『監察医 朝顔』(第2シーズン)第4話完全版
朝食の準備をしていた朝顔(上野樹里)は、前夜、祖父の浩之(柄本明)と電話で話したときのことを思い出す。浩之は、朝顔に黙っていたことがある、と言いながら、すぐに何を言おうとしたか忘れた、と言って話さなかったからだ。
万木家には、桑原(風間俊介)の姉から大量の桃が届いていた。つぐみ(加藤柚凪)は、朝顔と一緒にジャムを作る約束をしてはしゃいでいた。
朝顔が法医学教室に出勤すると、茶子(山口智子)から、車に閉じ込められているから休む、という電話が入る。応対した藤堂(板尾創路)は、絶対嘘の言い訳だと言って気に留めなかった。
一方、平(時任三郎)は野毛山署で思わぬ人物と出会っていた。桑原の姉・忍(ともさかりえ)だ。なんと忍は、勤めていた信用金庫を辞めて転職し、刑事として野毛山署強行犯係に配属されたのだという。しかも忍は、そのことを桑原にも伝えていなかった。
そんな中、あるマンションの一室で、20代の若い女性の遺体が発見される。女性は坂井亜衣(椚ありさ)という名で、職業はウェブデザイナー。亜衣の姉で、介護士の美優(高梨臨)から、妹と連絡が取れないという電話を受けた大家の内藤(佐藤伸之)が警察官を伴って部屋を訪れると、ベッドに横たわって亡くなっている亜衣が発見されたのだ。
野毛山署強行犯係の刑事たちとともに現場に入った朝顔が遺体を調べると、亜衣は窒息したようで、首にはうっすらとひも状のもので絞められた痕があった。しかし、第一発見者の警察官が部屋に入ったときは、ドアや窓はすべて施錠されていたという。
密室殺人では、と色めき立つ森本(森本慎太郎)ら強行犯係の刑事たち。
ほどなく、朝顔や光子(志田未来)らによる解剖が始まった。亜衣の首には古い手術痕が残っていた。亜衣が10歳の時に事故でケガをした際のものだった。また、甲状軟骨が骨折しているようで、強い力で絞められた可能性が考えられた。
だが、心臓血を調べると、病死の所見を示す軟凝血が混じっていた。朝顔は、心臓血のことは気になるとしながらも、死因は柔らかいもので首を絞められたことによる窒息死だと判断する。
事情聴取を受けた美優は、夜中の2時頃、亜衣から電話をもらったが、夜勤で忙しく、出られなかったという。電話をかけ直したが亜衣が出なかったため、朝9時ごろ、マンションの大家に連絡し、部屋を訪ねてもらったのだ。
忍から、誰かとトラブルになっていなかったか、と尋ねられた美優は、涙をこらえながら、交際相手に殺されたのだと思う、と証言する。その相手は、亜衣から借りた金を返さず、別れ話にも応じなかったのだという。
山倉(戸次重幸)らは、すぐに亜衣の交際相手・岸川(松岡広大)から事情を聞いた。しかし岸川は、別れ話があったことを否定し、亜衣と美優は仲が悪かったと証言する。
そんな折、亜衣の爪から見つかったものが、青い衣類の化学繊維であることがわかる。亜衣の部屋に、脱ぎ捨てられたタートルネックの青いセーターがあったことを思い出した朝顔は、野毛山署に連絡する。
その夜、帰宅した桑原は、忍が刑事になったことを知って驚いていた。だが、親族の中で知らなかったのはどうやら桑原だけのようだった。
朝顔は、平に捜査の進捗状況を尋ねた。亜衣のタートルネックからはタオルの繊維が見つかっていた。しかし亜衣が発見された時に着ていたのはキャミソール1枚だけ、というのも謎だった。
朝顔がつぐみを寝かしつけている間、平と桑原は古い刑事ドラマの話で盛り上がる。その際、桑原は、仙ノ浦にはいつ行くのか、と平に尋ねた。すると平は、この事件が落ち着いたころには行けるだろう、と返す。
あくる日、亜衣の部屋から採取された指紋の分析結果が出る。亜衣本人のほか、岸川と美優、そして電気のスイッチからひとつだけ、別の人物の指紋が見つかっていた。それは、大家の内藤のものだった。
事情聴取を受けた内藤は、下着を盗む目的でマスターキーを使って亜衣の部屋に侵入したが、そのときすでに、亜衣はドアノブにかけたタオルで首を吊って死んでいたと証言する。内藤は、慌てて付いていた部屋の電気を消し、鍵をかけて部屋を出たらしい。また、内藤が見た時は、亜衣はタートルネックを着ていたという。
亜衣の死は、自殺か、それとも内藤による犯行なのか、署内でも意見が分かれる中、忍は朝顔とともにもう一度、亜衣の部屋を調べに行く。そこで朝顔たちが見つけたのは、リボンの束だった。
朝顔は、平に美優を呼んでもらい、亜衣の死の真相を伝える。亜衣を殺害したのは岸川だった。岸川は、部屋にあったリボンで亜衣の首を絞めて殺害すると、タオルを使って自殺に見せかけていた。
亜衣が首の手術跡を他人に見られることをひどく嫌っていたことを知る美優は、キャミソールしか身に着けていなかったことが理解できないと言うと、死ぬ前に怖い思いをしたのではないかと朝顔に尋ねた。朝顔はそれを否定し、亜衣が自分で服を脱いだことを伝える。
亜衣は、一度意識を失った後に息を吹き返したものの、その後、ゆっくり亡くなる遷延性窒息という状態だったのだ。亜衣がその間に電話してきたことを知った美優は、電話に出なかった自分を責めた。同席していた忍は、泣きじゃくる美優を慰め…。
帰宅した朝顔は、つぐみと一緒に桃のジャムを作る。と、つぐみが、このジャムを浩之にあげたら喜ぶ、と言い出す。朝顔は、そんなつぐみに、明日ふたりで会いに行こう、と告げる。
事を終えた茶子が帰宅しようとすると、若林(大谷亮平)が待ち構えていた。「僕にはあなたが必要なんです」と、茶子に告げる若林。茶子は、若林の車に近づき、気が変わらないうちにドアを開けて、と言って彼の車に乗り込んだ。そのようすを偶然目撃した光子は驚き…。
朝顔は、つぐみとともに浩之が暮らす仙ノ浦を訪れる。つぐみとの再会を喜ぶ浩之。
平とともに留守番をしていた桑原は、一緒にラーメンを作って食べる。そんな桑原のもとに、聖奈という女性から、「桑原さんに会いたい」というSNSのメッセージが届いた。桑原は、「今日は無理。明日なら会える」と返す。
朝顔は、仏壇で遊んでいたつぐみが引き出しから取り出したハンカチに気づく。そこには「里子」と刺繍されていた。ハンカチには1本の歯が包まれていた。じっとそれを見つめていた朝顔が顔を上げると、風呂から上がった浩之が戸口に立っていた。「じいちゃん、これって…」。そう問われた浩之は、「里子だ」と朝顔に告げて…。
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