『SUITS/スーツ2』第5話完全版

甲斐(織田裕二)は、『コースタル・モーターズ』の自動車に乗っていた運転手が事故死した裁判で勝訴したものの、同社の自動車に欠陥があったことを示す社内メモが見つかったことで窮地に立たされる。甲斐自身はメモの存在すら知らなかったが、甲斐に対して強烈な敵がい心を抱く弁護士・富樫(髙嶋政宏)は、事実を隠蔽し、被害者とその遺族を法廷で侮辱した甲斐を徹底的に追及すると宣言していた。

この件を知った上杉(吉田鋼太郎)は、いまこそ団結して事務所を守るべきだと主張し、甲斐のために優秀な弁護士・副島絵美里(清水ミチコ)を連れてくる。だが、早急且つ秘密裏に和解を進めるべきだと提案する副島に、反発する甲斐。チカ(鈴木保奈美)は、そんな甲斐を制して副島を雇うことに。

一方、甲斐の秘書・玉井(中村アン)は、コースタル訴訟の資料の中から問題になっている社内メモを発見する。そこには玉井のサインもあった。思いつめた表情でシュレッダーの前に立つ玉井のもとへやってきた大輔(中島裕翔)は、彼女が持っていたファイルに違和感を抱き……。

そんな折、プロモーターの星川卓郎(田中要次)が、天才テニス少年と噂される高山雄哉(髙橋優斗)を伴って甲斐を訪ねてくる。雄哉は、プロ入りに反対する父親と、法的に親子の縁を切りたいのだという。甲斐は、この案件を大輔に任せることにする。

別の日、甲斐は、コースタル・モーターズ訴訟の被害者遺族・手嶋麻衣(須藤理沙)に会いに行き、コースタルが欠陥を隠していたことを伝える。しかし、甲斐のことをずっと恨んでいた麻衣は、二度と自分の前に現れるなと言い放つ。

そのころ幸村・上杉法律事務所では、蟹江(小手伸也)が愛猫のシピンをアソシエイトの八木田(坂口涼太郎)に預け、世話を命じていた。蟹江は、ここ数日シピンの体調が悪いことから、病院に連れて行くつもりでファームに連れて来てきたのだ。だが、猫アレルギーだった八木田は、満足に世話をすることが出来ず、蟹江の怒りを買ってしまう。その騒ぎを見た真琴(新木優子)は、猫に向ける優しさの100分の1でもアソシエイトに向けてあげてほしい、と訴えた。

大輔は、雄哉の父・健吾(高橋努)を呼び、話し合いの場を設ける。プロ入りに反対している理由を問われた健吾は、大人になるまでプロ入りは待てと言っているだけだ、と返す。そもそも幼いころからテニスを学ばせたのも精神の鍛錬のためであり、金の問題ではないというのだ。雄哉は、そんな父の言葉に、自分の人生が上手くいっていないからといって当たるのはよしてくれ、と反発し、裁判の手続きをしてほしいと大輔に訴えた。
11歳で父を亡くし、最後の会話はケンカだったという大輔は、自分がプロになるか父親と仲直りをするか選べと言われたら後者を選ぶ、と甲斐に告げる。すると甲斐は、それならば説得しろと告げ……。

玉井は、同僚のバースデーカードの件で真琴に当たるなど、普段とは様子が違っていた。すると玉井は、ファイルを持ってシュレッダーのある部屋へと向かった。しかし、ファイルを破棄しようとすると、電源が入らなかった。そこにやってきた大輔は、コンセントを抜いたと玉井に告げ、改めてファイルのことを問いただす。大輔は、甲斐がメモは存在しないという前提で動いていること、証拠書類を破棄すれば罪になることを告げ、とにかく甲斐を信じてすべて話すべきだと言って玉井を説得した。

玉井が甲斐にメモのことを打ち明けようとすると、そこに上杉と副島がやってくる。勝手に麻衣に会いに行った甲斐を非難する上杉たち。副島は、裁判に備えてファームのメンバーにヒアリングを行い、事実関係を確認するという。その一番手は玉井だった。

玉井は、自分のことだけでなく、甲斐のことも見下している副島に反発し、早々にヒアリングの席を立ってしまう。一方、チカも、甲斐は隠蔽などするはずがないとヒアリングで答えていた。そこで副島は、甲斐を信じるにあたって、彼にメモは受け取っていないという宣誓供述書にサインしてもらうことを条件に出す。

雄哉の練習場を訪ねた大輔は、健吾と仲直りし、プロ入りは高校卒業まで待つよう説得する。そもそも裁判所に親権停止を認めさせるには、虐待などの不適格な事由が必要だ、と続ける大輔。すると雄哉は、腕のアザを見せ、健吾から受けた暴力のすべてを記録したメモがある、と言い出す。

ファームに戻った大輔は、虐待のことを報告し、健吾の親権を停止させると告げる。そこにやってきたチカは、副島が正式に弁護を引き受けることになったと告げ、宣誓供述書にサインするよう命じた。部屋を出ようとしていた大輔は、それを聞いて慌て、とっさに甲斐のコーヒーカップを倒して宣誓供述書を汚し、サインを阻止する。そこで大輔は、メモが見つかったことを甲斐に報告し……。

甲斐は、玉井から直接事情を聞く。そこで甲斐は、メモが見つかったのは悪いことではなく、隠蔽でないことを証明できる、と玉井に告げる。すると玉井は、メモを破棄したことを涙ながらに告白する。
甲斐は、メモの件を、チカ、上杉、副島に伝えた。副島は、ファームを守るためにも、ただちに和解に向けて動くべきだとチカに訴えた。それに同意したチカは、これ以上この件に口を挟まないよう甲斐に釘をさす。

大輔は、健吾を呼び、虐待の件を切り出す。健吾は、虐待のことが記された雄哉の日記のことを知ると、悔しげな表情を浮かべたが、何も言い返さずに席を立ってしまう。雄哉と星川を見送りに行った大輔は、雄哉の表情がどこかおかしいことに気づいていた。

夕方、真琴は、蟹江の愛猫が病死したことを知る。シピンに食欲がなかったのは虫歯のせいではなく別の病気が原因だったのだという。ひどく落ち込んだようすの蟹江は、最期に立ち会えたのが救いだった、と力なくつぶやく。

同じころ、甲斐は再び麻衣を訪ね、問題のメモが見つかったことを伝えた。麻衣は、良心を持った人間の告発の声が何故消えてしまったのか、何故甲斐はそれに気づけなかったのか、と問いかけた。甲斐には、自分のミスだといって麻衣に頭を下げ……。

あくる日、大輔は、雄哉と星川に、裁判を止めると告げる。雄哉に嘘を付かせていたのは、星川だった。大輔は、専門家にも確認し、雄哉の体のピークがいまだという星川の話には信ぴょう性がないことも明かした。裁判の資料を破った大輔は、大人に振り回されているうちは子どもなのだからきちんとトレーニングをして精神の鍛練を積むと良い、と雄哉に助言する。

チカのもとにやってきた副島は、和解条件を伝える。それは、賠償金5億円と、甲斐の弁護士資格のはく奪だった。

真琴は、ファームに戻ってきた大輔に、マッチングアプリの紹介文を手伝ってもらった礼を言った。大輔のおかげで申し込みが殺到したのだという。だが真琴は、そのすべてを断ったという。続けて真琴は、大輔のデスクに置いてあった雄哉のサイン入りテニスボールが欲しい、と言い出す。真琴はそれを、落ち込んでいる蟹江にプレゼントした。

チカは、和解条件を甲斐に伝えると、玉井には解雇を言い渡す。それを受け、私物をまとめてファームを去ろうとする玉井。エレベーターホールの前で待って甲斐は、何も言わずに玉井が去っていくのを見送り……。