<コラム>フジテレビ『知ってるワイフ』第3話

無駄なシーンがなさ過ぎてひと時も目が離せないッ!!!

今回を要約するなら、

何なん!?元春(大倉忠義)第2章×運命まっしぐら澪(広瀬アリス)×戦慄の沙也佳(瀧本美織)っすよね!?

で、ひとまず戦慄の沙也佳ですよ!!

先週の、“ほっぺにチュー攻撃を繰り返す沙也佳”、“デパ地下総菜(的なもの)を堂々と鍋に移し替えてるのに、さも自分で作ってます風情の沙也佳”を見ちゃってるもんだから、ただただ何気ない、朝のモーニングルーティンの中で繰り出される“ほっぺにチュー”再び!!ってだけで戦慄!!!そして、もうそういう目でしか沙也佳を見ていないから、一つ一つのセリフが戦慄走りまくり!!!

っというわけで振り返ってみましょう。

「俺は沙也佳専用の運転手だから!」という元春に対して即答

「当然!助手席は私の指定席よッ!」

その助手席で澪の名札を見つけた際にチクり

「建石ィ?」

弁明する元春に対し

「誰でも乗せるのォ?…私だけの運転手ってこと、覚えといてねッ!」

桐箱に入ったステーキ肉を見せびらかし一言

「お取り寄せしちゃったッ!」

複数のブランド紙袋を目の当たりにした元春に

「そうは言っても、20マンは超えてないからッ!」

沙也佳家恒例らしい謎のバーベキュー会で野菜から食べ始める元春へ

「今日はお肉からじゃないのォ?」

怖ェェェェェェーーーー!!!!!

トドメのセリフが「今日はお肉からじゃないのォ?」って、怖ェェェェェェーーーー!!!!!なんだかよくわからないし、何かの含みが明確に見えるわけでもないのに、「今日はお肉からじゃないのォ?」って、お肉から食べないだけで、なんの疑問もなくツッコまれる…しかも家族総出で…お肉至上主義!?…なにそれ!?…どういうこと!?…とにかく怖ェェェェェェーーーー!!!!!

うん、そらね、セリフの後ろに“小文字カタカナ”をわざわざ付け足してるあたり、僕に悪意がないとは言いきれないけれど、そんな勝手に戦慄が走ってる最中、チェロの教え子から“先生(=沙也佳)の同級生にすごい人がいたんですね?”って時の反応…。

「………、そう…」

っていう、「そう」の前に「………、」って一瞬の間をとる沙也佳…。その時、瞼をピクッとさせる沙也佳…。それだけで嫉妬、高飛車、プライド、恐怖…などなどすべてを含んだ“戦慄”を表現する瀧本美織さん…、天才!!これ、瀧本美織さんの新境地たるやないよね!?

で、さんざん悪意たっぷりに書いちゃってるかもだけど、さっきの一連の戦慄セリフを、ただただ“含みを持たす怖い女”って感じじゃなく、ちゃんとキュートさも兼ね揃える。戦慄とキュートのあいだを行ったり来たりさせる瀧本美織さん、マジ天才!!

ふぅ~。ついつい興奮しちゃった。

っとまあ、そんな前半だけですでに大興奮なんだけど、それを醒めさせない、なんならさらに大大大興奮へと導いていく元春と澪だよね!

今週もポーカーフェイスが微動だにしない“何なん!?元春”が大健在で、前回のラスト、澪に思いを巡らせて、人生が変わってしまったことへ罪悪感を抱き、バイク事故寸前の澪を呼び捨てで叫び、抱きよせ、救う…という、ベタとわかっちゃいるけど、あのポーカーフェイスが微動だにしない元春が、叫んで、抱擁…なもんだから、キュン度、半端なかったよね…だから、うん、元春もそういうとこ、見直すとこ、あるよね…なーんて思ってたのは束の間。今回の冒頭で、なぜこの銀行に来たの?という問いに対し、澪が「近所だから!」っていう、ただそれだけを鵜呑みにし、細かく確認するでもなし、澪は“お母さん(片平なぎさ)のこと”若干含みもたせてんのに、その辺はスルーで、謎に核心を持ち、元春のモノローグ「ビビッて損した。ただの偶然かよ」って吐き捨てる元春、何なん!?

…そして今回僕的No.1何なん!?だったのは物語終盤。澪の「目の前の人が笑ってくれるのが一番嬉しい」という言葉に対して、元春が思いを巡らせる回想シーン…。「カニクリームコロッケ作ったんだ~。カニカニ~!」ってはしゃぐ澪に対して、「ちょっと黙っててくんないかな」っていう元春な!!

だって奥さん見ました?(いったい誰)あのカニクリームコロッケ!あの家庭料理史上最高メンドクサイとされる(自分調べ)、コロッケ…ってだけじゃない、“カニ”、クリームコロッケにですよ?なんと澪は、カニの“脚”まで付けて調理してたでしょ!?信じられない!!!どんだけ愛情こもってんねん!!そら「カニカニ~!」ってはしゃぎたくもなるよね!?それを、「ちょっと黙ってて」って吐き捨てる元春、マジで、いったい、何なん!?

そら澪もモンスターと化すよね。そして、そうさせたのは元春、お前じゃーーーーい!!気・付・け・や!!

ついついまたしても興奮してしまいました。大変失礼いたしました。

そして、なことより(?)澪の運命への導かれ方、とてつもなかったよね。自転車こいでたらおっちょこちょいで転倒して、ケガして、それを元春が発見し、可愛すぎる伏線=鼻つまみの合図を示し、さらに自転車のおっちょこちょいによって元春の妹・なぎさ(川栄李奈)にも遭遇し、運命としか思えない急速度で意気投合したりしつつ、運命じゃない津山(松下洸平)とは、見た目上あんなにお似合いで、津山も津山でさして何の非もないってのに、澪のベクトルは完全に元春に向いてて、それは完全に運命だから…ってのが見て取れて、それを表すかのように銀行でのトラブルは津山ではなく元春と一緒に解決し、それもあの可愛すぎる伏線によって解決し、それを経て澪の思い出の中華料理店へ元春と二人で訪れ、その澪の運命に呼応するかのように元春も「イチゴ杏仁豆腐」(=パラレルワールドの過去)を何も気づかず頼んじゃうっていうね…。くぅ~、運命描写が無駄なさすぎ!!で、その間、元春も元春で、回想で、いい感じのプロポーズ決めて、何なん!?が一回リセットされちゃったりもするしさ…僕(=視聴者)も運命に翻弄されまくりだよ!!

で、その津山もさ、演じてるのは、今をときめく超旬俳優の松下洸平さんだっていうのに、前クールでは恋愛ドラマの相手役として出演してたっていうのに、今作では完全に当て馬キャラにしか見えない!ってのがすごいよね。澪はケガしたのを発見してくれた元春に対して、その瞬間もう恋に落ちてる感出てるのに、澪が向ける津山への視線はなんら脈を感じない。見た目上、お似合いってのはちゃんとあるはずなんだけど、絶対運命の相手ではないっていうのが画面からすぐにわかるのがすごいよね。それはなぜなんでしょう?松下洸平さんがものすごくライトに演じているからかな?大倉くんとの演技熱量が違いすぎるからかな?俺のアリス(ナチュラルに呼び捨て)がベクトルを明確にした演技しているからなのかな?多分、全部で、奇跡的にかみ合ってるからなんでしょうね…。だからこっちもこんなに興奮するわけだ!!

で、で、で、大興奮の運命に対してトドメさしたのがラストっすよ。お母さんの認知症の話、このドラマで必要ある?って若干思ってたのに、そういうことになるのね!!やっぱり運命じゃーーーん!!!!!見逃せない!!!大興奮!!!!!!

text by 大石 庸平 (テレビ視聴しつ 室長)