2月26日(金)から公開される映画「劇場版 ポルノグラファー~プレイバック~」は、BL漫画を原作に、2018年にFODで連続ドラマ化されるや最速で100万回再生を突破、地上波でも放送された大ヒット作『ポルノグラファー』『ポルノグラファー~インディゴの気分~』の完結編となる。

官能小説家の木島理生(竹財輝之助)と大学生の久住春彦(猪塚健太)が奇妙な出逢いを経て恋人となってからの2年後を描いた今作。“グラファー”と呼ばれる熱心なファンを生み出したドラマ版を経て、映画というかたちでラストを迎えることになった喜び、そして作品についての思いを主演の竹財と猪塚が語った。

<竹財輝之助・猪塚健太 インタビュー>

「パッケージ化しただけでも驚いたのにね」(竹財)

――劇場版が決定した感想は?

竹財:シリーズの反響のおかげでここまできました。“グラファー”の皆さんは、本当に精鋭というか、どこのファンの方よりも熱いんじゃないですかね(笑)。その人たちに動かしてもらった作品なので、本当にありがたいなと思っています。

猪塚:FODの再生回数という目に見えた数字もありますし、配信当時からSNSでもたくさん皆さんがつぶやいてくださる声が届きました。劇場版として完結すると決定して、「本当によかったね」と周囲の人たちも喜んでくれました。

竹財:パッケージ化しただけでもすごいびっくりしたのにね。だって配信しているから、パッケージ化する意味がないんですもん(笑)。それを動かしてくれたのがファンの方々なので、本当にすごいなと思って。

猪塚:めちゃめちゃ驚きました。「映画ですか?本当ですか?」って、ねえ?

竹財:うん。絶対、FODで配信するだけだと思ってた。

猪塚:ドラマの反響を受けて、続編を原作者の丸木戸マキ先生が描いてくださっていたから、「やりたいな」って心のどこかで思ってはいました。自分が演じた役なので、読む自分は完全に春彦目線なんですよ。どういう結末に持っていくんだろうって思いながら、「丸木戸先生、頑張れ!」って(笑)。

竹財:うーん…僕はそんなに感想なかったです。「へー、描いてんだ」って(笑)。先生、久々に描くからちょっと絵が変わってきてるなとは思った。自分がまたやるとは思って読んではいなかったですね。

猪塚:さすが、動じないな(笑)。

「木島先生って本当にひどいやつ、春彦に申し訳ない」(竹財)

――前作から2年経っていますが、役にはすんなり戻れましたか?

竹財:僕はフラットに現場に入れた感じでしたね。今回本当に大変だったのが、自粛期間中に太っちゃって。前作の時は相当痩せていて65キロくらいだったのに76キロまでいって、やばい戻さなきゃと思いました。それもあったのかもしれませんが、結構早めの段階で準備を進められました。

猪塚:過去のDVDを見て、どんなキャラクターでどんな性格だったのかを入念に思い出しました。映画の設定も同じく2年後だったので、リアルをちょっと利用しながら、結ばれてはいるけど久々に会う感覚を自分の中ですり合わせていきました。竹財さんとも、自然と芝居していたらそうなったよねって、言葉でなくても感じ合えたかなと。

竹財:事前に打ち合わせとかもないしね。濡れ場の流れの確認はあるけど。

猪塚:殺陣(たて)のシーンが多かったから(笑)。

竹財:あれは一歩間違えると本当にけがをしちゃうので、その確認くらいですかね。あと今回はですね、「木島先生って本当にひどいやつだな」って思いながら演じていました。「こんなキャラだっけ?」と思いましたけども、「まあ、こういうこと平気でする人だよな」というのは感じました。いやー、全編通して春彦に申し訳ない。今回は本当に木島がひどい。

猪塚:ひどいですよね(笑)。

竹財:そういうひどい部分もたぶん今まではオブラートに隠せていたんですけど、今回はストレートに好きあって甘えてる感じというか、遠慮がなくなって存分に木島先生の変なところがはっきりして。演じていても申し訳なさと楽しさが入り混じっていました。

猪塚:僕は、春彦って前々から真面目だとは思っていたけど、改めて真面目で一途だなって実感しましたね。そんなに理生さんのことが好きなんだって。ずっと理生さんのことだけを考えていればいいので、ある意味作りやすいんですけれど。

撮影の時に竹財さんが、ケンカや言い合うシーンを「こんなに重いシーンになるとは思わなかった」と言っていたのが印象的でした。原作だとすごいポップに描いているんですが、でもどうしてもそうできなくて。自然と重いシーンになったのは、春彦の一途な気持ちがあったからこそだと思います。

――印象的だったシーンはありますか?

竹財:春子(松本若菜/木島が身を寄せるスナックアケミのママ)が登場するシーンは面白かったです。この作品で笑えるとは思っていなかったんですけど、笑っちゃいましたね。僕自身が、春子を止めに入る時に木島先生を忘れているんですよね。「あー!ちょちょちょ暴力は!」みたいな。

猪塚:分かります、ポップな感じが出ていますもんね。理生さんらしくない(笑)。でも理生さんの新しい一面を見たという感じでした。

竹財:よく監督これオッケー出したなって思って。あそこはアドリブも多くて、やっていても楽しかったですね。

猪塚:僕は、あんなに兄の理生さんに対して怖かった妹の菜月(小林涼子)が、ほほ笑むシーンが印象的でした。温かい空気が流れたシーンですごく好きです。

「毎日素振り3千回ね」(竹財)「ヤバい!スパルタだ(笑)」(猪塚)

――お互いの役の魅力はどういうところでしょうか?

竹財:春彦は天使かっていうくらいの笑顔と、なんでそんなに一途なのってくらい一途。年下なのにしっかりして頼れるし、優しいし包んでくれるし。頭のネジが2、3本どころじゃなくだいぶ足りなくて破綻している木島先生を包んでくれて、慕ってくれて必要としてくれる。足りない部分を全部補ってくれてさらに足してくれる人はなかなかいないので。

猪塚:ありがとうございます(笑)。でも僕、猪塚健太自身はどちらかというと木島理生寄りの人間かもしれないですね。

竹財:嘘だあ(笑)。

猪塚:木島先生の気持ちがすっごく分かるんですよ。「この幸せって何なんだろう」とか、「自分のせいで彼を不幸せにしたくない」とか、そういう気持ちに陥る感じ。ただ、春彦としては、「この人全然分からないな」という気持ちなので、ずっとモヤモヤは溜まるので、そこは僕とは全然違いますね。

――3作を通してお互いに印象の変化はありましたか?

竹財:ちょっと偉そうな言い方になっちゃうんですけれど、受ける芝居がしっかりしているので、最初から安心して芝居ができるなと思ってそこから変わっていないですね。本当に信頼できる役者だし、年下だけど身を任せられるなーって思っています。

猪塚:嬉しいです!僕も印象は最初から変わっていなくて、引っ張っていってくれるお兄さん的な存在。本来の竹財さんって、木島理生とは真逆な感じで、頼れるし、芝居では何をやっても大丈夫という本当に安心できる方。後輩として最初はちょっと気を遣っていたけれど、居心地はどんどん良くなっていきました。

――プライベートでの交流は?

猪塚:めったにないけど、本当にたまに飲みに行きます。監督とかも交えて、それこそ吉田宗洋(城戸士郎/木島の担当編集者)さんとかも(笑)。吉田さんはすごい盛り上げてくださるんで。先輩なんですけどいじらせてくださるし、いじられ待ちしてくれるし。

竹財:吉田さんの名前がでると笑いが起こるってすごい、いないところで話題になるんだもんね。

猪塚:僕は竹財さんにゴルフを教えてもらいたいんですよ。ゴルフ上手いですもんね。興味はあるんですが、始める動機ってなかなかないから。

竹財:ゴルフは上手だよ、俺。吉田もやりたいって言っていたから、一緒に行こうか。でも俺は厳しいよ、3ヵ月はクラブ持たせないけど、いい?

猪塚:やべえ!スパルタだ。

竹財:最初からクラブを持ってはダメだ、ボールを打ちに行っちゃうから。まずはスイングを作らないと。新聞紙を丸めたやつを渡すから、毎日素振り3千回ね。サッカーやってたから上手だよ、たぶん。

猪塚:本当ですか?機会があったら始めたかったので嬉しいです!

最新情報は、映画「劇場版ポルノグラファー~プレイバック~」公式サイトまで。