11月2日(月)から“月9”史上初となる2クール連続で放送されるフジテレビドラマ『監察医 朝顔』(第2シーズン)。
同名漫画作品を原作に、法医学者の娘と刑事の父という異色の父娘を描くヒューマンドラマ。主人公の万木朝顔(まき・あさがお)を上野樹里、その父の万木平(まき・たいら)を時任三郎が演じる他、多くのキャストが第1シーズンから続投。田川隼嗣も朝顔が勤める興雲大学法医学教室でアルバイトをする医学部生・熊田祥太役を引き続き演じる。
フジテレビュー!!では、役者を始めて4年目、現在・19歳の田川のインタビューを前後編で掲載。前編では第1シーズンが自身にとっての連続ドラマ初出演だったという『監察医 朝顔』の現場を通して感じたこと、演じる熊田というキャラクターへの思いなどを聞いた。
この記事の写真をもっと見る(全13枚)
軸を持ち始めた熊田というのを考えながら演じました
――第2シーズンへの出演が決定したときの気持ちを聞かせてください。
昨年の段階で、(第1シーズンの)打ち上げのときにみんなのテンションが上がる中で、(上野)樹里さんが「第2シーズンもやるぞ!」っておっしゃっていたんです。なので、あるかもしれない、とは思っていたので、心構えのようなものはしていました。ただ自分が出演できるかはわからなかったので、聞いたときには、続投できるんだ、と思って、安心しました。嬉しかったです。
――第1シーズンは田川さんにとって初めての連続ドラマの現場でもありました。その点で感じていたことを教えてください。
映像作品が初めて、というわけではなかったのですが、連続ドラマの現場って、それまで経験してきた映画などの現場とは違ってテンポが速くて。自分の中でちゃんとOKの芝居をしていかないと、どんどん撮影が進んでしまうんです。
今振り返ると、第1シーズンのときはそこへの責任感のようなものが薄かったという反省点があって。だからこそ、第2シーズンでは、カメラの前に立ったらどんなときでも、突発的なときでも、熊田としていられるように、というのは意識するようになりました。
――錚々たる先輩俳優陣との共演でしたが、印象に残っているやり取りはありますか?
すべてが印象深いのですが、特に皆さんのオンとオフの切り替えがすごいな、というのはありました。撮影が始まる前は、皆さん、昨日のご飯は何を食べたとか、他愛のない話をしているんですけど、始まると一気にスイッチが入って。それでまたカットがかかると、先ほどまでしていた話の続きに戻るとか。
――田川さんはどうなんですか?
僕は無理です(笑)。カットがかかったら、撮ったシーンがすぐにモニターで流されるので、それをチェックして、こんな風に見えているんだな、っていうのを確認します。あとは僕が生で見ている目線と、カメラの目線は違うから、先輩たちの姿もまた違って見えるので、それも確認して。そんなに簡単には切り替えられないです。
――今回、再び熊田を演じる上で意識していたことはありますか?
僕らが過ごしていた現実のように、物語の中でも第1シーズンから第2シーズンの間に月日が流れているという設定なので、その間での熊田の成長を見せたい、という気持ちはありました。
あとは撮影に入る前に、平野監督とお話しをさせていただく機会があったので、そのときにどんな風に演じたらいいのかを聞いたら、僕自身から出ている雰囲気と、熊田の雰囲気が重なるので、等身大で、そのままやって欲しいという風におっしゃっていただいて。なのでそこも意識しつつ。
第1シーズンでは歯科医の家に生まれた坊ちゃんで、法医学研究室でバイトはしていてもそれがやりたいことでもない、という状況だったのですが、第2シーズンでは自分のやりたいことも見つかるので、軸を持ち始めた熊田というのを考えながら演じていました。愛されキャラみたいなところは第1シーズンから変えていないのですが、そこにもう少し自分を出す、というのを意識しました。
それから台本を読んだときに、熊田に視聴者の方の疑問を代表して聞くような役割もあるな、というのも感じて。これ、どんな意味だろう?というようなことを、熊田がその場で疑問として投げかけるというのはあります。
――熊田と自分が重なる部分はありますか?
あります。自分で言うのは少し抵抗がありますけど、優しいところとか(笑)。あとは自分ではあまり気が進まないことでも、周りがやってるからやっておこう、みたいな流されやすいところとか。共感できるところは多かったです。
ただその流されやすい部分については、第2シーズンでは徐々に変わって、自分に意識を向け始めているので、彼の成長に僕も一緒に付き添いたいな、と思っていました。
僕が何をしても、必ず皆さんが返してくれる、という絶対的な安心感がある
――第2シーズンの現場がスタートしたときはどんな様子でしたか?
戻って来た、というより、僕自身はみんなが新しくなっている感じがしました。もともとあった雰囲気もありつつ、一層活気づいている感じが、最初の説明会のときにありました。そのときに改めて、この現場に立てる喜びを感じましたし、このご時世もあって、一層ここで巻き返そう、というような、強い意志のようなものを、樹里さんを筆頭に皆さんから感じました。
――その中で田川さんはどんなことを感じながら演じていますか?
とにかく頑張っています。まずは頑張らないと皆さんに追いつくとかの段階でもないですし。現場にいると演技はもちろんなんですけど、何を見ても学ぶことばかりで、皆さんホントにすごいんです。
ドラマの現場では何度も同じことを繰り返すことがあって、(安岡光子役の)志田未来さんは、役柄的に早口でまくし立てるシーンも多いんですけど、それを6、7回やっても全然変わらぬペースで、噛まずにやるんです。絶対的な安心感のようなものを持っているんです。
そういう先輩たちの姿を見ていると、これまでの経験から培ってきた自信のようなものも感じて。それが周りにも伝わって、みんなの演技が安心して見られるものになっているのかな、と思いました。なので、僕自身が不安要素なんですよね(苦笑)。
――やはり不安もあるんですね。
そうですね。ただ逆に言うと、僕が何をしても、必ず皆さんが返してくれる、という絶対的な安心感があるんです。だからこそ、あとから映像を見て、もっと挑戦すればよかったとか、こうしておけば、と思うこともありました。
――第1シーズンも含めて、田川さんがこの現場を通して得たものはありますか?
現場での居方のようなものはここで初めて学びました。撮影中のことだけでなく、スタッフさんや他のキャストの方々との関係構築も大事なんだ、というのに気づかされました。なので、それ以後、他の現場に行っても意識しています。
以前は周りから話しかけてもらえないと、自分から話しかけられないというちょっと奥手なところがあったんですけど(笑)、皆さんときちんと向き合っていくことで、お芝居をするときの緊張感、安心感なども違ってくる、というのをここで教えてもらいました。
田川隼嗣インタビューは<素顔編>に続きます。こちらもお楽しみに!
撮影:小嶋文子