放送中のオトナの土ドラ『恐怖新聞』で、主人公・詩弦(白石聖)の恋人・勇介に扮している佐藤大樹(EXILE/FANTASTICS from EXILE TRIBE)。

久しぶりの連ドラ出演、さらに大好きなホラー作品への参加という、ワクワクづくしの今作への思いや、撮影が行われた京都での思い出、そして、気になるプライベートについて聞いた。

中田監督からいただいた最高の誉め言葉が励みになりました

――『恐怖新聞』の初回で披露した白目が、かなり話題になりましたね。

中田秀夫監督からは「普通の白目でいいよ。もしくは、カラコンを入れるか」と言われていたのですが、できないことが悔しくて、撮影前日に白目の練習をしたんです。スマホで自撮りしては確認して、自分にできる最大の白目をやってみたら、監督やプロデューサーさんが「ここまで白目をみせてくれた役者は初めてだ!」と拍手してくれました。あれは嬉しかったですね。

――“白目俳優”の称号を得ましたか(笑)。

それは全然嬉しくない誉め言葉です(笑)。

――中田監督といえば、例えば「今の1.5倍驚いた表情で」など、具体的な数字を示して演出をつけることでも知られていますが…。

僕があるインタビューで「中田監督の数字を用いた演出が好き」と答えていたのを監督が読んでくださったみたいで、それ以降「佐藤くんが好きな数字の演出をやります」と言って、数字の指示がさらに細かくなりました(笑)。

――監督がTwitterで「大樹くんの真摯な準備が素晴らしかった」とつぶやいていましたが、かなり入念に準備したんですか?

撮影が行われた京都ではトレーニングジムに通っていたのですが、中田監督も同じジムに通っていたんです。僕がジムへ行ったら、監督が走っていたり、その逆もあったりで、そんな僕の姿を見て、監督はそう仰ったんじゃないかなと思います。

詳しくは明かせないのですが、勇介があるものを捨てる場面で、本気で怒り狂っている表情をしてほしいという指示があったので、本番前に少し時間をいただいて準備をさせてもらいました。監督には、場面場面において僕がベストを尽くせるよう、気を遣っていただきました。

――初めて挑戦するものも、いろいろあったと聞いています。

ホラー作品への出演が初めてで、まず苦戦したのはリアクションでした。非現実的なものを目にした時の恐怖って、自分が考えている数倍、それこそ5倍ぐらいでやらないと伝わらないと聞いたので、自分なりの“5倍”を表現してみたんです。そうしたら、監督が「うまい!」と一言。最高の誉め言葉をいただきました。

殺陣も初挑戦で、そこは一番時間をかけましたね。撮影がない日に、多い時で1日6時間ぐらいの稽古をしていましたが、時間をかけた分、見ごたえのあるシーンになったと思いますし、共演の方からも「佐藤くんって、初めての殺陣なの!?」と驚かれました。ダンスの身のこなしが殺陣に役立ったのか、ダンスをやっていてよかったと実感した瞬間でした。

――殺陣稽古でできた血豆がつぶれて、ハート型になったとSNSで披露していましたね。

ほら(と見せながら)!めっちゃ可愛いくないですか?(笑)。クランクアップの日にハート型になったので、運命的なものを感じました。

――佐藤さんはご自分のことを“M役者”だと称していましたが、過酷な状況のほうが、気合が入りますか?

入りますね。勇介と詩弦のシーンで、僕が台本1ページ分ぐらいを一人でしゃべるシーンがあって、そこは自分の納得がいくまで、何度もテイクを重ねさせてもらいました。

殺陣に関しても、監督から「勇介を一番カッコよく見せたいところだから、時間があれば刀を振ってくれ」と言われていたので、早めに撮影が終わった日などは自分から殺陣師の方に連絡を入れて、稽古をつけてもらいました。自分を追い込むことが好きなんでしょうね。

――そして、今回は主題歌「FEARS」を、THE RAMPAGE from EXILE TRIBEが担当していることも大きな話題となっています。

これまでいろんなタイプの曲を聴いてきましたが、「FEARS」のイントロを初めて聴いた時は、いい意味でTHE RAMPAGEっぽくないことに驚きました。THE RAMPAGEは3ボーカルなんですけど、3人のバランスが抜群で、見習いたいと思うぐらい艶やかで大人っぽい表現をしているんです。誰よりもこの曲を聴きこんでいますし、僕にとっても思い入れの強い曲です。

世の中でもっとも怖い存在は女性だということを『恐怖新聞』で実感しました

――撮影は約1ヵ月間、京都で行われたそうですが、どんな生活をしていたんですか?

基本的に朝は早かったのですが、僕は白石さんのように深夜までおよぶ撮影がなかったので、終わったら映画館へ行って感染症対策をして映画を観たり、毎日違う温泉やサウナへ行ったりしていました。

他には、この作品の撮影に入る前にずっと食事制限をしていて、白米も食べず、お酒も飲まない生活をしていたので、ひたすら一人焼肉の日々でした。

――ホラー作品というと、現場で怪奇現象が起きることが多いとよく聞きますが、佐藤さんも怖い目に遭ったのでは…。

撮影期間はウイークリーマンションで生活していまして、部屋のテレビが2インチぐらいしかなくて、今まで見たテレビで一番小さかったので、そのことに恐怖を感じました。そして、この間、朝起きたら足首を12ヵ所、虫に刺されていたんです。めちゃくちゃ怖かったですよ!

そういう“怖さ”じゃないですか(笑)?一番怖かったのは殺陣稽古ですね。真夏の炎天下、浴衣を着て、マスクにフェイスシールドをしながらの稽古だったので、体力的にも怖かったし、「水抜き」といって、大事なシーンの撮影の24時間前から水分を摂っていなかったので、体力がもつかなという恐怖を感じていました。残念ながらご期待されている、怪奇現象みたいなものはいっさい起きませんでした(笑)。

――そんな佐藤さんが、世の中でもっとも怖い存在は何ですか?

それはもちろん女性でしょう!この作品は恐怖新聞によって予告される恐怖の出来事がメインですが、他に人間がもつ怖さも描いていて、詩弦とその母親・歌子(黒木瞳)の女性ならではの迫力にも驚愕しました。

詩弦が勇介へ向け、これまで見せたことがなかったような睨みをきかせる場面があるんですけど、その表情を見た時に女性が怒った時が一番怖い、と実感したんです。だから、もっとも怖い存在は女性です。

――佐藤さんはEXILEとFANTASTICSのパフォーマーでもありますが、俳優として活動する時と意識の違いはありますか?

人前で何かを表現するという意味では同じですが、俳優さんと肩を並べて芝居する時は、一番にグループのことを知ってもらいたい、僕が少しでもダメな芝居をすると、グループ全体がそう見られてしまう、そして、“なめられちゃいけない”という思いをもって現場に入るようにしています。俳優業をやる時は、グループ名が自分の苗字のような気持ちです。

――双方の活動から影響を受け、活きてくることもあるのではないでしょうか。

役者さんって舞台でも映像でも、まず、監督から「じゃあ、こっちに動いて、その後はこっちに動いて…」と動きの段取りをつけてもらうのですが、僕の場合はダンスをやっているからか、セリフを言ってから動くのではなく、セリフと気持ちが連動して自然と体が動くので、監督から「すごくラクだ」と言われます。

そして、俳優業からアーティスト業に活きているのは、手の角度一つにしろ、より気持ちを込めて表現できるようになったことでしょうか。特に舞台を終えた後のライブなど、限られた空間での表現のレパートリーが増えたと実感できることも多く、メイクをして衣装を着てステージに立つことで、オンのスイッチが誰よりも早く入ると思います。

自粛期間は映画やドラマ、京都では水族館に癒やされました

――佐藤さんにとって“眼福”な存在は何ですか?

魚です。自宅ではメダカを10匹、ヌマエビを10匹、金魚を1匹飼っていて、京都滞在中もオオサンショウウオで有名な京都水族館へ行きました。入場するのに20分間ぐらい並んだんですけど、魚を見ると日頃の疲れが吹っ飛ぶんですよ。何時間でも見ていられますね。

――『恐怖新聞』の撮影に入る前は自宅で過ごす時間も多かったと思いますが、どんなふうに過ごしていましたか?

家にこもって映画やドラマを見ることが好きで、自宅にはドラマのDVD-BOXがたくさんあるんです。外出できない期間は昔のドラマを見返したり、配信されている作品を見たりして楽しんでいました。

――その中でハマった作品は?

「キングダム」の原作を読んだことがなくて、映画も観ていなかったので自粛期間中に初めて見たんです。そうしたら、こんなに面白いんだと、ハマってしまいました。僕もいつかああいう作品に出てみたいですね。

――京都は東京よりさらに暑かったと思いますが、これがあったから猛暑を乗り越えられたというものはありましたか?

この夏は週4ぐらいで朝食にソーメンを食べていました。簡単だし、食欲がない時でも食べられますからね。

――こだわりの食べ方があれば教えてください。

めんつゆだけじゃなく、白だしを加え、水で薄めるのが佐藤流。割合でいうと、めんつゆ7、白だし2、水が1。そこにコンビニで買ったきざみネギがあれば完璧です。

――最後に、勇介と詩弦がたどる運命が気になって眠れないという視聴者の方へ、メッセージをお願いします!

オトナの土ドラ史上、初のホラードラマということもそうですが、何より主演の白石さんのお芝居が素晴らしいので、白石さんが恐怖に怯える姿に注目してほしいです。そして、黒木さんの狂気あふれる怪演。詩弦と勇介も、出会いから最終回までジェットコースターのように関係性が変わっていきます。ドラマを見ている方が、そろそろ寝ようかなというような時間に、毎回「えっ!?」っと驚く展開が訪れるので、最終回まで楽しんでください。絶対に寝かせませんよ(笑)!

撮影:河井彩美