視聴者が“今最も見たい女性”に密着し、自身が課す“7つのルール=こだわり”を手がかりに、その女性の強さ、弱さ、美しさ、人生観を映し出すドキュメントバラエティ『7RULES(セブンルール)』。

7月13日(火)の放送回では、「ChikaLicious(チカリシャス)」のオーナーパティシエ、千加・ティルマンに密着した。

アメリカ・ニューヨークで、2003年から営業を続けてきたチカリシャス。「チカ」と「デリシャス」から名付けられたお店のメニューは、デザートと飲み物だけ。デザートのフルコース「プリフィックス」が、一番人気。

旬の食材を使ったデザートに合わせ、お酒を楽しむスタイルは、ミシュランガイドでも絶賛されている。

一方、日本では未だ収束をみない新型コロナウイルスだが、新型コロナによる全米の死者は、約60万人。ニューヨーク州だけで5万人以上が命を落とすなど、飲食業界も大きな打撃を受けた。激動のニューヨークを生き抜いてきた、チカリシャスのオーナーパティシエ、千加・ティルマンの7つのルールとは?

ルール①:チーズケーキの仕込みは真夜中に

ニューヨーク・イーストビレッジにあるチカリシャス。看板メニューのチーズケーキは、クラッシュドアイスの上にチーズケーキを載せ、 その上に特製のクリームがたっぷりとかかった、独特なデザート。お客さんの大半が、このチーズケーキを注文するという。

チーズケーキの仕込みは、誰もいない店内で夜中にひっそりと行われる。作り方を知られたくないのと、「作った後から何時間後が1番美味しいという時間があって、レストランが開店する午後3時〜8時くらいの間で美味しく食べていただけるように」作る時間を調整していると、明かした。

ルール②:席はマンハッタンの地名で呼ぶ

チカリシャスの従業員は、コロンビア人のウェイター・ロベルト、彼女が信頼する、メキシコ人パティシエのアーウィン、そして、アメリカ人の夫、ダンと彼女を入れて4人。

わずか20席の店では、席の名前を「ソーホー」、「トライベッカ」、「タイムズスクエア」というように、マンハッタンの地名で呼ぶ。そこには「レストランやバーに行ったとき番号で呼ばれるのが嫌い」だという彼女なりの思いがあった。

ルール③:ビジネスのことはダンに任せる

福岡生まれで、子どもの頃から料理が大好きだったという彼女。東京のライブハウスでジャズミュージシャンだったダンと出会い、24歳で結婚。「(両親から)反対されると思い、半分逃げた」と笑顔で語る彼女は、ニューヨークに渡り、金融の中心、ウォール街の日系の銀行で働き始めた。

その後、しだいに料理への情熱が湧き上がり、調理師学校の夜学へ通うようになり、卒業後は銀行を辞め、数々のレストランで修行を積んだ。

2001年にニューヨークを襲った同時多発テロをきっかけに、彼女は「今やらなきゃいけないことをやっておかないと後悔する」という気持ちになり、2年後の2003年にチカリシャスをオープンした。

新型コロナのパンデミックの際には、ダンのアイデアで、テイクアウトを始めた。チカリシャスの経営をダンが担当してくれるおかげで、彼女はデザート作りに専念できる。

最終決断はダンが行なっているといい、彼女は「彼がいないとダメだったと思う。1人じゃ無理でした」とパートナーの存在に感謝した。

最近では、お客さんを楽しませるため、デザートの上に蓋代わりにティファニーのギフトボックスをかぶせて提供する方法を思いついたダン。彼女は恥ずかしがりながらも、「まぁそのうち飽きるでしょ」と大人の対応をみせた。

この発想についてスタジオでは、「楽しい旦那さん」(YOU)、「いいバランスですね」(長濱ねる)と和やかな空気に包まれる一方、本谷友希子は「ティファニーの箱は微妙ですね」とバッサリ。

尾崎世界観は「そういう隙があったほうがいいですよね、懐に入りやすくて」、青木崇高は「(お客さんとしても)『ダンが次また新しいことを考えたみたいだぞ』って感じで楽しめそう」と笑顔で語った。

ルール④:休日はスカートをはく

月曜から水曜まで休みの千加・ティルマン、休日の彼女には特別なルールが。普段仕事をしている時はずっとパンツを履いているため、必ずスカートを履く。

「自分が幸せならそれでいい」と自由な色合わせやコーディネートを楽しんでいる。しかし、平日の彼女の方が好きだというダンは、その理由について「お金を稼いでくれるから」とお茶目に答えた。

ルール⑤:ラストオーダーを出したらシャンパンで乾杯

週末の夜、閉店時間の10時半を過ぎても、客足が途絶えることはなかった。ラストオーダーを出し終わると、営業中でも従業員はシャンパンで乾杯。

コロナの時期は業績が厳しくシャンパンは封印していたが、ようやく日常が戻りつつあるため解禁したという。シャンパンを口にすると彼女は「これのために生きているようなもの」とうれしそうに微笑んだ。

スタジオでは、彼女の言葉を受け「これのために生きている」と実感する瞬間についての話題に。普段、観客を前にライブを行う尾崎は「自分はお客さん以上には熱狂していない。ライブでのお客さんは自分以上に熱狂しているから、ステージに上がる時は逆なんじゃないかなと思います」とクールな返答。

「いいね、目が…」と尾崎につぶやいた本谷に、尾崎が「死んでます?」と尋ねると、「いい感じに死んでます」と毒づき、笑いを誘った。

ルール⑥:旅のテーマは1つに絞る

番組は、6月下旬、彼女たちの一泊二日の旅行に同行させてもらった。目的地はシカゴ。空港に着くや否や、彼女たちは、ピクルスやトマト、青唐辛子など、たくさんの野菜がトッピングされているシカゴでしか味わえない、シカゴドッグを購入した。

全米屈指の大都市シカゴは、シカゴブルースや独特な高層建築、街に溢れる数々のオブジェなど、たくさんの見どころのある街。しかし、彼女たちはまたしてもシカゴドッグの店に足を運んだ。

理由について彼女は「テーマを決めないと。滞在するのはたかだか36時間とかだから」と、ホットドッグ目当てにシカゴを訪れたことを明かし、翌日もシカゴドッグを食べまくった。「旅行に行くから仕事ができる」と語る彼女は、月に2回はニューヨークから出ているという。

ルール⑦:装飾品は置かない

18年前、彼女は、150もの物件を回り、もともとはクリーニングだったという、わずか12坪のこの場所に店を構えることを決めた。

真っ白でシンプルな店内について彼女は「デザインしてくれた人に 私がお願いしたのは『とにかく外が見えること』、それから『カウンターで私からサービスが出来ること』。全部真っ白にして色は、お客さんとデザートだけでいい」と明かした。

「いろいろ絵とか鏡を置こうとかって話もあるけれど『全部それはやめよう』っていうことにして飾らない。もうここまできたら飾らないですね」とこだわりを見せると「Less is better(小さいことは素敵)」と笑顔をみせた。

※記事内、敬称略。

<『セブンルール』はカンテレドーガで見逃し配信中(無料)>

7月20日(火)の『7RULES(セブンルール)』は、障害馬術選手・広田思乃に密着。オリンピックで唯一の男女混合競技「障害馬術」で、アジア人女性初のワールドカップ決勝進出という快挙を成し遂げながら、コロナに翻弄(ほんろう)されたトップアスリート。愛馬“ブチくん”とともに再び世界へ挑む彼女の7つのルールとは。