2月12日(金)に1st写真集「あかねいろ」(光文社刊)をリリースする坂ノ上茜。

現在、放送中のフジテレビ系ドラマ『監察医 朝顔』で、刑事・愛川江梨花を演じる彼女にとって初めての写真集は、故郷・熊本で撮影されたメモリアルなもの。自身のアイデア満載というこだわりのカットや、撮影の思い出、裏話などを聞いた。

――写真集の発売おめでとうございます。制作が決まった時の感想から聞かせてください。

「いいの!?」というのが最初の感想でした。自分ではいつか写真集が出せたらいいな、となんとなく考えていたんですけど、まさかこのタイミングで出せるとは思ってもいなかったのでビックリしましたね。

――タイトルの「あかねいろ」にはどんな意味があるんですか?

まず一つ目は、制作にあたって、「こういう場所で撮影したい」や「こういうシチュエーションで」というアイデアを私のほうからいくつかリクエストさせていただいて、その中で特にこだわったのは「夕焼けをバックに撮りたい」ということでした。

というのも、母が私を出産する時に病院の窓から湖が見えて、その湖が夕焼けに照らされて一面茜色に染まっていたことから、私の名前が「茜」に決まったそうなんです。そのことを写真集のスタッフさんにお話して、夕焼けのカットを入れようということになりました。

二つ目は、この1冊にいろんな表情、いろんなカラーの私が詰まっていることから「あかねいろ」になったんです。いくつかタイトル案があったんですけど、満場一致で決まりました。

――具体的にどんなアイデアを出したんですか?

まず、テーマをどうするかとなった時に、私の年齢がちょうど25歳で、四半世紀という節目でもあるので、そこを切り口にという案もあったんですけど、私らしさを一番表現できるのは何だろうと考えた時、真っ先に思い浮かんだのが地元の熊本でした。そして、「熊本で撮影したいです」と提案したら、皆さん「いいね」と言ってくださって。

熊本で撮るのなら“旅感”もありつつ、私の思い出の場所へ皆さんを案内するようなものにしたら、テーマとしてまとまりもあるし、何より私のことをまだあまりご存じないという方にも知っていただけるものになるかなと思い、ロケ地に関しては「ここに行きたい、あそこに行きたい」とリクエストして、結構ワガママを聞いていただきました。

――仕事で帰る時と、帰省とは心境的に違うものですか?

まったく違いますね。特に今回の撮影は実家でも行いましたし、高校など思い出の場所もいくつかめぐったので、「なんで私、大人を引き連れて来ているんだろう?」と不思議な感覚になりました。ファッションも、普段着ないような服にもチャレンジしたので、そういう格好で熊本の街を歩くとまた新鮮な気持ちになりました。

――「大人を引き連れている」坂ノ上さんをご覧になったご家族やお友達の反応は?

家族はボーっとしていました(笑)。仕事中だから邪魔しちゃいけないっていう思いもあったのかもしれません。お仕事をしている姿を見せる機会なんて、そうそうないじゃないですか。そんなところも見てもらえたのでよかったです。

――実家を撮影場所の一つに選んだのはどういう理由からでしょう?

2016年の熊本地震や2020年の大雨被害などここ数年、熊本には自然災害がとても多かったので、大好きな熊本のために何かできることはないかと考えた結果、生まれ育った街を含め、実家でも撮影することを思いついたんです。

実際に元気になってもらえるかどうかはわかりませんが、地元の方が街の写真を見て、「これはここで撮っている」と気づいたり、逆に熊本をまったく知らない方には「熊本ってこういうところなんだ、行ってみたいな」と思っていただけたり、何かしら熊本のためになる1冊を作りたかったんです。

被災したことで、それまで自分が当たり前に過ごしてきた場所がいつなくなってもおかしくないんだ、そこにあることは実は当たり前じゃないのかもしれないと痛感して。そんな思い入れの場所を写真集の中におさめることができたので、実家を含め、地元で撮影ができたのはとても有意義な経験でした。

――撮影全体を振り返って、印象に残っているのはどんなことですか?

羽田から熊本空港に到着した時はすごい土砂降りの雨で、移動中には落雷もあったので「撮影できるのかな?」と不安になっていたんですけど、メイクをして、着替えをして、いざ撮影するとなった瞬間、快晴になったんです。私、そういうことがとても多いんですよ。移動中にはすごい雨が降るんですけど、撮影のタイミングにはピタッと雨がやんでくれて、お天気運には恵まれてるんです。

(編集部注:取材当日も雪予報だったものの、雨にすら見舞われることなく屋外で撮影ができ、坂ノ上さんの“運”を目の当たりにしました)

――何かハプニングなどは起きませんでしたか?

着替える場所がなくて、メイクさんたちに壁をつくってもらって着替えたぐらいで、特にハプニングというハプニングはありませんでした。大変だったのは、市電をバックに撮った写真ですね。実際に運行している電車なのでタイミングを合わせるのが難しくて、カメラマンさんが「今だ!」って走り出したり、何本もチャレンジしたり、結構てんやわんやで撮った1枚です。

――中でも、思い入れのある1枚を選ぶとしたら…?

私の名前の由来にもなっている夕景の写真です。お天気もどうなるかわからない不安定な状況で、かつ夕焼けはごくわずかな時間でしか撮れないのでかなり心配だったんですけど、私もスタッフさんも「どうしても撮るんだ」と決めていて。撮影スケジュールを調整しながらやっと撮れたカットで、あがった写真を見た時に自分でも「素敵な写真」と感激したのでお気に入りです。

――熊本の“お国自慢”を聞かせてください。

人柄ですね。気さくで天真爛漫で、知らない人ともすぐに仲良くなれる県民性。程よいのどかさと、田舎過ぎず、モノは揃っているという便利さ。路面電車が走っているちょっと懐かしさを感じる風情も好きです。

――熊本の街をめぐる観光ガイド的な写真のほか、水着のカットもふんだんに掲載されていますが、どんなふうにプロポーションをつくり上げていったのでしょう?

全体的に筋肉をつけたり、しぼったり、食事も一度断食をして、そこから食生活を見直すようにしました。そのおかげで結構絞れたと思います。

――健康的で美しいラインは女性から見ても理想的だと感じましたが、どんなところにこだわったんですか?

ただ細いだけとか、ガリガリの体は自分らしくない、程よく筋肉のついた引き締まった体にしたい。そして、水着や下着姿になってもいやらしさのない、女性から見てもヘルシーと感じられる体にしたくて、トレーニングを頑張りました。腹筋にはちょっとだけ縦線も入ってうれしかったですね。

――この写真集を一番に見てもらいたいのはどなたですか?

両親です。「私も25歳になりました」と報告できる、親孝行のようなものにしたかったので、この写真集を通してここまで育ててもらった感謝を伝えたいです。

――25歳が節目の年だとお話されていましたが、これから年齢を重ねていくにあたって、どんな大人の女性になりたいですか?

凛とした中にチャーミングさをあわせ持つ、大人の女性に憧れています。そして、どこにいてもしっかりと芯をもちたいですね。それは仕事だけじゃなく、プライベートにもいえることで、ここまではいいけどここからはダメという、自分の中の線引きをしっかりともった人になりたいです。

――2021年の展望を聞かせてください。

もっとたくさんの作品に出演したいです。自粛期間明けから『監察医 朝顔』の撮影が再開して、今も撮影している最中なんですが、今年は映画、ドラマ、舞台などお芝居の場数を増やして、いろんな役柄に挑戦してみたいです。

――写真集の発売を楽しみにしている皆さんへメッセージをお願いします。

私のことをご存じの方も、まだそんなに知らないけど気になっているという方にとっても、1st写真集「あかねいろ」は坂ノ上茜がこういう場所で生まれ育って、こんなふうに成長してきたと、より深く知っていただける1冊に仕上がっていると思いますので、少しでも気になるという方にぜひ読んでいただけるとうれしいです。

<動画:坂ノ上茜が好きな食べ物について語る>

坂ノ上茜1st写真集公式Twitter

撮影:河井彩美