第164回直木賞に、加藤シゲアキの「オルタネート」(新潮社)がノミネートされたことが明らかに。12月17日(木)、加藤がメディアの取材に応じた。

多くの報道陣が集まった会場にはにかみながら姿を見せた加藤。写真撮影では、「笑顔で」「ガッツポーズしてください」などとカメラマンの声が飛ぶ中、「ピースしてください」とのリクエストに「恥ずかしい…」と、照れながら応じる場面も。

取材会では、まず「びっくりしました」と、直木賞候補になったと聞いた時の心境をひと言。「ご自身で分析してみて、選ばれた要因は?」という問いには、「まったくわかりません(笑)」と、語り会場の笑いを誘った。

デビュー作「ピンクとグレー」以来、今作を合わせて6作の小説を出し、順風満帆にも見える加藤だが、「普通の作家は、新人賞をとってから作家になるのが通例。でも、僕はジャニーズ事務所のタレントだから本を出させてもらっている。そうした引け目があって、ちゃんと作家と名乗っていいのかという迷いがずっとあった」と、悩みながら作家活動をしていたという。

しかし、今回、自身の作品が直木賞候補となったことで、「(作家として)認めていただけたのかな」と感じたといい、うれしそうな表情を見せた。

メンバーには、「自分で言うのは恥ずかしかったから」と、マネージャーを通して報告したという加藤。そのマネージャーから、「増田(貴久)は『僕は本を読まないので分からないけど、すごいことなんですよね?』と言っていたみたいです(笑)。小山(慶一郎)は、『すごいな…』と噛みしめるように喜んでくれた」と、リアクションの報告を受けたそう。「メンバーに何かおねだりしますか?」と聞かれると、「逆におねだりされそう(笑)」と話した。

最後に加藤は、「直木賞を受賞できるかと言われると自信はありませんが、作品に対してはすごく自信があります。特に、『オルタネート』は、若い読者の方に本の楽しさを実感していただきたく、そこを意識していました。とにかく面白く本を読み、気づいたら、読む前とあとで少し人生が、景色が変わって見える。そんな作品になるように心がけて書きました」と、作品に込めた思いを力強く語った。

加藤は、直木賞を受賞することができるのか。受賞者の発表は2021年1月の予定だ。