『SUITS/スーツ2』第10話完全版

シニアパートナーによる投票の結果、『幸村・上杉法律事務所』のトップは、チカ(鈴木保奈美)に代わって上杉(吉田鋼太郎)が務めることになった。「ファームの未来を託してくれてありがとう」。上杉はそう挨拶すると、真っ先に甲斐(織田裕二)を呼び止め、これからは仲間として共に頑張ろうと声をかけた。

しかし、そんな言葉とは裏腹に、上杉は甲斐のオフィスを下の階に変更し、蟹江(小手伸也)を利用して、甲斐をファームから追放しようと画策し始める。

一方、最愛の祖母・結衣(田島令子)を失ったばかりの大輔(中島裕翔)は、その悲しみから逃避するかのように仕事に没頭していた。その深い悲しみを知り、大輔のことを心配する真琴(新木優子)。大輔は、甲斐や玉井(中村アン)にも、まだ祖母のことを話していなかった。

アソシエイト指導責任者の蟹江は、そんな大輔に甲斐の仕事を手伝わないように命じ…。

あくる日、結衣の葬儀が行われる。大輔のマンションを訪れた真琴は、何も準備できずにいた大輔を説得し、連れ出す。大輔は、参列者の前で挨拶をすることになっていた。だが、直前になって、祖母のことをよく知らない人たちに話すことなんて出来ない、と思い悩む。そこに、大輔の幼なじみで元恋人の怜(吉谷彩子)がやってくる。真琴と怜に励まされた大輔は、両親を交通事故で失った後、唯一の家族だった結衣との思い出を涙ながらに話した。

葬儀の後、大輔は、怜にも手伝ってもらい遺品整理をする。そこで大輔は、結衣が亡くなる前日、会いに行く予定を仕事でキャンセルしてしまったことを打ち明け、自分は誰にもお別れを言えていない、と続けた。すると怜も、中学時代、大輔に別れを言う勇気がなかったせいで最後のデートを断った、と告白する。見つめ合い、そのままキスをするふたり。そのとき怜は、結婚していることを大輔に伝えた。「ごめん、出て行って」。大輔は怜に告げた。

甲斐は、蟹江から雑用を押し付けられ、ストレスをためていた。蟹江からその報告を受けた上杉は、甲斐にストレスを与えることが勝利なのか、と問いかけ、期待していると続けた。

大輔は、休みを利用して渡米し、かつて暮らしていたボストンの部屋を訪れる。するとそこに、甲斐が現れた。甲斐は、大輔が購入していた茶色い袋に気づくと、それを預かっておくといってジャケットの内ポケットにしまった。甲斐と大輔は、酒を飲んで盛り上がった。が、ふと結衣のことを思い出して涙がでそうになり、孤独という言葉は嫌いだとつぶやく大輔。すると甲斐は、サックスプレーヤーだった亡き父のことを話し始める。有名ではなかったがファンも多かったという甲斐の父親は、そのファンの女性と結婚していた。

甲斐は16歳の時、母親が浮気していることに気づいたが、父には言えなかったのだという。「家族と一緒に暮らしていても孤独は感じるものだ」。甲斐はそう大輔に告げた。そんな中、甲斐は、かつて蟹江のウイスキーの中身を酢と入れ替えたいたずらの話を思い出す。それを聞いた大輔の提案で、ふたりはもう一度それをやろうと思いつく。

帰国した甲斐と大輔は、そのままファームへと向かった。すると、甲斐のオフィスに蟹江の姿があった。蟹江は、甲斐の留守中にこっそり彼のパソコンを調べようとしていたのだ。甲斐は、蟹江に殴りかかろうとするが、大輔に止められる。甲斐たちは、パソコンやファイルを調べたが、何かを仕込まれたような形跡はなかった。蟹江には、薬物などのトラップをしかけるほどの度胸はないが上杉はどうか、という大輔の言葉をヒントに、あることに気づく甲斐。

それは、問題になった「コースタル・モーターズ」のメモは、上杉が偽造して仕込んだのではないか、という疑念だった。

そもそも「コースタル・モーターズ」は上杉のクライアントであり、車の欠陥が発覚したとき、上杉はまだファームにいた。上杉は、「コースタル・モーターズ」社長の神崎(伊藤正之)から相談を持ちかけられたがそれを隠蔽し、甲斐を目の敵にしている富樫(髙嶋政宏)を利用して、甲斐に罪を着せようとしたのではないか、というのが甲斐たちの読みだった。

甲斐が真相を確かめるべく富樫に会いに行くと、富樫はメモが偽造だったことを認めた。一方、資料室で過去の書類を調べていた大輔は、欠陥が発覚した当時、上杉と神崎が会っていた証拠を見つけ出す。その姿を見ていた真琴は、いつもの大輔に戻ってよかった、と嬉しそうに微笑む。と、その笑顔に心を奪われた大輔は、思わず彼女にキスをして…。

一方、甲斐のオフィスでもみ合いになった際、かすかな薬物の匂いを感じた蟹江は、薬物検査をやらせてほしいと上杉に進言する。甲斐はそれを拒絶し、自分にはパートナーを集めて審査会を開く権利があるのだからそこで審議しろと言い放つ。

大輔は、証拠を集めるために神崎を訪ねる。大輔は、上杉に自動車の欠陥について知らせたという宣誓供述書にサインするよう神崎に迫った。しかし神崎は、和解は成立したのだから必要ない、といって去ってしまう。

「幸村・上杉法律事務所」では、シニアパートナーによる審査会が開かれる。そこで甲斐は、「コースタル・モーターズ」のメモが偽造されたものであることを切り出す。上杉は、欠陥については知るはずもないと主張し、自分を中傷したといって甲斐やチカを責めた。そこにやってきた大輔は、神崎が認めたことを皆につげ、宣誓供述書を見せた。上杉は、これは自分を悪者にしようとして無理矢理サインさせた嘘の証言であり、法廷でも認められないと反発した。するとチカは、パートナーたちに分かってもらえれば十分だと言い放つ。

上杉は、話を中断して、議題を甲斐の薬物使用に戻す。が、そもそも甲斐は薬物など使用していなかった。甲斐は、この審議会を開かせるために、蟹江を利用していたのだ。それでも上杉は、検査に応じなかった時点で負けだ、といって決を採る。しかし甲斐の解任に賛成したのは上杉だけだった。それを受けてチカは、上杉の解任についてパートナーたちの判断を求めた。シニアパートナー一同だけでなく、蟹江もそっと手を上げていた。その結果を受けてチカは、和解のためにパートナーたちが支払った1億7000万円は上杉の経営権と相殺でいい、と告げた。

甲斐は、大輔が持ってきた宣誓供述書が偽物だと見抜いていた。供述書に他人の名前でサインするのは犯罪だ、という甲斐。しかし大輔は、神崎の名前ではなく、自分の名前でサインをしていた。そこにチカと玉井がシャンパンを持ってやってくる。甲斐たちは、皆で勝利を祝った。

チカは、結果に納得していない上杉に、訴えてもいいがこちらも証拠をそろえておく、と告げる。それに対して上杉は、秘密保持契約書にサインすれば訴えない、というと、これですべてが終わったわけじゃない、と言い残してファームから出て行く。

その夜、大輔は、怜に電話する。マンションにやってきた怜と関係を持ってしまう大輔。するとそこに、真琴が訪ねて来て…。