『推しの王子様』第7話完全版
航(渡邊圭祐)は、泉美(比嘉愛未)の指示で、過労で倒れて病院で治療を受けた杏奈(白石聖)を自宅まで送り届ける。航は、大学の勉強とインターンとしての仕事を両立させようと頑張ってきた杏奈をねぎらうと、何かあったら頼ってほしいと告げて帰っていく。
「無事に送り届けた」という航からのメッセージを受け、ホッと胸をなでおろした泉美は、航への返信に、「今日はどこに泊まるの」と打ちかけるが、それを消去すると「ありがとう」とだけ打って送る。
あくる日、社長室にやってきた航は、次の給料が出るまでの間、もう一度同居させてほしいと頼む。それを了承する泉美。
一方、社内では、芽衣(徳永えり)やマリ(佐野ひなこ)が、社内コンペで決定する「恋する森の中へ」の新キャラクターのデザインを着々と進行。コンペへの参加を表明していた航は、芽衣たちのデザインが気になり、気持ちばかりが焦るもののまだ何も描けていなかった。
泉美は、光井(ディーン・フジオカ)に、航と和解することができたと報告する。光井は、泉美が明るさを取り戻していることにすぐに気づき…。
その夜、航は、スーパーの買い物袋を掲げながら泉美の部屋にやってくる。航は、迷惑をかけないように食事くらいは自分で用意しようと思ったらしい。そんな航と、キッチンで一緒に料理する泉美。こうして、航と過ごす最後の1週間が始まった。
体調が戻った杏奈は仕事に復帰する。泉美は、心配をかけてしまったと謝る杏奈に、無理をしないよう命じ、航も心配していたと告げる。杏奈と幼なじみの航は、彼女が頑張り過ぎてしまうことをよく知っていた。泉美は、子どものころを航はどんな子だったのか、と杏奈に尋ねた。それに対して杏奈は、明るくて元気なタイプだったが、両親が離婚してからは絵も描かなくなった、と答えると、いまの航は昔のように前向きになっているような気がする、と言って笑顔を見せた。
ほう泉美が帰宅すると、航がリビングで新キャラの制作をしていた。航は、自信なさげに、2つのデザイン案を泉美に見せ、意見を求めた。自身が良いと思っていたほうを泉美が選ばなかったことに、微妙な表情を見せる航。それに気づいた泉美は、周りを気にしないで自信を持って描いたほうが良いとアドバイスするが…。
そんな中、思わぬ事態が起きた。「ラブ・マイ・ペガサス」は自分のアイデアを盗んだものだ、と訴えるブログ記事が投稿されたのだ。その記事が拡散されていることから、動揺する有栖川(瀬戸利樹)らスタッフたち。泉美は、自分たちは間違っていないという事実だけで大丈夫だから、何も対策はしなくて良い、とみんなに告げる。しかし航は、泉美に対する誹謗中傷が溢れかえっている状況に納得できずにいた。
その日の夕方、杏奈は、帰り支度をしていた航に、寄り道をしようと声をかける。商店街でコロッケを買い、食べ歩く航と杏奈。航は、思うようにデザインが進まずに焦っていたところを、気分転換に誘ってくれた杏奈に礼を言った。
2人は、地下鉄の駅入り口で別れた。だが、杏奈は、「今日は電車に乗らずに歩いて帰る」という航のことが気になり…。
航は、帰宅した泉美にデザイン案を見せる。思った以上の出来栄えに感心する泉美。しかし航は、まだ自信が持てていない様子だ。そんな航に、泉美は、「昔は絵を描くの、好きだったんだよね?」と問いかけた。そこで航は、子どものころは夢中で絵を描いていて、それを見た母親が笑顔になることがうれしかった、と話し始める。だが、父親が勤めていた会社が倒産したことがきっかけで両親が不仲になり、母親が家を出て行ってしまったことで何もやる気にならなくなり、それ以来、ずっと不安を抱えているのだという。
泉美は、自分が何かをしても何も変わらないと思うようになったという航に、自分もそうだったが、乙女ゲームに出会ったことで「そんなことはどうでもよくなった」と伝える。泉美は、何かを好きになるという気持ちは儚いものだが、だからこそ凄いエネルギーを生み出せる、と続けると、航が悩んだり、遠回りした経験は航だけの武器になる、と言って励ました。
翌日、泉美のもとに、思いつめた表情で杏奈がやってきた。そこでいきなり、航とはどういう関係なのか、と切り出す杏奈。実は昨日、杏奈は、歩いて帰ると言って去った航のあとをつけていたのだ。そこで杏奈は、航が入っていったマンションに泉美が帰ってくるところを目撃していた。
泉美は、生活費も何もない航をしばらく居候させていただけで、次の給料日には出て行くことになっている、と杏奈に話す。しかしその答えに納得できない杏奈は、そういうことではなく、本当はどうなのか、と問い正した。すると泉美は、航も杏奈も大事なスタッフで、2人のことは応援している、と返し…。
同じころ、有栖川は、「ラブ・マイ・ペガサス」のファンによるある投稿を見つけ、声をあげていた。その投稿者は、5年前にアイデアを考えていた、という盗作疑惑のもとになったブログの日付が、偽造されたものだと告発していた。安堵するスタッフたち。航も、改めて社内コンペに向けた資料作りに集中しようと決意する。
キャラクターコンペ当日。「ランタン・ホールディングス」からメディア事業部部長の小島(竹森千人)と、第一営業部部長の野島(永山たかし)がやってくる。そこに泉美と光井が加わり、4名で審査をすることになっていた。
マリ、芽衣に続いて最後に登場した航は、3兄弟の従兄弟という設定の「月<ルナ>」というキャラクターをプレゼン。まるで今の航自身の気持ちを投影したかのようなルナのキャラクターに、心を惹かれる泉美たち。審査の結果、満場一致で選ばれたのはルナだった。
その夜、泉美はお祝いにワインを買って帰宅する。航はまだ帰ってきていなかった。それからしばらく後、帰宅した航は、ソファーで眠ってしまっている泉美に気づく。泉美にブランケットをかけてやる航。その寝顔を見つめていた航は、スケッチブックを取り出し、眠っている泉美の姿を描いた。
目を覚ました泉美は、航が持っていたスケッチブックに気づく。航の優しい目線がそのまま現れているような絵を見つめる泉美。そんな泉美に、航は自分の思いを伝えた。気づいたらいつも泉美のことを考えていたこと、ずっと泉美に認めてほしいと思っていたことを。
「泉美さんのことが…好きです」。
しかし泉美は、航はもう十分成長したのだから卒業しなければ、といってその思いを受け入れなかった。「私にこだわっていたら、あなたはそこで止まっちゃう。私の器の中でしか大きくなれない」。そんな言葉に、泉美が認めてくれるならそれでいい、と返す航。それでも泉美の答えは変わらなかった。「今までありがとう」――泉美は、そう言い残して寝室に入り…。
翌朝、航は、静かに泉美の部屋を出て行く。航が残していったデッサン画を見つめていた泉美の目からは涙が溢れて…。
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