『監察医 朝顔』(第2シーズン)第9話完全版
朝顔(上野樹里)は、つぐみ(加藤柚凪)と一緒に保育園の運動会に参加する。楽しそうなつぐみの姿を見つめる朝顔。
藤堂(板尾創路)や光子(志田未来)たちは、マンションの前で死亡していた21歳の大学生・小湊真由(愛甲ひかり)の解剖を行っていた。真由は、全身を11ヵ所も刺されており、死因は背部刺創による出血性ショックだった。
真由が雑誌の人気読者モデルだったため、SNS上にはこの事件に関するさまざまな情報が流れていた。その中には、真由と親交があったモデル仲間の吉永明日花(水野瑛)や、かつて交際が噂された橘凛太朗(宮内伊織)の犯行を疑う声も上がっていた。
その解剖後ミーティングの際、藤堂たちは、検視官の伊東(三宅弘城)から、丸屋(杉本哲太)が警察を辞めてしまったことを教えられる。
解剖の後、茶子(山口智子)は、光子や絵美(平岩紙)とともに教授室の荷物整理を始める。同じころ、高橋(中尾明慶)と牛島(望月歩)が解剖室の掃除をしていると、突然解剖台横の水道が壊れ、水が噴き出す事態が発生。そのせいで、予定されていた解剖は別の大学に依頼しなければならなくなってしまう。
翌日出勤した朝顔は、真由の事件について調べるという光子を手伝おうとした。だが茶子は、修理が終わるまで休んで有休を消化するよう朝顔に指示する。
あくる日、朝顔は、つぐみを連れて仙ノ浦に向かい、平(時任三郎)と再会する。その後、体調を崩して入院中の浩之(柄本明)を見舞う朝顔たち。そこで浩之は、1本の歯を包んである里子(石田ひかり)の名前が刺繍されたハンカチを手渡し、これが里子のものかどうか調べてほしいと朝顔に頼んだ。
以前浩之は、調べる気はないと言っていたが、気が変わったのだという。そんな中、朝顔は、里子と中学・高校の同級生だったという美幸(大竹しのぶ)と出会う。
その夜、朝顔は、ハンカチのことを平に伝えた。平は、どうすればいいのかわからない、という朝顔に、自分が預かると告げる。
一方、朝顔たちと入れ違いで万木家に戻ってきた桑原(風間俊介)は、発砲した件で刑事部長から臨時の審議会への出席を命じられていた。姉の忍(ともさかりえ)や山倉(戸次重幸)ら、野毛山署強行犯係の面々は、桑原を励まそうと、万木家に集まって夕食をともにする。
翌日、朝顔は、平の代わりに宮里沼に向かい、捜索活動を行う。と、朝顔の元に、美幸が弁当を届けにくる。平から頼まれたのだという。そこで美幸は、平にはずっとこの地にいてほしい、と朝顔に告げ…。
桑原は、臨時の審議会に出席した。もうひとり、拳銃を奪われた山田直人巡査部長(友松栄)も出席する予定だったが、ケガが悪化したとの理由で欠席だった。桑原は、神奈川県警刑事部長の三浦信造(田中要次)から拳銃使用の件を厳しくとがめられ、暗に自主降格をするよう促される。
万木家に戻った朝顔たちは、審議会から戻った桑原と再会する。桑原は、自主降格を勧められたことを朝顔に打ち明け、給料や手当てが減ってしまうことを詫びた。そんなことはどうでも良い、と返す朝顔。その夜、桑原は、朝顔のために用意しておいたプレゼントを手渡した。それはネックレスだった。喜んだ朝顔は、桑原に抱きつき…。
翌日、興雲大学法医学教室に解剖の依頼が入る。運ばれてきた遺体は、真由の事件で捜査線上に浮かんでいたモデル仲間の明日花だった。解剖を担当した朝顔は、死因が背部刺創による失血性ショックであること、腹腔内に多量の出血があったことを報告する。刺された場所や、刃渡りの長い凶器が使われていることなど、真由との事件と酷似しているのも特徴だった。
解剖中、写真撮影を担当した牛島は、犯人が憎いといって涙を流した。報告を受けた山倉は、残る重要参考人、橘をマークするよう部下たちに指示した。
光子とともに明日花が刺された現場に向かった朝顔は、真由のときと同様に、血痕が少ないことに注目する。解剖記録を見比べた朝顔は、似た場所を刺されていると思っていたが真由と明日花が、医学的にはまったく同じ位置を刺されていることに気づく。
するとそこに、電話が入った。山田巡査部長が死亡したというのだ。山田は、審議会に行く支度をしている最中に倒れたらしい。朝顔は、審議会に向かっていた桑原に、山田の死を伝えた。
司法解剖の結果、山田の死因は、襲われた際に頭を殴られていたことによる、外傷性の遅発性脳内出血であることがわかる。朝顔たちから説明を受けた山田の妻・亜紀(高畑こと美)は、襲われた時に拳銃に手をかけたが、警察官が撃ったら問題になると思い撃たなかったことを山田から聞いたと話す。山倉は、そんな亜紀に、山田は必ず殉職扱いになる、手続きも手伝うと声をかけるが…。
審議会に出席した桑原は、山田が殉職したことを三浦たちに告げると、単独行動や報告義務違反以外の判断は間違っていない、どんな危険な職務につく人間も自分を守る権利があると主張する。
するとそこに、監察官の五十嵐(松角洋平)が現れ、取り調べを担当した自分が審議会から外された理由を三浦たちに尋ねた。続けて五十嵐は、自主降格を促して自分たちの責任から逃れるための密談だとしたら見逃すことは出来ない、と三浦に言い放つ。そこで桑原は、自主降格しないことを宣言し…。
真由と明日花の事件は、テレビやネットニュースで連日報じられ、重要参考人の橘のアパートにも取材陣が押しかけていた。と、橘のアパートを張っていた忍が彼の部屋から煙が出ていることに気づき、部屋に踏み込んだ。
するとそこには、練炭を使って自ら命を絶った橘が横たわっていた。部屋にあった橘のパソコンには、エゴサーチをしていた履歴も残されていた。解剖の結果、死因はやはり一酸化炭素中毒だった。
朝顔や茶子は、橘の解剖後、ある懸念を確認するために真由と明日花の再解剖を行おうとしていた。するとそこに平から電話が入る。浩之の容体が悪く、うわごとで朝顔の顔が見たいと言っているというのだ。茶子は、再解剖を引き継ぎ、仙ノ浦にすぐ向かうよう朝顔に指示した。
牛島は、光子から解剖室の掃除を頼まれる。そこで牛島は、記録用のパソコンを立ち上げ、スマートフォンでその画面を撮影する。
朝顔が仙ノ浦の病院へ到着すると、浩之はベッドの上での体をおこしていた。浩之は、たいしたことはないのに医者が騒いだと朝顔に告げると、リンゴが食べたいと言い出す。美幸が持って来てくれたというリンゴを剥いてやる朝顔。そこで朝顔は、里子と美幸が同じ合唱部だったこと、美幸の夫と娘が震災で亡くなったことを知る。
その夜、朝顔と平は、美幸の店を訪れる。美幸は、緑色の公衆電話の前に座り、受話器に耳を当てていた。美幸は、電話しているのではなく、繋がらないとわかっていてもかけたくなってしまう、と朝顔たちに話す。
テーブルの上には、バースデーケーキが置かれていた。娘の誕生日なのだという。美幸が使っていたテレフォンカードは、娘が1歳になった記念に作ったものだった。朝顔は、リンゴの礼を言ってエコバッグを返した。美幸は、そんな朝顔と平に、食事をしていってほしいと告げる。
帰りの車の中で、朝顔は、ずっとここにいて里子のことを探すのか、と平に尋ねた。それに対して、いつか探せなくなる日が来るから探せる間に探したい、と返す平。そんな父に朝顔は、歯を調べるのはもう少し後にすると伝えると、それまでの間、預かっていてほしいと頼んで仙ノ浦を後にする。
翌日、茶子は、朝顔に再解剖の結果を伝える。それは朝顔が推測した通りの結果だった。やはり犯人は、正確に急所を狙っていたのだ。
同じころ、牛島は、友人たちにスマホの画像を見せる。それは解剖された際の橘の写真だった。友人たちは牛島からその写真を送ってもらうと、その場でSNSにアップしてしまう。
ほどなく、法医学教室に、理事長室から連絡が入る。流出した解剖画像について事情を聞きたいという。流出した橘の写真は、女子大生殺しの犯人として恐ろしい勢いで拡散していた。その画像を見た朝顔は、解剖室のパソコンを撮影したものであることに気づく。そしてその画像は、パソコン画面に映り込む牛島の顔もあった。
事情を聞かれた牛島は、自分が撮影し友人に送ったこと、それを友人が目の前でアップしたことを認めるが、自分は皆が知りたかったことを広めただけでそれの何か悪いのか、と主張する。そんな牛島に対して朝顔は、橘が犯人ではないことを告げる。
橘は犯人と同じ左利きだが、過去に左手の腱を切っており、何度も人の体を刺せる力がなかったのだ。続けて朝顔は、法医としての在り方や、人間の尊厳について話し、橘も真由や明日花と同じように傷を負った被害者であることを伝えて、自分のしてしまった罪の深さを覚えておくよう涙ながらに訴えた。
別の日、朝顔たち法医学教室の面々は、茶子からティーパーティーの誘いを受ける。すでに、真由と明日花を殺害した疑いで、デートクラブでふたりと知り合ったと思われる医師が逮捕されていた。するとそこに、牛島もやってくる。
茶子は、法医学教室に残るよう牛島に告げると、自身は大学を辞めることにしたと皆に伝える。茶子は、朝顔たちに最高のチームだと伝え、後は頼んだと言い残して去っていく。
帰宅した朝顔は、茶子が辞めたことを平にも伝える。だが、電話を切る際に平が言った言葉にショックを受けてしまう。朝顔は、すぐに桑原に電話し、平のようすがおかしいことを伝えた。「じゃあな、里子。朝顔によろしく」。朝顔は、電話を切る際に平がそう言ったことを桑原に告げ…。
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