9月22日(火)よりスタートする、フジテレビ系5週連続特別ドラマ『DIVER-特殊潜入班-』。

秘密裏につくられた特殊な潜入捜査チーム、通称“D班”が犯罪組織に入り込み、機密情報を手に入れながら悪を駆逐していくノンストップサスペンスで、福士蒼汰は、主人公であるD班のメンバー、最凶の捜査官・黒沢兵悟を演じる。

兵悟はかつて窃盗や暴力事件など罪を犯す側にいたが、その高いIQや判断力、身体能力などを買われて潜入捜査官となった。悪と対峙するときには手段を選ばず、ときには命の危険をかえりみず、暴力手的な手段を取ることも。福士は、兵悟の内包する思いと表出する行為とを絶妙な加減で演じ、決して悪だけではない存在に、共感をも抱かせる。

福士は、そんな兵悟をどんな思いで演じているのか。また、共演者の印象や、撮影が行われた神戸での思い出、他人には理解されがたい福士自身の“正義”についても語ってもらった。

<福士蒼汰 インタビュー>

――黒沢兵悟はどんなキャラクターですか?

過去には暴力沙汰を起こしたり、詐欺を働いたりしていたんですけど、その能力を逆に警察から買われて、今は潜入捜査官チームの“D班”に所属しているという役どころです。

内面に闇を抱えていて、極悪非道でダークなところもあるんですけど、彼なりに信じた正義も持っていて。その正義は人とは違っているのかもしれませんが、見ていると「彼の正義が本当の正義なんじゃないか?」と思ってしまうようなところがあるんです。

ダークヒーローを演じるのは初めてですが、ダークな役のほうがアイディアも出るし、自由度が高いと思うので演じていて楽しいです。

――兵悟を演じることで、伝えたいのはどんなことですか?

善悪というものの認識です。兵悟は「これって善なのかな?悪なのかな?」と考えさせられる言動をする主人公だと思っています。

僕個人としても、いかに彼の内面のダークな部分を見せられるかを意識して演じているので、ドラマを見てくださる皆さんにも、そういうことを考えるきっかけにしていただけるとうれしいです。

――台本に「鋭い眼差し」「狂気的な笑み」などというト書き(表情や動きなどの演出の指定)がありましたが、それを実際にどう演じていますか?

原作が漫画なので、台本にもそういった表現がありましたが、そこはプロデューサーや、監督とたくさん話し合って、どうするかを決めていきました。

まずは「漫画の表現をそのまま演じるのはやめよう」と、よりリアルに近づけていくことになって。監督やカメラマンが作る画の力と僕自身のお芝居を合わせて、兵悟の危うい部分を表現できたらと思っていました。僕は、本当にこういう人っていそうだな、いたら怖いな、と思わせるようなお芝居をするように心がけています。

――兵悟は福士さんとは共通点が少ないキャラクターだと思いますが、そういう場合はどのように理解をしていくのですか?

どんな作品でもそう思うのですが、台本に書かれていることがすべて。自分自身との共通点が少ないからできないわけでもないし、多いからできるわけでもないので、台本に描かれているキャラクターを深く考えて演じています。

あとは現場に入って、監督から言われること、相手の役者さんとの関係性で、こうしたほうがお互いにキャラクターが立つな、と思うことをやる中で、段々と肉がついていって、そのキャラクターになっていくのかなと思っています。

座長として、皆さんが自由に意見を出してお芝居ができるような環境を築きたい

――今作はアクションも一つの見どころとなりますね。

潜入捜査先での兵悟の振舞い方によって、アクションの種類も違ってきます。強く見せるときもあれば、逆に弱いフリをするときもあって、いろんなレパートリーを見せられるので面白いです。

あとは、対佐根村(野村周平)、対伊達(安藤政信)という強い人物たちとの戦いもあって、それもやっていて楽しかったです。

ここ最近出演した作品では、ワイヤーを使うものや超人系のアクションが多かったので、それと比べると今回はリアルなアクションです。兵悟は武術を習ったことがないキャラクターなので、基本的に喧嘩殺法ですが、そんな兵悟と、自衛隊出身の佐根村がアクションをするときのミスマッチ感も楽しんでもらえるとうれしいです。

個人的には毎回そうですが、「自分が今までやってきたアクションの集大成を見せたい」と思ってやっています。

――兵悟と同じD班所属の佐根村将役の野村さん、D班班長の伊達直哉役の安藤さん、県警本部長の阿久津洋子役のりょうさんの印象を教えてください。

野村くんとは(フジテレビのドラマ『恋仲』以来)5年ぶりの共演です。この5年でお互いにいろいろなことを経験して少し大人になった今、また共演できることをうれしく感じています。

安藤さんは、一緒にお芝居するのがとても面白い方です。熱血漢な伊達という男を安藤さんがどう演じるんだろう、と楽しみに思っていたら、とてもまっすぐに来てくださって。兵悟は、その熱をかわしたり、利用したりするので、僕自身も楽しく演じさせていただいています。安藤さん自身はすごく繊細な方なんだなと感じています。周囲をよく見ていらっしゃる方で、周囲からの意見にも耳を傾けられるし、見習いたいなと思っています。

りょうさんは、(取材時点では)まだ1日しかお会いしていないのですが、フランクな方という印象です。それに、妖艶でミステリアスな雰囲気は阿久津にぴったりだなと思いました。

――今回はそんな共演者の方々を率いる“座長”となりますが、意識していることはありますか?

まずは作品の軸がブレないように作り上げることが大事だと思っています。「この作品が何を表現したいのか」「なんでこの作品を作っているんだろう」という部分は、主人公が体現する責任があるのではないかと思うので。その責任を持って一生懸命お芝居をしなくてはいけないなと思っています。

その上で、皆さんとコミュニケーションを取ることは大事だと思っています。今回は座長を務めさせていただいているので、皆さんが自由に意見を出してお芝居ができるような環境を築いていきたいですし、よりよい作品をみんなで作っていけるように、まず、自分が積極的に行動しなくちゃいけないなとは常に考えています。

物を並べたい願望が…ラベルが全部前を向いてないといけない

――本作は神戸を中心に撮影をしていますが、印象はいかがですか?

とにかく街並みがキレイなんですよ。撮影をしていているときも気持ちよかったんですけど、それを映像で見たときに、本当に1シーン、1カットの画に力があるのを感じました。この間は、神戸税関の辺りでも撮影したのですが、周辺の道や景色がすごくキレイで。こういうところをもっと見てみたい、と思いました。

先日、雑誌の撮影で神戸をぐるっと周らせてもらったんです。“BE KOBE”というモニュメントがあるメリケンパークの辺りは、ステキなカフェがあったり、ポートタワーが見えたり。おしゃれなエリアでデートコースにも使われるらしくて、ステキな街でした。南京町にも行きましたし、神戸牛も食べられて、満喫できたなと感じています。

――兵悟は他人には理解されない自分なりの正義を持っている人。福士さんにも“自分的には正義”だと思っていることはありますか?

いろいろあると思うんですけど…僕、几帳面なんです。物をキレイに並べたい願望がすごくて(笑)。例えば、冷蔵庫の中のものはラベルが全部前を向いていると気分がスッキリするんです。だから、飲み物は種類ごとにまとめて全部前を向かせています。

別に並べる必要はないんですけど、「これが美しくていいんだ」という僕なりの正義なのかもしれません。周りの人からは「コンビニみたい」って言われたりしますけど(笑)。

――それは冷蔵庫以外の場所でも?

玄関に物置みたいなスペースがあるんですけど、リップクリームなどの薬を並べている段があるのですが、それも全部前を向いてます(笑)。同じ商品は連続して置いて、違うものでも種類ごとに並べていて、それこそ「薬局か!」っていうくらいキレイに並んでいて、それはちょっと人に驚かれます。

――それを誰かに乱されたりしたらイラっとくるとか…?

汚されるのが嫌とかはなくて、自分の中の美学なだけなので、乱れたとしてもあとで直せればいいんです。

すべてにおいて几帳面というわけじゃなく、雑な部分もあるんですけど、基本的にはカバンの中身とかもどこに何があるかを把握しておきたいし、きっちりはしていいると思います。

――いよいよ『DIVER-特殊潜入班-』の放送がスタートします。最後に、視聴者メッセージをお願いします。

自分たちが普段何気なくやっていることについて、それが善なのか、悪なのかを考えさせられる作品だと思います。一度、自分の行為を見つめ直すきっかけになるかもしれないと思っています。

そして、エンターテインメント作品でもあるので、アクションは見応えがあると思うし、キャラクターも個性的で魅力的な人たちが揃っているので、面白く見ていただけると思います。ぜひ見てください!