葵みどり(石原さとみ)が「娘娘亭」で食事をしていると、辰川秀三(迫田孝也)の娘、樹里(久保田紗友)が帰って来た。みどりは具合が悪そうな樹里を気にするが、辰川は客に挨拶もしない樹里を叱り、最近は自分と口も聞かないと嘆く。それでも、樹里を心配するみどり。一緒にいた小野塚綾(成田凌)はお節介と評した。
翌日、みどりは相原くるみ(西野七瀬)に樹里の話をする。だが、くるみは樹里よりもみどりが小野塚と食事をしていたことが羨ましい。話しながら廊下を歩いていると、年配の患者、龍一(菅原大吉)がうずくまっていた。介助しようとするみどりに、龍一は自分は医者だ、薬剤師より自分の体のことはよく分かっていると無碍(むげ)に言い放つ。そこに妻の志帆(宮田早苗)が来て、龍一を病室に戻した。
調剤室に戻ると、販田聡子(真矢ミキ)も手伝うほどの忙しさ。一方、羽倉龍之介(井之脇海)は電話で疑義照会しているが、医者に押し切られてしまう。医者の言うことは絶対と諦めている羽倉に、みどりは納得出来ない。そこに志帆が羽倉を訪ねて来る。志帆は羽倉の母親、龍一は父親で病院を経営する医師だった。
みどりはくるみと龍一に服薬中の薬などを聞きに行く。龍一の態度は薬剤師が診察するのかと高飛車。そんな時、みどりに瀬野章吾(田中圭)から救急センターに来いと連絡が。樹里が搬送されたのだ。付き添いの小野塚は、樹里が自分の店で倒れていたと言う。また、樹里が睡眠改善薬を買っていたこともみどりに伝えた。
駆けつけた辰川は医師から樹里が摂食障害だと告げられる。樹里の環境変化を気にかけるみどりに、辰川は祖父の太一(伊武雅刀)が末期がんで入院していることを教えた。樹里はその頃から体調を崩し、辰川と話をしなくなっていた。
みどりは樹里の病室に行き、薬の説明をする。辰川は労るのだが、樹里は冷たい態度。そこに太一が顔を出した。太一には笑顔を見せる樹里だが…。調剤室に戻ったみどりが太一のカルテを見る。辰川は太一にがん告知をしていなかった。みどりは現れた瀬野に、樹里の接触障害の原因は太一にあると思うが何も話してくれないと相談。瀬野は樹里の他にも話を聞く相手はいるとみどりにアドバイスした。
仕事を終えたみどりは『娘娘亭』へ行く。みどりが太一への未告知について尋ねると、辰川は太一の妻もがんで亡くなり、その時、抗がん剤で苦しんだ姿を見ているので言えないと答えた。辰川は未告知を樹里が納得しているかどうかも知らなかった。また、辰川は樹里から、自分の入院を太一には伝えないようにとメールが来たことを話す。
次の日、みどりは樹里に簑島心春(穂志もえか)を紹介。樹里は心春の服を借りて、太一の病室を見舞う。みどりが調剤室に戻るといつもと違う雰囲気。入院している羽倉の父が脳神経外科の権威と知った医師たちが息子に挨拶に来ていた。龍一が薬事連盟の監事で理事選の投票権を持っていると知った販田もソワソワしている。
くるみはそんな家系で育ったのになぜ羽倉が医師にならなかったかが不思議。羽倉は、医者にならなかったのではなく、二浪してもなれなかったので薬剤師になったと言う。
そんな時、羽倉が疑義紹介を断念した薬を飲んだ患者が耳鳴りを訴えて来た。問題は処方して疑義紹介にも応じなかった医師にあるが、みどりは羽倉に患者へ謝罪し、説明してくるよう促す。羽倉が患者に頭を下げていると、処方した医師はまるで薬剤師がミスを犯したかのような態度。その姿を龍一が見ていた。龍一は羽倉の仕事を医者の奴隷だと吐き捨てて去ろうして、立ち止まってしまう。通りがかったみどりとくるみも羽倉とともにケアしようとするが助けなどいらないと龍一は頑なな態度。そこに来た志帆に龍一はすぐに退院すると言い放つ。
龍一は言葉通り、退院の手続きを始める。みどりは龍一が病院内で場所がわからなかったり、左右別の靴下を履いていたことが心配。志帆は龍一が体調を崩して高血圧や頭痛を訴えるようになってから物忘れをするようになったと言う。また、むち打ちでの入院も自動車のアクセルとブレーキを踏み間違えた自損事故だった。
龍一も認知症の不安を抱えてはいるが、精密検査はしていないらしい。志帆は羽倉に龍一に検査を受けるよう言ってくれないかと頼む。自分がもう一度医者を目指して病院を継ぐから検査してくれと…。どうやら龍一は未だに羽倉に希望を捨てていないようだ。だが、羽倉に答えることは出来ない。みどりは龍一が多数の薬を服用していたことを知り、志帆がつけていた薬の記録を預かる。
一方、羽倉は龍一の病室へ。羽倉は龍一に精密検査をするよう促すが、断られてしまう。さらに龍一は二度と自分の前に顔を見せるなと羽倉を跳ねつけた。羽倉が調剤室に戻るとみどりが何やら必死に調べている。みどりは薬を複数飲んだ患者に認知症のような症状が出たという論文を探していた。手伝いを頼むみどりだが、龍一は薬剤師を医者の奴隷などと言う人間だと断ろうとする。
すると、みどりは羽倉自身が薬剤師をどう思っているのかと問いかけた。医者になれなかった時に羽倉が薬剤師を目指したのは、違う方向でも患者のために何かをしたいと考えたのではないかと言うのだ。龍一のために薬剤師として最後まで責任を持てと続けるみどりに、羽倉は文献を調べ始める。夜遅くまで調べていたみどりが寝てしまうと瀬野が来た。何を調べているのかと瀬野に聞かれた羽倉は…。
朝を迎えた。退院しようとする龍一をみどりが引き留めに行く。しかし、龍一はみどりの言葉など聞こうともしない。そこに、羽倉が龍一の病気は治るかもしれないと探し当てた文献を持って現れる。精密検査の結果、龍一の脳に異常は見られなかった。龍一は認知症ではなく、多剤服用によるものだった。
病状が改善した龍一が、退院することになった。みどりは服用薬の説明をするが、相変わらず高飛車な態度。だが、みどりも臆さず、医者だからと言って一人で勝手に薬の判断をするなと告げる。多剤服用も薬剤師がチェックをしていたら防げていたと言うのだ。すると龍一は無言で席を立った。
みどりが龍一と志帆をロビーまで見送りに出ると羽倉が来た。羽倉は龍一に、今回救ったのは薬剤師だと認めるよう迫る。龍一は、そんな羽倉に病院を継いで欲しいとついに本音を漏らした。だが、羽倉は萬津総合病院に残って薬剤師を続けると答える。薬剤師でも患者を救うことは出来ると、今や羽倉は萬津総合病院の薬剤部を誇りに思っているのだ。龍一はそんな羽倉を素直に認め、よろしく頼むとみどりに頼んだ。
そんな時、樹里が体調を崩した。太一の容体が急変したことを知ったからのようだった。幸い太一は安定したが、樹里に与えたショックは大きかった。駆けつけたみどりに、樹里はようやく本当の気持ちを告げる。樹里は太一に告知せず、家族が嘘をつき続けていることが怖かったのだ。このままでは家族がバラバラになってしまうと涙を流す樹里は、みどりに助けを求める。