テレビマンの仕事の極意と、彼らの素顔に迫る「テレビマンって実は」。
現在フジテレビで放送中の『関ジャニ∞クロニクルF』(毎週月曜23時〜)の総合演出を担う姉崎正広、演出の田中良樹、北山拓が、番組の裏側を語る。
『関ジャニ∞クロニクルF』は、関ジャニ∞のメンバーが共通して持っている“遊び心”を前面に押し出し、彼らの人間的な魅力を伝えていく、バラエティ番組だ。
全4回にわたる連載の第2回目では、『関ジャニ∞クロニクルF』人気コーナーの誕生秘話を聞いた。
第1回<『関ジャニ∞クロニクルF』は「関ジャニ∞のやりたいことを聞きながら作る」演出家が明かす裏側>はこちら!
「編集1つでこんなに楽しそうにしてくれる」演出の醍醐味とは
――『関ジャニ∞クロニクルF』の中でも人気の「カスタムグルメ」企画、誕生の経緯を教えてください。
田中:2020年6月15日(月)の放送で、関ジャニ∞の5人が映画やドラマの好きなキスシーンを持ち寄って語り合う「関ジャニ∞、KISSでバラエティをする。」という企画がありました。メンバーそれぞれの個性が光って好評だったんです。そこから、1人ひとりのオリジナリティをもっと出せないかと話し合う中で、「理想のラーメンを考えてもらう」という案が生まれました。
――トッピングやソースなど細部へのこだわりが見られましたが、これはメンバーの皆さんのアイデアそのままですか?
田中:そうですね。やはり関ジャニ∞は、5人それぞれが明確に意見を持っていて、「これをやりたい」としっかり言葉にしてくれる方々なので。希望を汲み取って「こんなパターンもあります」とディスカッションを重ねましたが、基本的には全部皆さんのアイデアです。
――もう1つの人気企画「芸能界No.1ストII対決」は、どのように生まれたのでしょうか。
姉崎:スタジオに設置した番組進行用のタブレットに、企画の「概要」フォルダが表示されたとき、丸山(隆平)さんがストリートファイターIIのキャラクター・サガットの物真似で「ガイヨー!」って言ったんですよね。それが面白かったので、より面白くするためにオンエアでゲームの映像をつけたのが始まりです。
関ジャニ∞の皆さんは毎回オンエアを見て、収録のどの部分が使われているのか、どこが面白く編集されているかを確認してくれるので、丸山さんは「ガイヨー!」が使われていることを知って、毎回必ず入れてくれるんです。
毎度、ストIIの映像を出すうちに「実際、ゲームの腕はどのくらいだろう」という話になり、メンバー間でストII対決をやってみたら意外と面白くて。エンターテインメント性を考えた結果、関ジャニ∞で一番強い横山さんが、芸能界を巻き込んでNo.1を目指す形になりました。
横山さんにこの企画を持ちかけると、二つ返事で受けてくれました。実際、横山さんの負けず嫌いな性格も相まって、より面白くなっていると思います。横山さん、ロバート・山本さんとの対戦で、自分の負け方に怒ってゲーム機のコンセント抜いていましたからね(笑)。
――関ジャニ∞自身がオンエアを見てリアクションしてくれることは、どう感じていますか?
田中:丸山さんが毎回、喜んで「ガイヨー!」をやってくださってうれしかったです。編集の仕上げ1つで、こんなに楽しそうにしてくださるんだなと、やりがいを感じましたね。
姉崎:いい意味で緊張感がありますよね。メンバーとちゃんと向き合って、改善点や意見を話し合うことで、また新しい企画が生まれますし、次への一歩になる感じがあります。
サウナ企画は大倉忠義の発案
――最近だと「日本全国サウナトリップ」のコーナーも話題ですね。
姉崎:サウナ企画は、実は大倉(忠義)さんからいただいたんです。「サウナにハマっていて、これテレビでやったら面白いんじゃない?」と言っていただいて。僕もそうですがスタッフにもサウナ好きが多いので、これはと思って始めました。
北山:サウナのゲストは、俳優の高橋克典さんや北村匠海さんなど毎回豪華なのですが、これはプロデューサーの素晴らしい(キャスティングの)手腕によるものだと思っています(笑)。僕たちは、出演していただきたい方を伝えているだけなので。
姉崎:サウナ通の方って皆さん、出てくるワードが独特で面白いんですよね。
――ちなみに、サウナの中での撮影は、特殊なカメラを使っているのですか?
北山:通常のカメラに保冷剤やアイスノンを巻くという、アナログな方法で撮影しています(苦笑)。それでも、カメラは火傷しそうなほど熱くなるので、カメラマンさんは本当に大変だと思います。その分、普段のテレビではあまり見られない映像が撮れるので、技術スタッフさんは、やりがいを持って撮影してくださっているんじゃないか、と。
――「ジビエ」企画も衝撃でしたが、安田章大さん発案ですか?
姉崎:安田さんも僕も、もともとジビエが好きで、よくジビエ談義をしていたんです。「あの肉美味いよ」とか「どこで仕入れられるの?」とか。ジビエ企画は、そんな会話をヒントに生まれました。ジビエについて正しく伝えたいという思いもありました。
さっそく、2020年4月27日(月)第1回目の放送で、「横山&大倉、カラスを解体して食う。」という企画を行いました。実際にカラスを獲ってくださった、岐阜県飛騨高山の猟師・脇谷さん一家に、安田さんがものすごく興味を持って「会いたい。遠いけど行きたい」とおっしゃって、ジビエ企画第2弾が実現しました。
――その第2弾となる「最強ジビエ。冬眠前の熊肉を頂く」(2020年12月7日(月)放送)では、安田さんはジビエに興味がある余り、ロケ前日に前乗りをしていましたが…。
姉崎:実は僕も誘われて、一緒に前乗りしました(笑)。前乗りすると、ロケでのファーストリアクションが薄れるという考え方もあります。しかし今回は安田さんに前乗りしてもらい、よりジビエに詳しくなってもらってから収録した方が面白くなると判断しました。メンバーの熱量を大事にしたかったですし、前乗りせずロケに参加した横山(裕)さんとの対比が生まれて、より面白さが増すと思ったからです。
――丸山さんが動画編集に挑戦する企画も、大きな反響があったのでは?
姉崎:若い子の間で動画が流行っているのを見て、丸山さんが将来、関ジャニ∞のミュージックビデオを自分で撮影・編集したら面白いんじゃないかなと考えたんです。丸山さんも「動画編集を覚えたい」と答えてくださって、実現しました。動画編集って結構大変なんですが、提案に乗ってくださってすごくありがたかったです。
動画は編集の腕だけではなく、頭の中で組み立てる「構成」も非常に大事ですが、実は丸山さんが作った動画では、スタッフは構成にまったく手をつけていないんです。丸山さんの頭の中で“ストーリー”として組み立てられてられたものを、そのまま使っています。
――村上信五さんの対談企画「R40」は、どのように誕生しましたか?
姉崎: 2020年9月14日(月)放送の「関ジャニ∞の気になる人」が発端です。丸山さんと安田さんが、それぞれすごく気になっている方とリモートでお話しする企画だったのですが、お2人とも“好き”が爆発して、普段テレビでは見せない顔を見せてくれたので、非常に面白い内容になりました。
そして村上さんにも、会いたい人を聞いてみたら「同世代の、自分とは違うところで生きている人の価値観を知りたい」と言ってくださって。いろいろな分野で活躍されている方を提案する中から、村上さんが「会ってみたい」という方にお願いしました。
そして、買取査定アプリ「CASH」など数々の革新的なサービスを生み出してきた起業家・光本勇介さんや、スパイスカレーブームの先駆者で、大人気カレー店「SPICY CURRY 魯珈」を1人で切り盛りしている齋藤絵理さんとの対談が実現しました。
ゲストが入ることで、関ジャニ∞と同世代の男性にも見てほしい
――番組開始から1年経った今年4月より、ほぼ毎回ゲストが参加するようになりましたが、変化を狙っているのでしょうか。
田中:ゲストの方を呼ぶことで、何かを大きく変えようとは考えていません。僕は、『関ジャニ∞クロニクルF』は一貫して、関ジャニ∞の魅力を1人でも多くの方に伝える番組だと思っています。なのでゲストを入れることで、関ジャニ∞と同世代の男性方など、これまでリーチできなかった視聴者にも関ジャニ∞の魅力を届けたいです。
北山:外から誰かを入れることによって、もっと関ジャニ∞の可能性が広がると思います。それこそ「カスタムグルメ」もゲストと対決構造にすることで、「負けたくないから、どう工夫しよう」というように“対ゲスト”の構図を考えながら振る舞ってくださるので、より面白くなっていると思います。
そしてやっぱり、あの“秘密基地”セットがあるからこそ、関ジャニ∞の良さを残しつつ、ゲストとの化学反応を起こせているのではと思います。
田中:番組内では、ゲストのことを「お友だち」と呼んでいます。プライベートで、自分たちの秘密基地に友だちを呼んで、一緒に遊ぶ感覚です。友だちといるからこそ、メンバーの素がより出ると思います。
第3回<関ジャニ∞の「友よ」に感動して、思わず上司にLINEを…バラエティ番組演出家のターニングポイント>では、バラエティ番組作りの醍醐味や、関ジャニ∞との出会いを聞く。
<『関ジャニ∞クロニクルF』これまでの放送は、FODで一挙配信中!>