毎週木曜22時からフジテレビで放送中の比嘉愛未の主演ドラマ『推しの王子様』。

比嘉が演じる主人公・泉美ら登場人物の“推し”への愛や、泉美と渡邊圭祐演じる航たちの恋模様が話題となり、毎話SNSなどで盛り上がりを見せている。

そこで、フジテレビュー!!は本作の貸川聡子プロデューサーに緊急取材。フジテレビュー!!のTwitterで募集した“推しプリ”ファンから寄せられた役や演出、セットなどに関する質問に答えてもらった。

さらに、展開が気になって仕方ない10話&最終話の見どころも聞いた。

※以下、質問をくださった方のTwitterアカウント名を表記しております。
質問の文言は、変更させていただいておりますので、ご了承くださいませ。

<貸川聡子プロデューサー インタビュー>

「ケント様は思った以上に渡邊さんに似てびっくり」「9話のキスシーンでよ~く見ると光井は…」

Q:「小さなゲーム会社の社長である泉美(比嘉愛未)が主人公というのは、珍しい設定に感じたのですが、その発想はどこから生まれたのでしょうか?」(mao-mao さん)

貸川P:「マイ・フェア・レディ」の逆バージョンをやりたいというのが企画の発端で、バリバリ仕事をしている女性がもし男性を育てたらどうなるんだろう…と話を膨らませていきました。そして、具体的にどんな女性がいいだろうかと考えた時に、組織で会社員として働くのではなく、自分で事業を立ち上げて好きなことを仕事にしている人物像が魅力的なのではないかと。

会社がもの作りをしている設定なら“男性を育てる”という部分ともリンクしますし、同時にソーシャルゲームやIT関連事業の業界が熱いという現状もあり、乙女ゲームを作っているベンチャー企業の社長という設定が生まれました。

ゲームの中には「どちらを選びますか?」という選択肢が多く登場しますよね。「彼を育てるのか?育てないのか?」「何を教えて育てていくか?」など、どの選択肢を選ぶかで先の展開が変わっていくワクワク感というのは、ドラマの裏テーマにもなっています。

Q:「渡邊圭祐さんをモデルにケント様が誕生したのでしょうか?それともケント様に似ている渡邊さんを選ばれたのですか?」(あお さん)

貸川P:渡邊さんのキャスティングが決まってから、今回コラボした「ボルテージ」というゲーム会社さんを通じて、彼のビジュアルをベースにしたイラストを制作していただきました。

8つくらいの候補作の中から1つを選んで、劇中で泉美が「アゴをもうちょっとシュッとさせる」などとやっていたように細かい修正を加えていったのですが、思っていた以上に渡邊さんに似たのでびっくりしました。渡邊さん自身が二次元的な容姿をお持ちだったことも大きいと思います(笑)。

Q:「光井(ディーン・フジオカ)は、一緒に起業すると決めたときから泉美のことが好きだったのでしょうか。光井さんの気持ちの変化を知りたいです」(ノアール さん)

貸川P:そこは描いていないので、ご想像にお任せしますが…(笑)。私の中では、起業前から好きなことに突き進んでいる泉美を魅力的だと感じていた一方で、純粋にパートナーとして組んだら面白そうだから起業に誘ったのだと思っています。

光井は「どっちを取るか聞かれたら、面白いほうを選ぶ」というタイプなので、泉美と仕事をしたらワクワクするだろうなという思いが強かったのでしょうね。起業して一緒にやっていく中で、好きだという気持ちが育っていったのではないでしょうか。

Q:「光井があのスペックで独身なのが気になります。何か過去とかがあるのでしょうか?」(Fれいこ さん)

貸川P:光井は、永遠の映画オタク青年なんです。学生時代はお金もなくて映画一辺倒で、全然女っ気はなかったという裏設定で、好きなことを一生懸命やっていたらここまで来てしまったのでしょうね。

もちろん、仕事はできる人なので会社では大人ですが、実は恋愛下手なために泉美との距離感もなかなか詰められなかった。9話の泉美とのキスシーンは、視聴者のみなさんに“美しい”と言っていただいていますが、よ〜く見るとディーンさんが少し震えているんですよ。体も微妙な距離感で、キスもこなれているわけではない感じのお芝居をしてくださって。それが“ミッチー”なんだなと。

バツイチとか、何か事情があるわけではありません(笑)。

Q:「8話で、泉美が『航のことがたぶん好きだけど告白は断った』『それは後悔していない』と言ったときに、『それでいいの?』と光井が返します。その直前に光井が何か言おうとしていましたが、演出の意図を教えてください」(いっしゃん さん)

貸川P:難しい質問ですね。泉美が航を好きだというのは、光井も薄々感じてはいたけれども、ハッキリ言われたことの衝撃がまずはあったと思います。そんな光井の中には航を選んでほしくないという嫉妬もあるけれど、一方で、泉美が感情に蓋をして苦しんでいるのも知っている。「何か言おうとする」と台本に書いてあったわけではありませんが、その相反する感情の揺れ動きを監督とも確認した上で、ディーンさんがあの表現をしてくださったのだと思います。

“推し”のグッズは実はいろいろと作られていた!ポーチにはケント様のセリフも

Q:「皆さんの仲の良さが画面から伝わってきますが、そこから生まれたアドリブはありましたか?」(愛美 さん)

貸川P:1話のペガサス・インクの立ち上げ当時の回想シーンが、有栖川(瀬戸利樹)らペガサスメンバーのクランクインの日だったんです。最初はそれぞれが距離感を測っている感じもあったのですが、すぐに波長が合っていたのが印象的でしたね。

光井が芽衣ちゃん(徳永えり)から「ドMか」と言われるシーンで、ディーンさんは「もっと『ドMか』って言いやすいように、僕の直前のセリフを考えよう」と提案してくれて。最終的にそのシーンでは「泉美ちゃん、もっとアイディア出して!極上な…すっごいの!」というセリフを採用しました(笑)。

その後も、みんながワチャワチャ話しているシーンでは、ディーンさんが率先してアドリブを言って、周りがそれに乗っかっている感じでした。比嘉さんとディーンさんが、現場の空気を作ってくれていますね。

Q:「ペガサス・インクのデスクに飾られた、それぞれ推しグッズにとてもこだわりを感じました。あの祭壇は、どのように作り上げたのですか?」(7月 さん)

貸川P:美術さんと一緒に「ボルテージ」のオフィスに取材に行ったのですが、皆さん、デスク周りに“推し”のグッズを飾っているんですね。それを愛でながら仕事をしているとうかがったので、そこで取材したものをベースに飾っていきました。

美術さんはグッズをたくさん作ってくれて、ケント様グッズはポーチ、タンブラー、キーホルダー、コースター、マウスパッド、お弁当箱とか、とにかくいっぱいあります。撮影後には、出演者のみなさんに記念に持ち帰っていただきました。

ポーチには「好きなだけ入れていいんだよ」、お弁当箱には「忘れられないランチタイムにしよう」とか、ケント様のセリフも書いてあるので(笑)、劇中で映り込んだときにじっくり観察してみてください。

あと、芽衣ちゃんの“推し”2.5次元俳優・三上様(仲村宗悟)も、グッズやツーショット写真を撮るために何度も衣装替えをして、時間をかけて何パターンも撮影しました。

『推しの王子様』には何かを“推す”ことの素晴らしさを伝えたいというのがテーマのひとつとしてあって、オタクであるとか何かを“推している”ということが、特別でもなければ周囲から引かれることでもないという世界観を作りたかった。そのためにも、細かい作り込みが必要だったんです。

Q:「先日行われたインスタライブで、渡邊さんが監督から『泣かないで』と台本に注意書きをされたシーンがあったと言っていましたが、それはどこですか?」(MAYU さん)

貸川P:これから放送するシーンなので、詳しくはお答えできないんですよね…。結果として泣くのはいいんだけど、まずは泣かないでやってみようか、と監督が渡邊さんに話して撮影していたので、放送を楽しみにしていてください。

ご質問のシーンではありませんが、7話で航が泉美にフラれるシーンは、渡邊さんに「泣いて」とオーダーしたわけではなかったのですが、渡邊さんの気持ちが本番に向けてどんどん入っていって、とてもきれいな涙を流してくれました。航の真っ直ぐな思いが伝わっていいシーンになったと思っています。

泣きのシーンつながりでは、泉美を演じる比嘉さんも気持ちがぐっときて涙が流れてしまうシーンがたくさんありました。10話にもありますので、注目してください。

「何かを推している人が“推し”」推し活のブログから元気をもらう

Q:「貸川さんの一番の印象に残っているシーンは?」(佐藤文広 さん)

貸川P:2話にレストランで、航が泉美の元同僚・井上(池田良)の頭に水をかけるエピソードがありましたよね。あの後に、泉美と航が話しているシーンがすごく好きでした。

これまで一生懸命頑張ってきた泉美が初めて本音をこぼして、航が一つひとつ言葉を探しながらそれを受け止める。航はまだまだダメダメなんだけど、自分の気持ちをどうやって言葉にして伝えようか考えている様子を、渡邊さんが真っ直ぐに演じてくれて、頑張っている女性に刺さる名場面になりました。

Q:「貸川さんの“推し”はなんですか?」(京華 さん)

貸川P:何かを推している人たちが、私の“推し”です。学生時代、自分も推しているアイドルがいたのですが、その頃、ネット上で推しについての盛り上がりを読むことにハマっていました。ジャンル問わず、Twitterやブログに綴られている“推し活”に対しての思いを読むのが好きで、その熱量の高さから元気やインスピレーションをもらっています。

熱量だけでなく、ワードセンスも素晴らしかったり、文章がすごく面白い人も多くて。推しにいろいろあり、アカウントを閉じちゃう人とかもいて、そういうのは寂しかったりするんですけどね。

最終回まで待てない!泉美の仕事&恋はどうなる?

――最終回の見どころをうかがう前に、まずはここまでの放送を改めて振り返っていただけますか?

このドラマの裏テーマは、仕事や恋愛で悩んだりぶつかったりする30代の働く女性をリアルに描くことでした。推しソックリの子が空から落ちてきて、その男の子を育てるという設定はファンタジーでも、泉美がそこで感じる思いとか、いろいろなものの間に挟まれて苦しんだりする様子は、リアルに描きたかったんです。比嘉さんは泉美の心境にすごく共感してくださって、リアル感を上手に表現してくれたので、とても感謝しています。

渡邊さんも、てらいのない真っ直ぐなお芝居をしてくれる俳優さんで。航役は素直に演じてほしいとお願いしたら、本当に真っ直ぐに受け止めて素直に表現してくれたので、そこが航の性格と最高にリンクしたと思っています。

――最終回前の10話は、予告を見るだけでも泉美が苦しそうで胸が痛みますが、どんな展開になるのでしょうか?

仕事の面では、ランタン・ホールディングスの傘下に入る決断をした泉美と、ペガサスのメンバーがどうなっていくかが核となります。ゲーム会社にとっては、大手の傘下に入るのはステップアップのチャンス。一方で制約を受けることも多くなるので、そのいい面と悪い面が見えてくる中で、8話から泉美が抱えてきた矛盾が浮き彫りになっていく。苦しい展開にはなりますね。

恋愛に関しては、泉美は光井と付き合い始めますが、長年パートナーとして仕事をしてきた2人が付き合うとどうなるのか…こちらも一つの“あるある”だなと共感してもらえると思うので、見守っていただきたいです。

――最後に、最終回の見どころは?

ドラマを最後まで見ていただいたみなさんに、仕事でも恋愛でも「好きなものを好きって言える自分でいよう」と思っていただけたら最高ですね。好きなものを好きだとちゃんと言うためには、努力もしなければいけないし、素直でいなければいけない。でも、そういう自分でいることが大事だよねと感じられる最終回になると思いますので、楽しみにしていてください!