『SUITS/スーツ2』第8話完全版

甲斐(織田裕二)が訴えられた「コースタル・モーターズ」訴訟の件は、和解を進めることで一応の決着をみる。だが上杉(吉田鋼太郎)は、今回の一件におけるチカ(鈴木保奈美)の手腕に疑問を投げかけ、シニアパートナー会議を招集して、チカと自分のどちらがファームのトップに立つべきか投票によって決めたいと提案する。

甲斐は、大輔(中島裕翔)を東京駅まで呼び出し、上杉が休職したときと同じタイミングでファームを辞めたアソシエイトの尾形万智子(松本若菜)を探し出すよう命じる。形勢逆転を狙う甲斐は、このことをチカには伝えないよう念を押すと、どこかへ旅立って行った。

数年前――まだシニアアソシエイトだった甲斐は、チカから協力を求められる。ファーム内で横領している人物がいるというのだ。甲斐は、ジュニアパートナーへの昇格を交換条件にして、秘書の玉井(中村アン)とともに犯人探しを始める。

一方、その当時の大輔は、トラブルメーカーでもある悪友の谷元遊星(磯村勇斗)と一緒に暮らしながら、メッセンジャーの仕事をしていた。遊星の妹・砂里(今田美桜)は、そんな大輔のことを何かと心配していた。

ある日、遊星は、会わせたい女性がいる、といって大輔を飲みに誘う。そこにやってきたのは、大輔の元恋人・黒崎怜(吉谷彩子)と、怜の友人の矢代千夏(堀田真由)だった。

横領した人物を追っていた甲斐たちは、口座を管理していた万智子のパソコンから情報を得て、ファームの金が蟹江(小手伸也)に流れていることを知る。その報告を受けたチカは、蟹江を呼び出して自供させようとした。

だが、どうやら蟹江は、横領とは関係がないようすだった。そこで甲斐は、万智子のパソコンから得た資料に記載されていた名前を塗りつぶし、別のファームの資料だと偽って金融に強い蟹江にそれを見せ、からくりを暴こうと考える。

現在――大輔は、真琴(新木優子)に、万智子とコンタクトを取りたいと頼む。真琴は、パラリーガルとしてファームに入ったときから、万智子に可愛がられていたのだ。真琴のおかげで万智子との接触に成功した大輔は、不当解雇で「幸村・上杉法律事務所」を訴えないか、と持ちかけた。

そんな大輔に、甲斐と似た匂いを感じた万智子は、興味がないと言って席を立った。大輔は、万智子が弁護士の仕事を離れ、いまは飲食店の契約スタッフをしていることに触れ、彼女に書類を手渡した。そのとき大輔は、蟹江がそのようすを見ていたことには気づいていなかった。

数年前――甲斐は、蟹江の分析をもとに、6000万円もの金を横領していたのが上杉だったことを突き止める。チカは信じなかったが、直接上杉に会って確かめるという。

上杉を呼び出したチカは、証拠を突きつけ、横領の件を切り出した。すると上杉は、妻が乳がんのステージⅣであることがわかり、横領した金は国外の無認可治療を試すために使ったと答える。

一方、大輔は、怜に頼まれ、千夏と食事に行く。以前飲みに行った際に、大輔の驚異的な記憶力を知った千夏は、大輔のことを調べ、30万円で自分の代わりに予備試験を受けてほしいと依頼する。その際は怒って席を立った大輔だったが、祖母の結衣(田島令子)が介護が必要な状態だと知ると、100万円で千夏の替え玉を引き受けることにする。

そんな折、玉井は、真琴からの情報で、上杉と万智子が、毎週同じ時間に出かけていることを知る。上杉が都内のホテルにいることを突き止めた甲斐は、ルームサービスを名乗って彼がいる部屋を訪ねた。するとそこには、ガウン姿の万智子もいた。上杉と万智子は、不倫関係にあったのだ。

甲斐は、上杉の誕生日をサプライズで祝おうと偽って彼の妻とホテルのロビーで待ち合わせしていることを告げると、用意した書類にサインをするよう迫った。それは、後継者としてチカを指名する、という念書だった。

現在――蟹江は、大輔が万智子に会っていたことを上杉に報告する。そのことで上杉からクレームを受けたチカは、大勢の所員たちがいる前で、大輔にクビを言い渡す。それに反発した大輔は、不倫相手だからといって、万智子が上杉の横領を知っていたとは限らない、万智子はセクハラの被害者かもしれない、と激しく抗議した。万智子がクビになったままで、上杉だけが復帰するのは理不尽だというのだ。チカは、そんな大輔に、代表を決める投票が近いのだからそういう発言は止めるよう釘をさす。

数年前――チカが万智子にクビを言い渡した直後、甲斐のもとに、父親の栄治が急逝したという知らせが入る。悲しみに暮れる甲斐を、チカは食事に誘った。甲斐の父は、息子がジュニアパートナーになる日をずっと心待ちにしていたのだ。

現在――甲斐は、父の墓参りをしてファームに戻る。チカは、大輔のおかげでウワサが広まった、と甲斐に報告した。甲斐は、もう一度上杉を追い出し、玉井を呼び戻す、とチカに告げる。