11月9日(月)、映画「HOKUSAI」(2021年5月公開)が、第33回東京国際映画祭クロージング作品として選出され、特別招待上映&舞台挨拶が開催された。

2人1役で葛飾北斎の青年期と老年期をそれぞれ演じた柳楽優弥と田中泯、橋本一監督、企画・脚本の河原れんが登壇。

本作は、「富嶽三十六景」などで知られる浮世絵師・葛飾北斎の人生を描いた物語だ。

柳楽が感じる北斎の作品の影響「北斎(の波の表現)が『鬼滅の刃』にも響いている」

撮影を振り返り、柳楽は「葛飾北斎役で最も興奮したことは、時代劇であるのに刀を使ったチャンバラのような殺陣をやるのではなく、アーティストを演じさせていただいたということです」と語った。

田中は「北斎の老年期の役ということで、自分もご覧の通りの年齢ですが、嘘偽りなく年齢を感じながら演じさせていただきました。本当に光栄な役でした。小さいころから北斎に触れることの多い人生でしたが、その北斎を身をもって演じることができたのは、この上ない幸せな撮影の日々でした」と回顧。

橋本監督は「1年以上も前に撮影して、ようやく皆様の前にお披露目できる日がきて嬉しいです。最高のスタッフ、キャストと共に作り上げた1本です。特にこの主演の2人の”目”の素晴らしさには、カメラ越しに見ながら抱きしめたくなる時が何回もありました」と喜びを表現。

来年の公開を控えて、柳楽は「僕自身、北斎の絵は知っていたのですが、北斎の人生についてはあまり多くのことを知らなかったんです。特に青年期の情報はあまり残されていないこともあり、僕たちの北斎像というものを監督と作り上げていきました」とアピール。

田中も「撮影が終わってから時間が経ちますが今でも好きな1本です。こんなにも世界中に知られている北斎ですが、この映画が語っていることを観ていただくことで、北斎が絵を描いた理由が少しは伝わるんじゃないかと思います」と言葉を紡いだ。

葛飾北斎の人生や人物像については史実も少なく未だに謎に包まれているが、世界で最も有名な日本人として知られている。

葛飾北斎の絵が多くの作品に影響を与えていることについて柳楽は「北斎(の波の表現)が『鬼滅の刃』にも響いているなんて、すごいですよね。僕は絵を描き続けた北斎とは少し違いますが、同世代の(東洲斎)写楽や(喜多川)歌麿ら当時のスター達が台頭していく中で、悔しいとか、もっと上手くなりたいという気持ちは、僕と同じなのではないかなと思いながら演じさせていただきました」と語った。

続けて「北斎が何故そこまで”波”に感動し、こだわって描いていたのかという理由を撮影していく中で見つけたいなと思っていたのですが、撮影が近づいていくにつれて、北斎はこの波の絵に(で成功できなかったら)人生を諦めるくらいの覚悟と情熱を込めて、向き合っていたのでないかと思いました」と北斎の想いを感じ取りながら演技に努めたそう。

田中は「北斎はすごい昔の人です。今の世の中にはいないし、産まれてきた環境も地球も今のようではなかった。ものすごく大きな時間の開きがあるのにも関わらず、世界中で皆さんが絵をみて何かを感じる。有名な名前だけが継承されていっているのではなく、絵を見たときにその凄さが向かってくるのが本当に羨ましいです」

また「北斎は『こんな世の中、おかしい』、『もっといい世の中がないのかな』と口癖のように言う人でしたが、僕もその台詞にとても同調して、震えるように言葉を発することができて嬉しかったです。僕も子供のころから『なんで大人はああなんだろう?』、この年になっても『大人のせいかな?』と思ってしまうことがしばしばあるので、北斎と似ているのかもしれないですね」と北斎との共通点を明かした。

動画はこちら。

映画「HOKUSAI」は2021年5月より全国公開。

©2020 HOKUSAI MOVIE
配給:S・D・P

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