れるように頑張ろう」と思ったのがきっかけです。
アイドルの王道、ジャニーズ事務所という場所にいながらも俳優を志したきっかけを語った生田に三池は「開拓者なんだね。挑戦してるんだね」と称賛。
しかし、「あんまりいい男だと、その挑戦してきた苦労って見えてこないから損だよね」と付け加え、それには宮藤も「苦労してるようには見えない、見えない」と笑った。
三池監督が見た「ひと月に、(映画)4本も5本も出てたりする」往年の名優たちの姿
また、三池の発言が発端となり、「セリフが入っている人、入っていない人」の話題へ。
三池:(生田に)どうやって覚えんの?セリフ。一度も半端に入ってることってないもんね。
宮藤:いや、ないですよね。
三池:完璧に。
生田:います?半端に入ってる方。…いるか。
三池:いるよ。いる、いる。
宮藤:たまにいます。
生田:まぁ、先輩方とかはね(笑)。
宮藤&三池:(笑)。
宮藤:入ってない、出てこなかったのを自分のせいになるのがイヤだから「このセリフちょっと変じゃない?」とか言ってくる人いますよね?
生田&三池:(笑)。
宮藤:「いやいや、入ってないでしょ!」「半端に覚えてるからだよ、それ!」って。
三池:そうそう。それとか、(台本の)前後読んでない人もいるもんね。
宮藤:いる、いる、いる。
生田:自分のところだけ。
三池:なんでそのセリフがそうなってるのかっていうのをわからないから。大御所に多かったし、そういうものだったっていうのも(あるけれど)。
三池は「ひと月に、4本も5本も出てたりする。量産してる映画界にいた」丹波哲郎さんや、山城新伍さんなど往年の名優たちは「台本を読む時間がなかったと思う」と、撮影現場での様子を述懐。そんな時代の映画界では、たとえセリフが入っていなくても、一度段取りを説明するだけで一発で決めてしまうすごさがあったと、エピソードを交えながら語り、生田、宮藤は興味深そうに耳を傾けた。
一人暮らしの料理に感じた虚しさ「何やってるんだろう」
また、3人は家庭での役割についても言及。宮藤は家事は「一切しないです。しなくていいっていうふうになって」と返答し、そこに至るまでを語った。
宮藤:「しなくていい」ってなるまでに時間がかかったんですけど。
生田:それまでは戦いがあったんですか?「しなくていい」を勝ち取るまでの。
宮藤:そう(笑)。洗い物も途中まではちゃんとやってたんですよ。むしろやってたんですけど、なんかやっぱり違うみたいなんですよ、洗ったあとの置き方とか、乾いたあとのしまい方とかが、やっぱり違うから。
三池:むしろ迷惑って?
宮藤:「むしろ迷惑」っていう域に達するまでに、やっぱり20年ぐらいかかりましたね(笑)。
それを聞き「かかったなー!」と感嘆の声を挙げた生田は、「料理以外はやります」「掃除も好きだし、洗濯も好きだし、洗い物も好きだし。でも料理だけが苦手」と明かした。
宮藤:料理しないっていうのは、まだ楽しさがわかってない?いずれしたいと思ってるの?
生田:うーん。楽しさがわかんないのもそうかもしれないですね。本当に一人暮らししてるころとかは、スーパー行って帰ってきて、自分で料理して、盛りつけて、食べて、洗って…「これ、何してんだろう?」と思って。
宮藤&三池:(笑)。
生田:誰も見てないし、誰も喜ばないのに。
宮藤:誰も見てないですよね、確かに。
生田:そう。「何これ?」って思って、その一人暮らししてるとき、虚しくなって、やめようと思ったんです。
生田は「そこでやめちゃったのが良くなかったんですね。もうできなくなっちゃって」と苦手な理由を明かした。
宮藤:(三池に)やられないですよね?
三池:そもそも、やる機会がないですもんね。家事どころじゃないですもん。だって、2人目の子供が生まれて、初めて子ども見たとき2ヵ月たってたんですよ。
生田:うおー。
三池:俺、その意識ってあんまりないから、家に帰ったらでっかいのがいるんですよ。「これを生んだの?でかすぎねぇか?」って本当に思って(笑)。
宮藤:(仕事でずっと)外にいますもんね。
三池:助監督のときから、そんなような(生活で)。夜中に帰って、(妻が)起きるよりも先に出ていくから。それをずっと続けているので、そもそも期待されていないし、今もそのままですね。
と、三者三様の家庭での役割が明かされた。