1月7日(木)22時からスタートする木曜劇場『知ってるワイフ』。

「結婚生活、こんなはずじゃなかった!あの頃に戻って人生をやり直したい!」と嘆く、恐妻家の主人公がタイムスリップして、妻を入れ替えてしまうファンタジーラブストーリー。そんな奇跡のような出来事を機に「本当に大切なことは何なのか」を模索する姿を描いていく。

主人公の銀行員・元春を演じるのは、大倉忠義。妻・澪(広瀬アリス)と結婚5年目で、2児の父親。仕事では上司に叱責され、家庭では澪からの罵声におびえる日々を送っている。

「貧乏くじを引かされた」と嘆いていたある日、元春は、街中で話しかけられた男からもらった500円硬貨がきっかけでタイムスリップしてしまい…。

ファンタジックな設定の中で、大倉は元春役をどう捉えて演じていたのか。すでに収録が終わっているというこのドラマの現場の様子や、結婚に対する思いなどを聞いた。

「恐妻悪妻の澪は怖かった…(笑)」

──まずは、元春の役柄について聞かせください。

よくいる…とは言っても、人それぞれかとは思いますが、結婚何年目かで家庭に問題を抱える1人の男性です。仕事も含めて、うまくいってないことに思い悩んでいて、妻と衝突してしまい…タイムスリップする(笑)。

誰にでも、「あの時○○していれば、今どうなってたのかな」と考えてしまうことは、あると思います。その「○○していれば」という部分を、改めてやり直すことができた人ですね。

──役をどう捉えて、演じていましたか?

最悪だなと思ってました。1人で、思い悩んでもがいているけど、(はたから見ると)自分の思った通りになっているのに、悩み続けている…全部元春のせいで事件が起きてるのにと、僕はずっと思っていました(笑)。

──そんな元春を演じていて、魅力的に感じた部分はありましたか?

自分を偽らず、起こった問題を受け止められる、その素直さは魅力でしょうか。でも、どこか優柔不断で…。

──より魅力的に見せるために、意識したことなどはありますか?

魅力的に見せる必要はないかなと感じていたので、ありのまま、台本のまま演じました。撮影中、男性スタッフさんが、「奥さんとこのドラマを一緒に見たら、『ほれ、見てみぃ』って言われると思う」と言っていたのが印象的でしたね(笑)。

──1話で、すでに関係が悪化している状態ですが、澪はどんな奥さんでしたか?

1話の夫婦関係は、いろいろなタイミングが悪くて、最悪な状態。仲のいい場面、けんかする場面を台本上のシーンの順番関係なく撮影したのですが、恐妻悪妻の澪は、嫌です。怖かった(笑)。

──そんな澪を演じていた広瀬アリスさんの印象は?

すごく明るくて、マイペース。1人でずっとゲームしているし、面白い人でした(笑)。キャストがたくさん集まっている時でも、気がつくとゲームで対戦している相手とオンラインでしゃべっていましたし。1人の世界をしっかり持っている方でしたね。

──今回は父親役ですが、現場はいかがでしたか?

(子どもたちは)めっちゃかわいかったです。本当に賑やかで、「いいな」と思ったけど…「(結婚したら)これが毎日か」と思いました(笑)。でも、我が子だし絶対かわいいんだろうなとも思いましたし、娘は怒れないだろうな。

──元春と澪の子どもを演じる子役の2人とは、現場でどう過ごしていましたか?

あの子たちは、ビジネスパートナーなので、厳しくしました(笑)。「はい、やるよ!」と。あまり仲良くなりすぎると、言うことを聞いてくれないだろうと思い、適度な距離感を保って接するようにしていましたね。

「本当に努力しないと、“いい夫婦”ではいられない」

──本作はタイムスリップをすることもあり、さまざまなシチュエーションの撮影があったかと思いますが、大変だったこと、楽しかったことはありますか?

その時々でお芝居する相手の方も変わりますし、たくさんのドラマをいっぺんに経験させていただいた感じがしています。

──それは楽しめましたか?

楽しめました。撮影も、まずはアリスさんとのシーンを撮って、終わってから瀧本(美織)さんとのシーンがあって、と分かれていたので、すごく演じやすかったです。

──特に演じやすかったシーンは?

演じやすいかどうかは別ですけど、最初の家庭のシーンは、理想の幸せの形やなと思いました。奥さんがいて、子どもが2人いる。でも、実際は、その状況になってみると悩みや問題が出てくるんだろうな…。

──台本を読むと、夫婦のやり取りがリアルすぎて、心が痛いなと感じました。演じる際の温度感は難しかったのではないでしょうか?

…僕は、重くていいのかなと思っていました。意識してないですけど、1話の撮影中、ずっとため息ついていましたし。元春の気持ちにリンクしていたのでしょうか。

──劇中に出てくる「悪妻を持てば哲学者になる」という言葉が印象的ですが、大倉さんご自身もその言葉には共感しますか?

逆境にいる時、名言の本とかを読むと気が楽になることがあるじゃないですか。だから、「悪妻を持てば哲学者になる」という言葉を元春が意識したことは、理解できますね。

でも、澪を恐妻悪妻にしたのは、元春のせいでもあると思います。その夫婦間の状況をどうにか乗り越えるために、他の力が必要なのかな。まぁ、きっと元春は、やってられないんだと思います。

結婚していなかったら選択は自由ですが、子どももいるし、夫婦の不仲だけで別れられない事情もあって。いろいろなことが頭をよぎるのかなと思いました。

僕だったら、スリッパとかを投げられてまで、我慢できない。その我慢のために、元春は「悪妻を持てば哲学者になる」という言葉が必要だったのかもしれないです。

──演じながら「自分だったらこうするのに」ということは考えたましたか?

1話の時点で手遅れなんですよ(笑)。もう奥さんも怖くなっちゃってるし。そこまでの過程が大事だったんだろうなと思いました。

──1話の台本を見ると、お互いに自分の気持ちを言っていないことが不仲の原因かなと感じましたが…。

そうですね。お互いに良い関係を築くための気遣いができなくなってきてしまったのだと思います。向き合うことも力がいるし、しんどくなってくる。少し逃げたことが大きくなって、それが積み重なって、澪と元春は不仲になってしまっているのだと思います。だから、本当に努力しないと、“いい夫婦”ではいられないんじゃないかなと感じました。

──大倉さんは、その“努力”をすることができますか?

難しいかもしれないです。自分のことでいっぱいいっぱいのときは、相手を気遣えないと思いますし。助け合いができればいいですけど、できないからうまくいかない夫婦も多いんでしょうね。

──この作品に出演したことで、「結婚っていいな」と思いましたか?「大変だな」と思いましたか?

どっちも思いました。子どものおもちゃとかが転がっている家って、なんかいいなと思いましたけど…なんでも、いい面とそうじゃない面があるんだろうな。いろいろ考えさせられた、いい機会でした。

──最後に視聴者のみなさんへメッセージをお願いします。

自分が結婚していないのでわからないですけど、どんな夫婦にも幸せな時間、仲が良い瞬間はあったはずだと思うんです。今、もし元春と澪のような夫婦関係に陥っている方がいたら、その幸せな時間を思い出してもらえたらうれしいなと思います。