9月4日(土)23時40分より、伊野尾慧主演、オトナの土ドラ『東海テレビ×WOWOW共同製作連続ドラマ 准教授・高槻彰良の推察』Season1 第5話が放送される。

本作は、完全記憶力を持つ民俗学の准教授・高槻彰良(伊野尾慧)と、人の嘘がわかる大学生・深町尚哉(神宮寺勇太)の凸凹バディによる謎解きミステリー。

『東海テレビ×WOWOW共同製作連続ドラマ 准教授・高槻彰良の推察』の記事はこちら!

第4話「白い服の幽霊の怪」では、映画の撮影現場で起きる怪奇現象の謎を解明。芸能界の裏事情も垣間見え、市川由衣演じる女優・藤谷更紗のセリフは、見る者の心に訴えかける力強さがあった。

主演の伊野尾や、ストーリーテラーとなっている神宮寺ら、眉目秀麗な男性キャストに注目が集まりがちの今作だが、実は女優陣も若手、演技派、個性派が集結した豪華なラインナップとなっている。

今回は、そんな女優陣にスポットを当て、それぞれの名シーンを番組プロデューサーが選出。前半戦をプレイバックする。

『准教授・高槻彰良の推察』前半戦!豪華女優陣プレイバック

第1話ゲスト:志田未来

コックリさん騒動に揺れる小学校の教師役で出演。番組Pは、悩みながらもベストシーンとしてコックリさん騒動を引き起こした原因を、志田が告白する場面を挙げた。

番組プロデューサー:コックリさんによって起きた現象を主人公が解明し、物語は一旦収束するかに見えるんです。でもそこで、志田さん演じる教師・まりかの声が歪む(※嘘を吐くと声が歪んで聞こえる)。そのセリフを口にする志田さんの表情がまさに「無」なんです。その直前まで相談者として普通にリアクションしていた分、その「無」がいい意味でものすごく気持ちが悪い(笑)。物語の外にいたはずなのに、その表情ひとつで第1話の主役に躍り出た。そのあとの感情の吐露はさすがの一言。圧巻の芝居力で現場の空気すら一変させました。


志田はそのシーンで2回、「気持ちが楽になりました」と同じセリフを口にする。同じセリフのはずなのに、まったく違う心情が視聴者に届く、圧巻の演技を見せた。

第2話ゲスト:山田杏奈×金澤美穂

姉妹役として「わら人形の呪い」にかけられた妹と、妹を守ろうとする姉の姉妹役として出演。この話では衝撃的なラストが視聴者を待ち受けていた。事件解決と思いきや両者の声が歪み、嘘を吐きあったままエンディングを迎えた。

番組プロデューサー:山田さん演じる大学陸上部の期待の新人・綾音は、実は自作自演で怪異を引き起こしていたんです。そんな山田さんのベストシーンは、冒頭のグラウンドを走っている場面。状況説明として陸上選手である綾音が練習で走っている描写なのですが、その表情がすでに深い悩み、葛藤を感じさせていたのは、山田さんの感受性あればこそかなと。あの顔を見せられたら、監督もプロデューサーも惚れますね。

姉の琴子を演じた金澤さんも、最初に主人公に相談に来るシーンがすごかった。妹を心配して相談に来るのですが、一瞬、ココアを飲みながらものすごく意味深な表情を浮かべられたんです。あの顔一つでこの人にも何かある、と感じさせるのはさすがの一言です。

第3話ゲスト:奥村佳恵

鬼伝説が残る村の住人・鬼頭(久保酎吉)と、その息子の妻・実和子を演じたのが、奥村佳恵。

番組プロデューサー:第3話は、原作にもある鬼の伝承が残る村での悲しい事件を描いたストーリーなんです。鬼の骸骨が見つかったと思いきや、それは江戸時代の人の骨で、それがきっかけで裏にあるもうひとつの死が浮かび上がってくる。

そんなストーリーの中、奥村さん演じる実和子は、幼子を抱えて村に住む普通の女性。の、はずなんですけど、最初の登場から不穏な空気感をまとって演技をしてくれました。「絶対この人、怪しいぞ」って(笑)。なのに、ラストで主人公が真実を解明したときに、一気に感情を爆発させて思いを吐き出したシーンが、もう人の弱さとかやさしさとか全部を表現していて…。最後の涙はずるい。あれを見せるためにずっと怪しくしていたとしたら計算がすごすぎます。

あと、やっぱり久保さんのベストシーンもいいですか?途中で洞窟の中で慟哭する久保さんは圧巻でした。編集を担当しているスタッフがわざわざ「鳥肌たちました」と言いに来たくらいですから。

第4話ゲスト:市川由衣×馬渕英里何

映画の撮影現場で起きる怪奇現象がテーマとなった。ゲストは、女優の藤谷更紗を演じた市川由衣と、マネジャーの宮原を演じた馬渕英里何。

番組プロデューサー:

第4話は芸能界のお話で、登場人物たちが感じる悩みや葛藤は、おそらく多かれ少なかれ市川さんも馬渕さんも感じていたり、身近に見ていたりすると思います。そういう意味では、自分の中で役柄をイメージしやすい設定だったかもしれません。

ただ、脚本の藤井さんと台本を作る際に、第4話の裏テーマとして据えたのが、女性が生きていく上での「年齢の壁」なんです。一般社会でもそうだと思うのですが、日本はまだまだ「若さ」が価値基準のひとつになりがちで、芸能界は特にそれが強い。そこへの抗い、がむしゃらさみたいなものを真っすぐに表現することで、女性を縛る変な枠組みを取っ払ってしまいたいなと。

市川さんも台本のその部分を感じてくださり、ラストの思いを吐露するシーンに全力で臨んでくれました。台本に書かれていない部分も含めて更紗の人生すべてを乗せる珠玉の1カットになったと思います。

一方、馬渕さんは、登場からいい意味で偉そう(笑)。いるいるこんな人、というキャラクターをさらにデフォルメして、でもリアリティを感じさせていたのはさすが。冒頭、高槻が飲み物を勧めるシーンがあるのですが、伊野尾さんがセリフを言い終わる前に「結構ですぅ」とぴしゃり。その芝居、モデル誰かいるでしょ!?って現場で笑いをこらえるのが大変でした。でも、そんな芝居を重ねておいて、最後のお辞儀で全部OKにしてしまう。あの一礼だけで、更紗と宮原が良い関係なんだなとわからせるのはすごいです。

そのシーンについて、市川と馬渕はインタビューにこう答えている。

市川:若いころから女優をしている更紗と同じように、私も14歳から女優を始め、この業界のいろいろな面を見てきているので、更紗が感じていることに共感できる部分は多かったです。悩みを誰にも言えず、ずっと心の中に“あるもの”を抱えながらも、女優という仕事を一生懸命やっている姿や、それを吐露する姿は、演じていて胸に迫るものがありました。

馬渕:私は、更紗のセリフを聞きながら「こんなふうに思わせてしまって申し訳ない」とか「この痛みって、私(マネジャー)の痛みでもある」とか「もっと彼女を輝かせる仕事を取ってこなきゃいけない」と思いながら、宮原を演じました。私だったら、そういうマネジャーさんに側にいて欲しいので。

ヒロイン:岡田結実

このドラマのヒロインで高槻研究室の大学院生・生方瑠衣子を演じる岡田結実。怪異や人の抱える闇など、暗くなりがちな物語の空気感をふわっとやわらかくしてくれるこのドラマの癒し的存在だ。

番組プロデューサー:このドラマは、キャラクターが強い登場人物ばかり。そんな中で、瑠衣子は誰よりも「普通」な存在なんです。実は「普通」が一番難しい(笑)。

モノマネもクセがある人をまねるのは簡単ですよね。どうやって「普通」を表現するのかって、本当に役者泣かせなんです。でも、岡田さんはひとつひとつのセリフ、しかも相手のセリフを大事にして、その言葉に対して素直にリアクションをしてくれています。

「そうか、相手に合わせることで『普通』も表現できるのか」と、若い岡田さんに教えられた気がしています。きっと岡田さん自身の素直さ、表裏のなさが瑠衣子を生かしてくれているんだなと。

そんな瑠衣子の一番好きなシーンは、ちょうど次回放送の第5話に出てきます。尚哉のとあるセリフを受けたあとの「そっか」という一言なのですが、そこに瑠衣子が抱えている感情、尚哉に対するやさしさ、高槻への思い、全部が乗っていて…現場でモニター見ながら、ちょっと感動して泣きそうになってしまいました。

第4話「白い服の幽霊の怪」を見逃した方、もう一度見たい方はFODをチェック!

<第5話あらすじ>

嘘がわかる能力を失い「助手を止めさせてほしい」と、尚哉(神宮寺勇太)が言ってくる。高槻(伊野尾慧)は「わかった」と受け入れるが…。

そんな中、なぜか不幸続きの難波(須賀健太)が尚哉に泣きついてくる。原因は、不幸の手紙にありそうだが、こともあろうに高槻は、自分が代わりに呪われると言い出す。

さらに「隣のハナシ」に新たな相談が入る。相談者は、桂木奈々子(鞘師里保)。一人暮らしの部屋で何度引っ越しても怖い体験が続くのだという。原因を調査すべく、瑠衣子(岡田結実)と不動産店に向かった高槻は、そこで店主の山口(螢雪次朗)と息子の雅史(金井浩人)に会う。