およそ1年ぶりとなる単独ライブ「Black Treatment~その弾丸はお前を貫き、そして黒く汚れた~」を7月22日(木)から4日間にわたり6公演を開催する、しずるの池田一真と村上純。

2008年から毎年恒例となっていた単独ライブは2016年から年2回の開催となり、夏は池田、冬は村上が作・演出を交互に担当。しかし、昨年はコロナ禍のため公演が休止された。

作り込まれた独特な世界観と2人の演技力によって作り上げられる洗練されたコントには定評があり、“コント師”として評価も高いしずるの満を持しての単独ライブとなる。

「日本で一番ヤバいコントを作っている」「俺たちにはコントしかない」と語るコントへの情熱、そして2008年から挑戦し続ける『キングオブコント』(TBS系)への思い、それらが凝縮された単独ライブに向けた会議と稽古にフジテレビュー!!が密着取材した。

<しずる単独ライブの制作現場に密着>

ホワイトボードを使用してコントの内容説明をする池田一真

単独ライブを翌週に控えたある日、東京・吉本興業の会議室で今回のライブの作・演出を務める池田を中心とした技術スタッフとの会議が行われた。

ホワイトボードに池田が書いたのは、短いコントのタイトルのみ。そのタイトルを見ながらコントの内容を池田が説明し、セット、照明、音響、衣裳、小道具、映像のタイミングなどの詳細を詰めていく。

スタッフに向けて、「その内容は面白いのか?という質問はやめてください」と笑いを交えながら、和やかに会議は進む。

池田が、「~というタイトルで、~が出てきて、~という内容です」とコントの内容を口頭で説明すると、それだけで会議室に笑いが起こる。池田が語る意外な展開と着地点によって、ただの単語であったタイトルが意味を持っていく。

時折、演出について池田がリアリティを追求する姿も見られた。小道具の現金には「結構な金額の現ナマを使いたい」、村上が着用する衣装の水着には「ここはチャップリンみたいな水着にしたい」など、池田の頭の中にしっかりと映像としてコントが描かれていることが垣間見られる場面も。

特別なセットも小道具もない、“ただ2人が会話をしているだけ”で成り立っているコントに対しては、「オシャレな照明にしてほしい、映画に出てくるガソリンスタンドのような」と、映画好きな池田らしく映像を伴ったイメージが伝えられると、「こういう色の照明は?」とスタッフからも即座にアイディアが返される。池田も「それ、いいすね!」と同意し、会議はテンポよく進んでいった。

「日本で一番ヤバいネタを作っている」「テレビではできないことが山ほどある」と自負する池田のコントは、日常生活に不意に現れる“おかしな人”が巻き起こす出来事だったり、ハードボイルドタッチなものが目を引く。

今回の単独ライブでも、現ナマ、怪しい薬、クレーム、などの池田らしいキーワードが予想もしない角度から笑いを誘ってくる。

左から)池田一真、村上純、本番さながらの緊張感でコントの稽古

スタッフとの会議のあとは、村上と合流し2人だけの稽古が行われた。ライブ仕様の長尺のコントを、本番さながらの迫力で通し稽古をする。

常人では考えつかないようなシチュエーション、そこに巧みな間と演技力で見る者を一気に引き込み、ジワジワと笑いを誘っていく。しずるのコントは、コンビ結成から17年の今、凄みを増していた。

稽古を終えた池田と村上に、単独ライブに込めた思い、そして今年もチャンピオンを目指して出場する『キングオブコント』への思いを語ってもらった。

<しずる インタビュー>

――結成当時の2008年から続けてきた単独コントライブ。昨年はコロナ禍であえなく中止となり、今回1年ぶりの開催となりました。気合いのほうはいかがですか?

池田:コントしかできないんですよ、俺ら。俺らに残されたのはコントだけなんで、それを見てもらえれば…バカなんで2人とも。コイツも本当にコントしかなくて。

村上:いや、巻き込まないで(笑)。「俺、バカなんで」ってカッコつけたでしょ。

池田:ライブは好き勝手できる唯一の場所なので、見てもらえたらわかると思うんですけれど、「これはテレビではできないな」というのが山ほどあるんですよね。

村上:テレビとライブのネタの違いはまず「尺(長さ)」ですよね。お互いにコントを作りますが、10分以上のコントとかザラにあって、テレビではなかなか10分のコントは厳しい。最初の笑いにいくまでの振りの部分で2~3分くらいかかるものもありますし。ライブでは時間の制限がないので、楽しめる部分がありますね。

コントの稽古中、「あるもの」を受け渡しするシーンにて

――今回のライブは池田さんのプロデュースになります。村上さんから見た池田さんのコントの魅力は?

村上:俺以上に中身のないくだらなさというか…振り切った部分がある。池田はいい意味で「そのかたちで伝わるのか?」ということを剛腕でやってくるので。その度胸が俺にはないなと。

池田:自分でも思いますけれど、俺みたいにヤバいネタ作っているやつはいないですね。俺が日本でナンバーワンにヤバいと思います。まあ、唯一無二ってことなんでしょうね。

村上:いや、唯一無二なのは俺も…。

池田:いや、村上のネタはどこかで見たことあるものばかりだなって。

村上:そう思っててよく俺とやってるな(笑)。

――今回のライブの見どころは?

池田:今回のライブのタイトルは「Black Treatment」、サブタイトルのほうが長くて「~その弾丸はお前を貫き、そして黒く汚れた~」となっていますが、ライブを見てもらえたらサブタイトルの意味がわかるようになっています。

村上:台本全部みてるけど、俺まだわかってないよ(笑)。今回は配信もあるので、ある意味チャンスというか、普段、劇場に来られない人が見てくれる可能性もあるなと、この1年で裾野が広がったなと痛感しています。アーカイブも一週間残るので、ぜひこの機会に見てもらいたいですね。

「俺らがナンバーワン!ユニットは粉々にする」『キングオブコント』に物申す

――今年も『キングオブコント』の時期がやってきました。今年も挑戦されるということで、意気込みは?

池田:それに関してはもう日常という感じで、特に意識していないですし、意気込みもないです。

村上:かっこいいな。

池田:マジで賞金は欲しいですけれど、それは二の次三の次というか。

村上:そうは言ってるけれど、ネタ合わせめちゃくちゃするよね(笑)。どのコントもネタ合わせをしっかりするのは同じなんですれど、『キングオブコント』の場合は5分にきっちり抑えて、目の前のお客さんをしっかり笑わせる、まあいつもと一緒ですよね。

池田:でも今回、『キングオブコント』に関しては許せないことがあって。別にいいんですが、ユニットでの参加がオッケーになったことで、そこに乗じていろいろなユニットが出てきているらしいじゃないですか。そんなの粉々にしますから!俺らがナンバーワンですから!

村上:…チョコンヌ(チョコレートプラネットとシソンヌのユニット)。

池田:…チョコンヌはちょっと言わない(笑)。まあ、証明しますよ、俺らが最強のジャパニーズコメディアンだってことを。

村上:ダッサ(笑)。

池田:そのためにも絶対に単独ライブは見たほうがいいですよ。

村上:俺らが優勝したら、優勝する直近の単独ライブになりますからね。そして、ユニットが参加することによって、今までの歴史の中で一番、有象無象の方々がいる大会になっている。その中で勝ったら本当の日本一になれるんです。

池田:そんなんどうだっていいんですよ!俺らがナンバーワンなんですよ、それを証明するだけです。俺は……俺なだけですから…。

村上:このライブでやったネタをもしかしたら『キングオブコント』でやる可能性もあるので、ぜひライブを観に来てください!

<密着&インタビューは動画でも!>

しずる単独ライブ情報

「BLACK TREATMENT~その弾丸はお前を貫き、そして黒く汚れた~」
作・演出 池田一真 bullet 1

会場:下北沢駅前劇場
日時:
7月22日(木)18:00
7月23日(金)18:00
7月24日(土)13:00/17:00 ※オンライン配信あり
7月25日(日)13:00/17:00

チケットは公式サイトまで。