金と欲望が渦巻く新宿歌舞伎町を舞台に、裏社会のトラブルを一掃する解決屋の活躍を描いた映画「クロガラス」シリーズ最新作「クロガラス3」が9月3日(金)、「クロガラス0」が9月17日(金)に2作連続で公開される。
2019年に公開され、ヒットした映画「クロガラス1」「クロガラス2」は、金さえ払えばどんなに危ない仕事も引き受ける解決屋・クロガラスを率いる神崎黒斗が主人公。
前作からの続編「クロガラス3」では解決屋vs解決屋の新たな抗争が描かれ、始まりの物語「クロガラス0」ではヴェールに包まれた黒斗の過去が明らかに。
そんな東京アンダーグラウンド系アクションエンターテインメントムービーで、主人公に扮した崎山つばさにインタビュー。2年ぶりに演じた黒斗というキャラクターや新たな宿敵の登場について、また、自身が解決してほしいトラブルなどを聞いた。
自分の本質を語らないという点で僕と黒斗は共通している
――前作から2年を経ての新作ですが、完成した作品を観た感想を聞かせてください。
解決屋としての黒斗の仕事ぶりはもちろん、クロガラスといえばという“必殺机蹴り”も健在です(笑)。前作の続きではありますが、解決屋メンバー・悠哉(植田圭輔)の過去が明らかになるなど、いろいろな要素がつまった作品です。さらに、解決屋vs解決屋という新たな切り口の物語も描かれているので、見ごたえたっぷりのストーリーになっていると思います。
――黒斗の顔つきに凄みが増したように感じたのですが、どんなことを意識しての表情だったのでしょうか?
演じた僕自身も2歳年齢を重ねたわけで、その間にも黒斗は多くの問題を解決してきたと思うんですよ。そのたびに人間としても男としても、さらに、社長としても成長した黒斗の姿を見せたいと考えたので、描かれていない時間が黒斗の佇まいに表現できれば、という気持ちで臨みました。
――口調や所作などで気を付けたことはありますか?
僕の中でこれは黒斗っぽい、これは黒斗っぽくないという線引きがあって、それはシーンによっても変わってくるのですが、そこを気にしながら演じました。たとえば、座り方一つをとってもふんぞり返ってしまうと黒斗っぽくないし、逆に背筋を伸ばし過ぎると黒斗ではなくなってしまう。絶妙な角度を保ちつつ、そこからどうやって動くかみたいなことを意識していました。
――そんな黒斗と崎山さん自身の共通点はありますか?
あまり自分の本質を語らないという点では通ずる部分があるかもしれません。もちろん僕自身はこういう仕事をしているので聞かれたことには答えますが、基本的に自分から自分の内側を明かすことはほとんどないですね。黒斗の場合、感情をダイレクトに出すこともほぼありませんし、「お腹すいた」とか絶対に言わなさそうですよね(笑)。
バットで殴られるシーンは冷静な顔をしながら、内心「めっちゃ怖い」って(苦笑)
――今回は黒斗のライバルとして、解決屋の真柴理玖(渡部秀)が登場しましたが、彼の印象を聞かせてください。
一筋縄ではいかないクセの強いキャラクターで、演じた渡部さんも“帝王感”にあふれていました。そんな真柴へ立ち向かうには、「本気を出さなければいけない」といつも以上に気合が入りました。
――かなり憎たらしいキャラクターでしたが(笑)、対峙した真柴の雰囲気はいかがでしたか?
現場に入った瞬間から渡部さんは悪役オーラ全開でした(笑)。確かに真柴は悪役だけど、真柴側からみたら黒斗たちのほうが悪に見える瞬間だってあるだろうし、そこに至るまで真柴にもいろんな葛藤や過去があって現状にたどり着いたことを考えると、黒斗はなんとか真柴自身を解決してあげたいという思いでいるのではないかと感じました。
――今作もアクションシーンは凄まじい迫力でしたが、裏側について聞かせてください。
黒斗単独で10人と戦ったり、ボコボコにされたりするシーンがあったので、普段よりも意識しなければいけないことがとても多かったです。表情の変化をあまり見せない人物でもあるので、アクションにどれだけ言葉をのせられるか、文字としての言葉ではなく、拳(こぶし)に言葉がのっているような表現をしたいと思って演じていました。
――ハプニングなどはありませんでしたか?
大きなハプニングはありませんでしたが、黒斗がバットで殴られるシーンがあって、相手の方もアクションのプロなので当然、痛くない場所を選んで叩いてくださるのですが、内心「うわーっ、めっちゃ怖い」ってドキドキしていました(笑)。
――撮影全体を振り返って、印象的だったことを聞かせてください。
撮影は2月のまだ寒い時期だったのでヒートテックを重ね着していたのですが、アクションが多いことでそれを脱がなければいけない瞬間もあって、体温調節が難しかったです。
「クロガラス0」のほうは、かつて警察官だったころの黒斗の姿も描かれているので、当然、警察の制服を着て撮影していたのですが、常に誰かに見られていることを意識していました。映画の撮影だと気づいた方はよいのですが、たまたま通りかかった方が見たら、警官と間違われてしまいそうなので(笑)。
――舞台となっている歌舞伎町やゴールデン街には詳しくなりましたか?
「この道はここに通じている」など、かなり詳しくなりました。プライベートではあまり行ったことのない場所でしたが、これだけ通うと少しずつ興味がわいてきました。
僕にも解決してほしいトラブルが。黒斗なら?成功報酬によってはやってくれるかも
――崎山さん自身は解決屋に向いていると思いますか?
「クロガラス0」で警官を演じて感じたのですが、警察は市民を守るために自分を犠牲にして戦う場合があるじゃないですか。そんなふうに、解決屋も依頼者のために自分を押し殺さなければいけない瞬間だってあるかもしれない。つくづく大変な仕事だと感じたので、僕は向いていないと思います。
――普段、ちょっとしたトラブルの解決をもちかけられることは?
配線ですね。得意ではないけれど多少の知識があるので、引っ越しをして配線がわからないという知り合いなどに「ここをこうしてみたら?」とアドバイスすることはあります。
――黒斗のもとにはさまざまな依頼が舞い込みますが、崎山さん自身が解決屋に頼みたいトラブルはありますか?
うちのエアコンには「自動」と「静」というモードがあるのですが、風量の調節がうまくできなくて、常にMAXなんですよ。それを解決してほしいです(笑)。
――黒斗ならやってくれると思いますか?
ちょっと割高になってしまうかもしれませんが、成功報酬によってはやってくれるんじゃないですかね。業者に頼んだほうが早そうですが(笑)。
――「最近は密かな楽しみを見つけるようにしている」とTwitterで呟いていましたが、どのような楽しみが見つかりましたか?
Twitterには「某コンビニのカレーパン」と書きましたが(笑)、何かを糧に仕事をすることを最近やっています。カレーパンの他には、動画を見るとか本当に些細なことですけど、そんなふうにガス抜きできる瞬間を見つけながら仕事をしていくほうが、効率がいいと気づいたんです。効率がいいというよりも、自分に合っていると言ったほうが正しいかな。そうやって常にアンテナを張って、楽しみを見つけるようにしています。
――“おうち時間”はどのように過ごしていますか?
最近は現場と移動ばかりで、自宅でゆっくりできる時間がほとんどないのですが、隙間を見つけてはギターを弾いています。あとは、アイスクリームなど、そのときに食べたいものを食べて“おうち時間”を楽しんでいます。
――作品の公開を楽しみにしている皆さんへメッセージをお願いします。
「クロガラス1」と「クロガラス2」のどちらかで、悠哉と日菜が「あの地獄から救ってくれた社長についていく」みたいな発言をしていたのですが、「クロガラス3」でその地獄の全貌が明らかになります。そこにおける黒斗の行動を観ていただきたいです。
そして、「クロガラス0」のラストシーンは、撮影が終わってから2日ほど引きずってしまうぐらい精神的にも大変でしたので、「ここからクロガラスが始まった」という部分を、しかと目撃してほしいですね。
最新情報は、映画「クロガラス」公式サイトまで。
配給・製作/エイベックス・ピクチャーズ
©エイベックス・ピクチャーズ
撮影:河井彩美
ヘアメイク:車谷結(do:t)
スタイリスト:OBU-
衣装協力:カットソー¥19,800/ATTACHMENT、パンツ¥36,300/トラディショナル ウェザーウェア、スニーカー¥39,600/YOAK、その他スタイリスト私物