剣崎元春(大倉忠義)は、バイクとぶつかりそうになった建石澪(広瀬アリス)を思わず抱き止めた。驚いた澪は元春を見つめる。元春は澪の表情から、「自分が過去を変えたことを知っているのではないか?」と疑う。しかし、それは元春の思い過ごしのようだった。

澪は自分と夫婦だったことも知らないし、職場で出会ったことも偶然だと聞いて元春は安堵する。しかし一方の澪は、元春に“澪”と呼ばれた気がして、どこか懐かしい気持ちを感じていた。 最近、澪は、顔の分からない男性に“澪”と呼ばれる夢を何度も見ていたのだ。

支店で行われた振り込め詐欺対策の勉強会の後、津山千晴(松下洸平)が澪を食事に誘う。澪は、今日は都合が悪いが、今度必ず行くので食べたいものを考えておくと答えた。社交辞令を疑う津山に、澪の性格を知っている元春は、彼女のことだから本当に考えてくるのではないかと伝える。

帰り道、元春が車を運転していると倒れた自転車の脇にうずくまる澪を見つける。元春は放っては置けずに澪のもとへ。けがの手当をしていると、澪は振り込め詐欺に遭っていそうな客が来店した際の合図を決めようと言い出す。“まばたきをする”、“鼻をつまむ”などのサインを提示する澪に、元春は真剣には答えず、車に乗せて送った。澪を降ろした元春に、再び疑問が浮かぶ。なぜ自分が転倒した澪に出くわすのか?やはり偶然ではないのか?

そんな時、元春は小池良治(生瀬勝久)を見つける。なぜ澪が自分の前に現れたのかと尋ねる元春に、小池は“いくら人生を変えても、繋がりのある人間達は変わらない。必ず引き合い、目の前に現れる”と答えた。

次の日、元春は沙也佳(瀧本美織)を車で送ることになる。助手席に乗った沙也佳は「建石」と書かれた銀行の名札を見つける。元春が昨日、行員を乗せたと言うと沙也佳は誰でも乗せるのかと聞いてきた。元春はたまたまだと答える。

出社した元春は、名札を澪のデスクにそっと返した。澪は、誰が拾ってくれたのか、と行員たちに聞くが、元春は名乗らない。そんな澪を津山が再び食事に誘うと、澪は激辛料理が食べたいと告げた。

終業後の帰り道、澪は木田なぎさ(川栄李奈)と出くわす。初めて会う二人だが意気投合し、連絡先を交換。その頃、元春は津山と木田尚希(森田甘路)の店で飲んでいた。独身を貫いてきた津山は、澪となら結婚しても良いと言い出す。自分の仕事が上手く行かなくても澪は笑っていてくれそうだと言う津山に、元春は以前の澪を思い出し、「変わってしまう人もいる」と忠告する。

元春が家に帰ると、沙也佳が高額な買い物をしていた。生活を切り詰めていた澪との暮らしに元春はギャップを感じる。それでも、元春は今日の大学でのチェロ講師は楽しかったか、と質問。すると「全然」と、つまらなそうに答える沙也佳。実は同期が音楽コンクールで優勝したと聞き、沙也佳は良い思いをしていなかったのだが、元春はそれ以上聞かなかった。

休日、元春は沙也佳の実家でのバーベキューに招かれる。沙也佳の父・秀彦(山田明郷)の自分への期待に、元春は戸惑いを感じる。

そんな休日明け、津山は元春に澪とのデートを報告。すごく楽しかった、と言う津山は、澪が経済的に自立したがっているようだ、と話す。

元春は、就活中の澪にプロポーズした以前の人生を思い返す。澪の自立の可能性を奪ったのは自分だったのではないだろうか?そして、生き生きと自立して働く澪を見て、過去を変えて良かったのだと考える。

元春がそんなことを思っていると、窓口から澪がサインを送って来る。澪が応対している女性、藤原順子(朝加真由美)が振り込め詐欺の被害に遭おうとしている可能性があるというのだ。サインに気づいた元春は協力して、順子を被害から守る。

その後、警察へ報告に行った帰り、澪が元春を食事に誘う。そこは、過去を変える前の人生で澪が好きだった店。元春も行ったことがあるが、そこには二人で店の壁に書いた落書きはない。食事をしながら、元春は澪に「あおい銀行」に入行した理由を聞く。澪は就活がうまくいかなかったが、ファイナンシャルプランナーの資格を取ったら入れたと答えた。

元春は、仕事にやりがいを感じていて、ずっと続けようと思っているのだろう澪に聞くと、仕事ではなくてもいいのかもしれない、と話し出す。専業主婦になったとしても、夫がいつも笑っていてくれたらそれが一番うれしい、と澪は言う。

澪の言葉に、元春は再び前の人生を振り返る。出会って以降、結婚後もしばらくは澪はずっと笑い、自分を笑顔にしてくれていた。そんな事を考えながら元春がデザートを注文すると澪が驚く。それは、澪の定番デザートだった。

店を出ても思いをめぐらす元春は、以前の人生でも、笑い合っていた頃は澪の望みを自分も叶えていたのだと気づく。徐々に仕事を理由に澪への気使いをおろそかにしてきた自分が、澪の望みを壊してしまった…。

そう思い至った元春に、澪は、自分を知っているか、以前どこかで会ったか、と聞いてきた。元春に以前から知っているような親しみを感じるし、自分の好みの食べ物を知っていた、と指摘する澪。さらに、バイクとぶつかりそうになった時、自分を呼び捨てで呼んだではないか、と言うのだ。

元春は、初めて会ったのは澪が異動して来た日だと主張。そんな二人がコンビニの前を通りかかると澪の母、久恵(片平なぎさ)が呼び止めてきた。やっと会えたと喜ぶ久恵は、澪ではなく元春に抱きついた。澪は慌てて職場の上司だと告げ、元春に謝罪。しかし、久恵は、元春はうちの婿で、澪が毎日怒るから帰らなくなった、と言い始め…。