多くの話題作に出演し、その活躍から目が離せない松下洸平。

シンガーソングライターとしてデビュー後、ミュージカルや舞台、テレビドラマへと活動の場を広げ、2019年から2020年にかけて放送された連続テレビ小説「スカーレット」(NHK)でヒロインの夫役を演じたことで、さらに注目度を増している。

フジテレビュー!!では、そんな松下へインタビュー。前後編でお届けする。

前編の今回は、松下が舞台初主演を務めるKERA CROSS(※)第三弾「カメレオンズ・リップ」へかける思いや、舞台の見どころなどを聞いた。登場人物それぞれがうそをつき、騙し合い、事態を混乱させ、破綻していくクライム・コメディに松下はどう挑むのか…。

※KERA CROSSとは、劇作家のケラリーノ・サンドロヴィッチがこれまでに生み出した数々の戯曲の中から、選りすぐりの名作を才気溢れる演出家たちが異なる味わいで新たに創り上げる、シアタークリエ連続上演シリーズ。
「カメレオンズ・リップ」は、第一弾「フローズン・ビーチ」(演出:鈴木裕美)、第二弾「グッドバイ」(原作:太宰治、演出:生瀬勝久)に続く、第三弾作品。

<松下洸平 インタビュー>

──まずは、「カメレオンズ・リップ」への出演が決まった時の心境をお聞かせください。

びっくりしました。KERA CROSSは毎回、面白い作品をチョイスしていらっしゃる印象があるのですが、「あぁ、僕が『カメレオンズ・リップ』をやるんだ…」と。

改めて、堤(真一)さんが主演された初演のDVDを拝見し、どうやって取り組もうかと悩んでしまって。でも、「もうこれ、考えても答え出ないな」と思うくらい個性的なキャスティングだったので、考えるのはやめました(笑)。

──初主演することについての心境も聞かせてください。

うーん…単独で主演をやらせていただくことが初めてなので、すごくうれしいです。プレッシャーはないと言ったらうそになりますが、あんまり考えないようにしてます(笑)。

──今回、松下さんが演じるルーファスは、どんな役ですか?

ルーファスは、すごく愛嬌のある、かわいらしい、どこか憎めないキャラクターですね。以前、堤さんが演じてらっしゃったこともあるとは思うんですけども。登場人物の中で、一番人間味があるというか、クセの強いキャラクターの中で実は一番の凡人というイメージがあります。

──これから稽古が始まるという段階かと思いますが、楽しみにしていることはありますか?

まずは共演者の皆さんと、どういう掛け合いができるのかがすごく楽しみです。昨年、KERA(ケラリーノ・サンドロヴィッチ)さんとケムリ研究室no.1「ベイジルタウンの女神」という舞台作品でご一緒したのですが、稽古中にKERAさんが「『カメレオンズ・リップ』やるんだって?」と、声をかけてくださって。お話した際にひと言、「大変だよ~」って、ものすごい圧をかけられました(笑)。

体力的な部分がかなり大変だっていう話をうかがって。僕はそれがどれほどのものなのかということは、体感しないとわからないんですが…。でも、そこも含めて、どこまで自分ができるのかということを試すのが舞台の楽しみだと思うので、とことんまで自分をいじめ抜いてやろうかなと思ってます(笑)。

──松下さんご自身は、「うそ」は得意ですか?

なるべくうそはつかずに生きていきたいなと思っていますけど…下手です…たぶん。僕をダマすのなんてちょろいと思いますよ(笑)。なんでも信じちゃうので、本当によくないなと思っているんですけどね。

──そんな松下さんがルーファスを演じることで、説得力が増しそうですね。

ルーファスには、最後に印象的なシーンがあるのですが…そこのシーンに説得力を持たせるためには、1幕、2幕を通して必死でいなければいけないなと思っていて。その必死さにだんだん本人も疲れてきて本音が出てしまう、嘘をつくことに疲れてくる、そんなルーファスの姿を僕がどれだけ表現できるかが大事だと思うんです。

僕自身も、うそをつくのは上手じゃないので、たぶん途中で疲れてきて、演じながら「早く本当のことを言いたい」と思い始めるのではないでしょうか(笑)。それが、シーンの説得力につながればいいなと思っています。

──そこがまさに作品の見どころになるでしょうか。

人間性があらわになっていく様は、ぜひ劇場で、生で見ながら面白がっていただきたい部分ですね。

撮影:河井彩美
スタイリスト:丸本 達彦(UNFORM)
ヘアメイク:五十嵐将寿

衣装:ジャケット(48000円)、パンツ(29,000円)
ともにタキャシ/インターナショナルギャラリー ビームス(03-3470-3948)

<舞台「カメレオンズ・リップ」公演概要>

作:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
演出:河原雅彦
音楽:伊澤一葉(東京事変、the HIATUS)

出演:松下洸平、生駒里奈、ファーストサマーウイカ、坪倉由幸(我が家)、野口かおる、森準人、シルビア・グラブ、岡本健一

公演日:
4月2日(金)〜4月4日(日)/ シアター1010
4月14日(水)〜4月26日(月)/シアタークリエ
そのほか、5月中旬まで福島・大阪・愛知・新潟公演あり

企画・製作:東宝/キューブ