多くの話題作に出演し、その活躍から目が離せない松下洸平。
シンガーソングライターとしてデビュー後、ミュージカルや舞台、テレビドラマへと活動の場を広げ、2019年から2020年にかけて放送された連続テレビ小説「スカーレット」(NHK)でヒロインの夫役を演じたことで、さらに注目度を増している。
フジテレビュー!!では、そんな松下へインタビュー。前後編でお届けする。
前編の記事はこちら!
後編の今回は、現在出演中のドラマ『知ってるワイフ』の裏話や、本格的に活動を再開させた音楽にかける思いを聞いた。
<松下洸平 インタビュー>
──『知ってるワイフ』では、主人公・元春(大倉忠義)の同僚で親友の津山千晴役を演じていますが、元春がタイムスリップすることで、津山も結婚していたり、独身だったり、状況がいろいろと変化していました。そういう設定の役を演じることはあまりなかったのではないですか?
そうですね。だから、演じていてすごく難しかったです。
タイムスリップしているのは元春だけなので、元春がしきりに「今日、何年何月?」と聞いてきたり、タイムスリップしたら自分の妹・なぎさ(川栄李奈)が親友・木田尚希(森田甘路)と結婚していて、「お前なんで結婚してるんだ」と言い出したりして。
津山や友人たちは、突然わけのわからないことを言い出した元春に対して動揺するんですけど…日常生活で考えたら、病院に連れてかなきゃいけないレベルの出来事だと思うんです。記憶がおかしなことになっちゃっているので。そういうところを、いかにコミカルにスルーしていくかということが難しかったです。
──その難しさは、どうやって解消していったのでしょうか?
監督によく相談をしていましたね。実際、津山が言われたように「お前なんで双子の子どもいないんだよ」と、ある日突然親友に言われたら、「何があったんだ?」と思いますよね、普通。
でも、津山は「どした?」とかなり軽い感じでさらっと受け流すんですよ(笑)。撮影が始まった頃は、その津山のテンションがつかめずに、かなり悩んでいました。
ただ、そこがファンタジーの面白いところなんだろうなと、自分自身も楽しめるようになってきて。中盤からは、みんな和気あいあいと、すごく楽しく撮影していました。
──支店長・宮本和弘役のおかやまはじめさんや、課長役・西徹也役のマギーさんなど、にぎやかな方々がそろっていますし、銀行のシーンは楽しそうな空気が画面からも伝わってきます。
すごく楽しかったです。ただ、撮影自体、(2020年6月の)緊急事態宣言が明けてすぐの撮影だったので、みんなでご飯を食べに行くなどということはできなかったんですよね。そこだけが悔やまれる。
でも、だからこそ、現場で密にコミュニケーションを取ろうという姿勢が、誰からともなくあって。マギーさんを筆頭に現場を盛り上げてくださり、すごく幸せな現場でした。
──現場で特に印象的だった出来事はありますか?
とにかく僕も含めて皆さん、フェイスシールドに慣れていませんでした。
あおい銀行のセット撮影では、それぞれ自分のフェイスシールドをしまう場所が決まっていたんです。スタッフさんから「本番始まります」と言われたら、みんなが所定の位置にしまって、カットがかかったら自分でフェイスシールドをして。これを朝から晩まで繰り返すので、自分が今フェイスシールドしているのか、していないのか、わからなくなっちゃうんです(笑)。
だから、「誰が最初にフェイスシールドをしたまま本番をやってしまうか」ということが話題になっていて。撮影が始まってから、1週間ぐらいたった頃だと思うのですが、マギーさんが「みんなどうした~?」と言いながら出てくるシーンで、きっちりフェイスシールドして登場しきたときは、本当に面白かったです(笑)。
マギーさん以外にも、ついフェイスシールドをしていることを忘れて、飲み物を飲もうとして、こぼしてしまうということもありましたし。大変でしたね。このドラマの撮影期間中は、とにかくフェイスシールドとの闘いでした。
──では、最終回に向けたドラマの見どころをお願いします。
「失って初めてその人の大切さがわかる」とよく言うと思うんですけど、まさにそれが詰まった最終回です。自分の周りにいる大切な人を、改めて大切にしようと心に固く誓えるすごく温かいラストになっていますし、身近にいる大切な人をもう一度、しっかり愛するきっかけになればと思っています。ぜひ最後まで楽しんでください。
──松下さんは、今年、音楽活動も再開されました。現在はツアー中ですが、ライブを久しぶりに開催された心境はいかがですか?
僕たちは迎える側として、ライブ中だけでもコロナのことやその他の不安な気持ちをなるべく払拭できるようにという思いでいました。僕たちがまずは楽しまなければ、その思いは伝わらないと思っていたので、僕自身はすごく楽しんでいましたね。
実際いろいろな事情で会場に来れなかった方もたくさんいますが、またいつか必ず会えると信じて、これからもずっと歌い続けていかなければいけないな、という覚悟を持てた気がしています。
──(取材時は)東京でのライブ直後ですが、手応えは感じましたか?
手応え…よりも課題のほうが多いですね(笑)。久しぶりのライブだったので、課題が見えたことが何よりの収穫。ツアーという、一つの作品のようなものを長い時間かけて作ることで、これから活動を続けるにあたって、どういう考えで音楽を作っていけばいいのかとか…今まで気づけなかったいろいろな発見がありました。
──松下さんは俳優としての印象が強いですが、これからは並行して音楽にも力を入れていく予定ですか?
そうですね。ずっと音楽も続けていきたいですし、お芝居の仕事も音楽も、同じぐらい今の僕にとっては必要なものだと感じているので、同じように力を入れていきたいと思っています。
──では、音楽面でこれから目指したいものをお聞かせください。
まずは、自分の音楽をしっかりたくさんの人に届けていきたいです。テレビで見ている俳優の僕が好きでライブに足を運んでいただく方、すごくうれしいです。そういう方々にプラスして、「俳優の活動は知らないけど、歌めっちゃいいよね。歌を聴きに行こうよ」と言って、会場に来てくれる人も増やしていきたいなと思っています。
「これが松下洸平の音楽だ」というものを作っていくことは課題ですが、本当の意味でのミュージシャンとしてのスタートをたくさんの人に応援してもらえるように、これからも頑張って歌います。
──最後に、お芝居に音楽にお忙しい松下さんの、今の癒しを聞かせてください。
癒しは…自分の好きな音楽を聴いているときですね。
──今特に好きな音楽はどんなジャンルですか?
相も変わらずなんですけど、ブラックミュージックを聴くのが好きです。そういった類の音楽を家でボーッと聴いていたり、音楽を聴きながらお風呂入ったりすると本当にリラックスしますね。
撮影:河井彩美
スタイリスト:丸本 達彦(UNFORM)
ヘアメイク:五十嵐将寿
衣装:ジャケット(48000円)、パンツ(29,000円)
ともにタキャシ/インターナショナルギャラリー ビームス(03-3470-3948)