テレビマンの仕事の極意と、彼らの素顔に迫る「テレビマンって実は」。

今回は、現在フジテレビで放送中の『関ジャニ∞クロニクルF』(毎週月曜23時〜)の総合演出を担う姉崎正広、演出の田中良樹、北山拓が登場する。

『関ジャニ∞クロニクルF』は、関ジャニ∞のメンバーが共通して持っている“遊び心”を前面に押し出し、彼らの人間的な魅力を伝えていく、バラエティ番組だ。前身の『関ジャニ∞クロニクル』も含めると、放送期間は6年以上という人気を誇る。

姉崎は『今田×東野のカリギュラ』『ペケ×ポン』などの演出を手がけ、現在はフリーのクリエイターとして活動している。

田中は2014年にフジテレビ入社後、『BACK TO SCHOOL!』の総合演出を経て2020年4月から『関ジャニ∞クロニクルF』に参加。北山は『めちゃ×2イケてるッ!』や『ネタパレ』などを手がけ、今年4月から『関ジャニ∞クロニクルF』に携わる。

全4回にわたる連載の第1回目では、『関ジャニ∞クロニクルF』における演出の役割や、制作チームと関ジャニ∞の関係性について語ってもらった。

番組の指針はあるけれど、いい意味で破壊する

――『関ジャニ∞クロニクルF』の総合演出・演出とは、どのような仕事となりますか?

姉崎:まず「演出」とは、番組の色を決める監督のような仕事です。総合演出は演出のトップで、番組で実施する企画の最終決定権を持っています。ですが、総合演出が特別えらいということではなく、僕も演出の一員として良樹くん(田中)や北山くんと一緒にアイデアを考えたり、撮影や編集をしたりして番組を作っています。

『関ジャニ∞クロニクルF』チームは完全にトップダウンで指示を出すのではなく、スタッフそれぞれの個性も大事にしながら番組作りをしており、“みんながディレクター”という意識でやっています。

田中:演出という立場ですが「自分も撮影したり編集したり、ディレクターと同じようにちゃんと手を動かすぞ」という気持ちがあります。と同時に、「自分も総合演出」の覚悟でやろうとも思っています。役職にはあまりこだわっていませんね。

北山:僕は、今年の4月に『関ジャニ∞クロニクルF』チームへ入ったばかりなので、まだまだこれからです。関ジャニ∞とお仕事をさせてもらうのも初めてでしたが、だんだん番組のことやメンバーの皆さんのキャラクターが分かってきて、うまく番組に反映させたいと奮闘しているところです。

姉崎:『関ジャニ∞クロニクルF』は「総合バラエティ番組」なので、僕の感覚だけが反映されてしまうと「総合」になりません。良樹くんや北山くんをはじめとした個性的なスタッフが大勢いるので、彼らの意見も大事にすることで番組が面白くなると思っています。番組としての指針はきちんと決めておきながら、そこをいい意味で破壊している感覚です。

スタッフみんなが同等だと思っているので、チームの雰囲気は悪くないんじゃないかなと思います。

――北山さんは番組に加わって数ヵ月とのことですが、制作チームの雰囲気はいかがですか?

北山:関ジャニ∞の皆さんとスタッフとの距離が、すごく近いなと思います。何でもざっくばらんに話せますし、逆に関ジャニ∞さんから「こんな企画をやってみたい」と意見を言っていただくこともあります。

僕は、これまではどちらかと言うと、スタッフが出演者の皆さんに企画を持っていき、どうアジャストしてもらうか調整するという方法で仕事をしていました。ところが、『関ジャニ∞クロニクルF』は、メンバーの皆さんのやりたいことを聞きながら番組を作っていくので、大きく違いますしすごく勉強になります。

関ジャニ∞が中心の“タレントバラエティ”

――出演者の意見も尊重して番組を作る、この方法には狙いがあるのですか?

姉崎:『関ジャニ∞クロニクルF』は企画主導ではなく、出演者と向き合って作る“タレントバラエティ”だと思っているんです。企画に出演者を当てはめるのではなく、企画と出演者が自然と合致することを重視しています。

――“タレントバラエティ”とは?

姉崎:出演者のキャラクター、いわゆる“タレントパワー”を重視した番組です。昭和〜平成初期の頃は、今とはちょっと違って、とにかく面白いことが求められる時代でした。それが平成後半に入ると、クイズ番組のような役に立つもののニーズが高まり、自然と企画主導になっていきました。今はまた「とにかく面白いことを求める」時代に戻りつつあって、その結果タレントバラエティがハマるのかなと思っています。

タレントバラエティには、とんねるずさんやダウンタウンさんのように、パワーがあるタレントさんが必要です。パワーがあるからこそ、番組が面白くなる。

――本人の熱意や、面白くなるだろうという予想も含めて番組を考えているのですか?

姉崎:熱意があればこそ、です。企画は僕の中ではあくまでも“レール”で、熱があるタレントさんほどレールを破壊できる。破壊できたときは、やっぱり面白いものが作れると思うんです。スタートとゴールだけあって、あとはその中で自由にやっていきます。

――『関ジャニ∞クロニクルF』の企画は、どのように考え出されているのですか?

姉崎:収録の時にスタッフが関ジャニ∞の皆さんとコミュニケーションをとり、何気ない会話から出てきた言葉を拾って、企画を考える材料にしています。これが番組作りの根源です。それぞれのメンバーが面白がっていることを掴み取ったり、メンバー自身から「こういうのやりたいんだよね」とアイデアをもらうこともあります。

それを基に、どんな企画がいいか、エンターテインメントとしてテレビでどう見せるかを制作陣で話し合い、でき上がった企画をメンバーの皆さんに当てているんです。

第2回<「関ジャニ∞は、毎回O.A.を見てリアクションしてくれる」演出陣が明かす関ジャニ∞の素顔>では、「カスタムグルメ」など人気コーナーの誕生秘話に迫る。

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