1月24日(日)14時からフジテレビでは『ザ・ノンフィクション 母さん、もう一度 闘うよ ~高校中退…息子たちの再起~』が放送され、ナレーションを松本穂香が担当する。
順風満帆だった歩みから一転、大きな挫折を味わい、高校を中退した若者たちが集まる場所がある。
18歳の恭平は、幼い頃から野球一筋、プロ野球選手になることを夢見てきた。高校は甲子園に出るため他県の強豪校に進学。両親も息子の夢が現実になると信じていた。
しかし、高校で待っていたのは部内の陰湿な“いじめ”。恭平は退部に追い込まれ、結局、高校も中退。人生の目標を見失ってしまう。
そんな恭平のために、母が毎朝5時から握るのは、特大おにぎり。高校を中退した恭平には今、毎朝、通う場所があるのだ。
「もう一度、野球がやりたい」「野球で夢をかなえたい」様々な事情で一度は夢破れた者たちばかりが集う野球チーム「BBCスカイホークス」。ここは、大好きな野球を楽しむ場所ではない。再び「野球」を通じて、自らの人生を切り拓くために闘う場所なのだ。プロ野球選手を目指す恭平の闘いが、再び始まる。
2020年、新チームのキャプテンに任命されたのは、群馬からやってきた17歳の成覇(じょうは)。彼もこのチームで再起を目指す一人だ。
甲子園を目指す強豪校でレギュラーになりながらも、校内でトラブルを起こし、高校中退を余儀なくされた。成覇の目標は、通信制で高卒資格を取り、大学で野球を続けること。
思いもよらぬ大きな挫折で夢破れた若者たち…その時、親はどうするのか。再び「野球」に打ち込み、人生を切り拓こうとする若者と家族の1年を追った。
挫折を経験しても、野球への思いを貫こうとする彼らの姿に「『自分はどうなんだ?』って考えさせられました」という松本。ナレーションも彼らに共感しながら読んだという。
高校生という若さで、想像もつかなかった困難に見舞われながらも、夢に向かって進む彼らと、その親たちの姿を通して感じたことを、収録後に話してもらった。
<松本穂香 インタビュー>
――役者の仕事のときは、現場に入る前に役作りをすると思うのですが、『ザ・ノンフィクション』のナレーションの場合は、事前にどんな準備をしていますか?
映像を観ながら、時間に合わせて台本を読む、という準備はしていますが、特別なことは特にしていないです。むしろ変に意識してしまうと、力み過ぎていい方向に進まないので、視聴者の方と同じようなフラットな気持ちで、応援するような感覚で読むようにしています。
ただそれでもつい力が入ってしまうと、イントネーションが違ってしまったり、滑舌が悪くなってしまったり…毎回、難しいな、って思います。普段は何でもなく言えている言葉でも、いざ“録るよ”となるとわからなくなったり、お芝居だとそこまではっきりと発音しないので、意外と言えてなかったのかも、というようなこととか。まだまだ実力が足りない、と感じながらやらせていただいてます(苦笑)。
――今回の主人公たちに対してはどんな思いがありましたか?
こんなにも努力しているのに、それがなかなか結果につながらない。もちろん世の中にそういうことはたくさんあるのだろう、とは思っているんですけど…。「自分はどうなんだ?」って考えさせられました。自分ももっと何かやれることがあるんじゃないか、と。
ご両親たちから出てくる言葉にも驚いて。育て方を間違えたかな、とか。あの言葉を言うまでの道のりを想像すると、ホントにたくさんの辛いことがあったんだろうな、と感じさせられました。
――本来であればプロ野球で活躍できるかも知れないような子たちが、ちょっとしたつまずきで、大きく人生が変わってしまうんですよね。
明日は我が身ではないですけど、他人事ではないですよね。学校で問題が起こって退学したことで、それまで想像もしていなかったような人生になってしまう。「あのことがなかったら今ごろは…」って、本人もご家族も死ぬほど考えただろうし。でもそれを乗り越えてきたんだな、と思うと、本当にすごいですよね。
――一度諦めた野球を、諦められなくて再チャレンジして、でもやはり諦めるしかない結果になる方もいましたね。
そうですね。でも何かやりきった、と言えることがあるって、それだけでも素晴らしいことだと思いました。
――松本さんは彼らと同じ高校生の頃に今の仕事を目指すようになったそうですが、何か自分と重なる部分はありましたか?
高校時代の私と比べたら、彼らの方がもっともっと上にいるというか。いろんなことを経験して、感じていると思います。私はあんな風になれるほど、打ち込めることはなかったので。あれだけ一生懸命に一つのことに打ち込めるのは本当にすごいと思うし、この経験は今後に生きるんだろうな、と思いました。
――そうは言っても、松本さんも高校での演劇との出会いが、今につながっているんですよね。
彼らのレベルとは比にならないとは思うんですが、高校の演劇部で初めて自分が打ち込めるものに出会えて、それが今につながっているので、学生のころのそういう経験は大事だと思います。ただ逆につながってくるからこそ、いろいろと難しいという一面もありますよね。
――今、高校時代の夢を叶えた松本さんから、これから夢に向かう人たちに伝えたい思いはありますか?
夢を叶えたと言っても、私もまだまだ必死ですし、足りないことだらけです。自分から見ると、周りの方たちはすごく見えるし、自分だけなんでできないんだろう、と思ってしまいます。
ただそう思ってしまう一方で、そうではないとも思うんです。きっと自分から見てすごい、と思える方も、何か自分に足りないものに悩んでいたり、必死な面もあって。私自身がつい人を羨んでしまいがちなのですが、そこで自分を下げる必要はないと思います。みんな一緒なんだ、と思ってもらえたらいいな、と思います。
――最後に、松本さんが感じた今回の見どころを教えてください。
今回のお話にはすごく共感しましたし、力をもらえました。ホントにみんな上手くいけばいいな、って思っちゃいます。なんか、本人たちよりも、ご両親の気持ちになってしまって。胸がギュってなっちゃうんです(苦笑)。
ナレーションで最後に言う一言があるんですけど、それを言いながら、戦うのは自分の弱い部分なのかも、と思いました。コロナの影響もあって、くすぶってしまったり、上手くいってないという方もいると思いますが、そういう方たちには、すごく響く内容になっていると思います。言い訳せずに目の前にある、今、自分ができることに対して頑張っている彼らを見てほしいな、と思います。
――
収録後、松本穂香がナレーションの一部を披露してくれた。