12月8日(火)、映画「AWAKE」の完成報告会見が行われ、吉沢亮、若葉竜也、落合モトキ、山田篤宏監督が登壇した。

本作は、2015年に実際に行われ、当時、ネットユーザーや将棋ファンの間でかなりの物議を醸した棋士VSコンピュータの対局に着想を得て、山田篤宏監督が書き下ろした完全オリジナルストーリー。

天才に敗れ棋士になる夢をあきらめた主人公・英一(吉沢亮)が冴えない大学生活を送っていたある日、ふとしたことで出会ったAI将棋のプログラミングに新たな夢を見出し、かつてのライバルと再戦を果たす。

ここでは、会見の模様をほぼ全文で紹介する。

すごくいい作品ができて、それに参加できてよかった

――まずは一言ずつ挨拶をお願いします。

吉沢:清田英一を演じさせていただきました吉沢亮です。この脚本を初めて読ませていただいたときから大好きで、とても思い入れのある作品だったので、今こうやって着々と皆さまにお届けできる日が近づいていることに、ものすごくドキドキしております。

若葉:初めまして若葉竜也です。こんな時期なのに、もうすぐ公開できるということで、うれしく思っています。

落合:初めまして落合モトキです。こうやって完成報告会見を開けるということで、この作品は一歩前に進めたんじゃないかと思います。今は25日に公開できることを願うばかりです。

山田監督:初めまして山田篤宏と申します。素晴らしいキャスト、スタッフとともに、自信を持ってお届けできるエンターテイメント作品を作れたのではないかと思っております。

――吉沢さんは、本作をこれまで出演した作品の中でも個人的にかなり好きだとコメントしていましたが、どんなところに惹かれましたか?

吉沢:まずは脚本がものすごく面白かったです。将棋の話だし、AIも出てくるので、ちょっと難しいのかなって思ったりもしたんですけど、そんなことはなく、ド直球のエンターテインメントになっていて。メッセージもわかりやすいですし、爽快感のある青春ストーリーになっていて、面白かったです。

それで、完成した作品を観たんですけど、今までは割と自分の出ている作品って、自分の芝居の嫌な部分ばかりが目立ってしまって、冷静に見られないことが多かったんです。でも今回は自分の芝居がどうこうとかではなく、単純に面白いと思えたんです。

だから、すごくいい作品ができて、それに参加できてよかったなっていう思いを最初に感じました。それは、自分の中では結構新鮮でした。

――将棋の棋士でもある英一を演じるに当たって、どんな準備をしましたか?

吉沢:英一という人間は、小さい頃から将棋しかやっていなくて、将棋以外のことは何も知らないというか、将棋以外にこいつは何も持っていないんだ、ということを全面的に出したいと思っていて。

そのために、撮影が始まる前にちょっと太ってみたり、将棋を指しているときのちょっとした身体の揺れや表情の変化をつけてみたり、わりと現場で工夫をしながら演じていました。

――若葉さんは、そんな英一のライバルとなる天才棋士・陸を演じる上で、どのようなことを心がけていましたか?

若葉:まず絶対条件として、棋士の方々の指し手や所作は体に落とし込まないといけないなと思ったので、そこは気をつけました。最初に子どもたちが将棋をやってる場所を見に行って、そのあとにプロ棋士の立ち振る舞いを映像で見て、アマチュアとプロの差を探すなどもしました。

とにかく指し手には彼らの歴史が詰まっているので、そこは軽んじてはいけないと思っていました。

――英一の変わり者の先輩・磯野を演じた落合さんは、セリフに専門用語も多くて、大変だったのではないでしょうか?

落合:監督に最初にお会いしたときに、「どういう感じで演技をしましょうか?」という話をして。そしたら、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のドクをイメージしてやってほしい、というふうに言われて。

こっちではカタカタとキーボードを叩きながら、もう一方では全然別のことをまくし立てる、みたいなことなんですけど、セリフに専門用語も多いし、大変だなって(苦笑)。なので、セリフをというより、呪文を覚えるような形で覚えていきました。何も考えないで言葉を発する感覚に近かったです。

吉沢:(落合を見て)めちゃめちゃ大変そうでした。聞いたこともないような単語をペラペラしゃべっていて、しかもすごく早口だし。ただ、それを全然違和感なくやっているのがすごいなと思いました。

僕が台本を読んだときにイメージしていた磯野と、モトキくんがやった磯野にはギャップがあって。僕の想像の斜め上を行っていたんですけど、それがすごく面白くて。英一と一緒にいるときのバランス感も面白いことになったような気がします。

――本作は、実際に2015年にあった電王戦FINALがモデルになっていますが、監督はこの対局を見て、どんなところから映画にしたいと思ったのですか?

山田監督:その対局がものすごくドラマティックで。プログラムの開発者が元奨励会会員でプロにはなれなかったけど、その人が作ったものとプロが闘うというのが魅力的でした。

実際に対局した2人は顔見知りではなかったのですが、この2人が幼い頃からライバルだったらすごく面白いだろうなと想像して、今回の脚本を書きました。

吉沢亮は「もっと爽やかで、スターな感じかと思ったら、死ぬほど暗い(笑)」

――吉沢さんと落合さんは共演シーンが多かったですが、お互いの印象を教えてください。

落合:亮くんには、現場に入って開口一番に「あの作品観たよ。すごい良かったよ」「俺ファンなんだ」って言いました(笑)。

最近、年下の方と共演する機会が増えてきたんですけど、その中でも本当に素晴らしい役者さんだと思っていたので、毎日、うれしい気持ちでやっていました。本当にこの2人の空間でお芝居をしていたな、という感じで、すごく楽しかったです。

吉沢:本当に楽しかったです。この作品の中で英一が会話をするのは、ほぼ磯野だけだったので。共演させていただくのは初めてだったんですけど、居心地がいいというか、やりやすい空気感でやらせていただきました。

――若葉さんは孤独なシーンが多かったですね。

若葉:僕、吉沢くんと一緒だったのは、3日間ぐらいで。あとのシーンはほぼ独りで悩んでるだけなので、全然楽しくなかったです(笑)。

――吉沢さんの印象はどうでしたか?

若葉:僕の勝手なイメージなんですけど、もっと爽やかで、スターな感じかなって思ってたんです。そしたら死ぬほど暗くて(笑)。こんな感じなんだ、と思って。なので、英一は本来の吉沢くんの姿に近いのかな?って。(吉沢に向かって)どうなんですか?

吉沢:近いですね。

若葉:暗いよね?

吉沢:暗いです(笑)。自分で言うのもアレですけど。でも、演じていて英一の本当は周りに興味があるんだけど、どう接していいかわからないから全然興味がないふりをしている感じとかが、すごく理解できました。ここまで内面が役とフィットする瞬間ってあんまりないなって思いながら演じてました。

――落合さんはそんな吉沢さんを横で見ていて、どのように感じていましたか?

落合:俺の前では気丈に振る舞ってくれていたのかな(笑)。

若葉:そうだよ。でも1回、吉沢くんがある女優さんと映画の宣伝でやっていたラジオを聞いたんだけど、それがめっちゃ明るくて。(吉沢に)あれはスイッチがあるの?それとも日によってあんなに高低差があるの?

吉沢:たぶん、どっちも本当なんですよ。作っているわけではなくて(笑)。根は暗いけど、ふざけたりするのは大好きだし、騒ぐのも大好きなんです。

若葉:じゃあもっと話しかけると、もっと変な吉沢亮が見られる?

吉沢:見られますね。モトキくんは、その段階まで来てました(笑)。

若葉:2人で(お酒を)飲みに行ったりもしたんでしょう?

吉沢:行きました。

落合:ちゃんとほろ酔いになるまで飲んだ。ただ、吉沢亮くんが連れて行ってくれるお店だったし、僕の方が一応先輩ということで、ATMでしこたまお金を下ろしてから行きました。でも楽しく飲めましたよ(笑)。

ぽちゃぽちゃしていたんだけど、筋トレ始めました

――藤井聡太二冠がAI超えの一手を打ったことにちなんで、個人的に今年、〇〇超えしたことはありますか?

吉沢:えー、難しい。

若葉:新しくチャレンジしたこととか?

吉沢:そういうことですね。何かありますか?

若葉:俺はね、今まで洋服にお金をかけなかったの。現場に行ってもすぐに衣装に着替えちゃうし、別になんでもいいやって思っていたけど、ありえない金額のコートを買った。今までほとんどが数千円とかで手に入るものだったけど、一着だけ何十万もするコートがある(笑)。

落合:それ逆に合わせづらくない?

若葉:でもスタイリストの方が、スウェットにそのコートを着たら、外人のおしゃれな人みたいだって言ってくれたので、それを得意技にしていこうと思っています(笑)。

吉沢:筋トレを始めました。今までまったくやってなくて、結構、ぽちゃぽちゃしていたんだけど、役もあったけど、人前に出る仕事でもあるし、去年の終わりぐらいからなんとなく始めて。細マッチョよりはもうちょっと大きい感じにしたんですけど、最近まで結構体力を使う舞台をやっていたせいで痩せちゃった。

落合:僕は今年で30歳になったので、いろいろ見直そうと思って、食を見直して。今まではわりと昼にラーメンとかカレーを食べちゃってたんですけど、ウナギを食べるようになりました。なのでウナギを食べる量が去年超え。

吉沢:ウナギに意味があるんですか?

落合:なんか大人っぽくない?昼に肝串食べて、ちょっと一杯やって、白焼きかうな重のどっちかを食べようかな、とかいう感じが(笑)。

――皆さんはこれまでくじけそうになったとき、どうやって自分を奮い立たせてきましたか?

若葉:ほぼ毎日、くじけそうになっています(笑)。僕はもともと大衆演劇の出身で、ずっと芝居に触れてきたからこそ、役者以外になりたい、って思っていたんです。

だけど、あるときから、プロ棋士もそうですけど、プロボクサーとか、年齢制限があってできないものが増えてきて、自分ができる可能性があるものがどんどんなくなってきて。

そんな中で唯一、生活できる可能性があるのが、子どものときからやっているこの仕事だった、という。だから、挫折をして役者になったので、今現在が挫折をしている状況です(苦笑)。

吉沢:挫折とは違うかもしれないですけど、僕は目の前にある壁が大きくて、どうやって乗り越えたらいいかわからない、というときは、とりあえず1回、めちゃくちゃネガティブになります。

自分をネガティブに落とし込んで、いざフタを開けてみたら、そうでもなかった、みたいなパターンが多いので。「この芝居はできない」「このセリフは言えない、どうしよう」って考えて現場に入るけど、意外とできた!みたいな(笑)。

今回もセリフが難しくて、挑戦しなければならないようなシーンもあったけど、そういうときも落ちるだけ落ちると、心配になってやるしかなくなるじゃないですか。家の中で何回もセリフを練習しながら、やるしかない状況に落とし込んでいました。

落合:挫折は毎日しているし、何ならカメラの前に立って1カット撮るたびに挫折して、後悔して、でもどうにか続けていかなきゃっていう。だから挫折したときの解決方法は、時間が解決してくれるのかなって思うけど、そうは言っても応急処置は必要で。

なので、うちは猫を2匹飼っているので、家に帰ったら2匹が寄り添って寝ているところに顔をうずめます(笑)。猫に癒されて、次の日も頑張ろうって思っています。

あとは、長いセリフとか、明日は山場だなっていうようなときに、次の日の夜のことを考えたりします。「明日のこの時間にはもうそのシーンも終わってるだろう」って。

吉沢:あるある!

落合:そういうことを思いながらお芝居をするのも応急処置の一つかもしれないですね。

――最後に吉沢さん、メッセージをお願いします。

吉沢:将棋ファンの方はもちろん、将棋の知識がまったくない方でも楽しんでいただける内容になっています。友情、成長、青春みたいな、普遍的なものが根本のテーマとしてある作品なので。本当にいろんな方に観ていただきたいな、と思っています。クリスマスにぜひ「AWAKE」を映画館に観に来てください。お願いします!

動画はこちら!

映画『AWAKE』は、12月25日(金)より全国公開。
最新情報は映画「AWAKE」公式サイトまで。

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