<コラム>フジテレビ『知ってるワイフ』第5話

え、今日、月曜日でしたっけ???

今週結構、働いた気がするんだけど、まだ週の始まり、月曜日でしたっけ???

だってこの…、この、胸のときめきと切なさ…、そしてこの懐かしさは…一体、何!?

っと、なんとも白々しい自演で始まりましたが、つまり、僕が言いたいのは、このドラマ、もう、月9じゃん!この胸のときめきと切なさは、まごうことなき月9じゃん!!あの頃の月9じゃんかよ!!!ってことですッ!(鼻息)

タイムスリップとかしちゃうSFもので、そこで繰り広げられる夫婦の物語で、それをラブコメディくらいのテイストで、でもって脚本が『僕シリーズ』の橋部(敦子)先生だから、ファンタジックではあるんだけども、痛みとか苦しさみたいなのも内包してくるヒューマン的なのもあり…そんな、“ほろ苦オトナドラマ”だと思ってたんだけど、いや、それはもちろん全部入ってはいるんだけど、ここまで恋愛パートが良すぎて、突き刺ってくるだなんて、聞いてませんでしたよ!!??

だってSF要素を抜きにして、恋愛パート単体だけ抜き取ってもちゃんと成立して、しかもグッとくるシーンになっている…、うん、ってか、恋愛パートがいちいち良すぎやしませんかね?こちとらアラフォーのおじさんなもんだから、恋愛ドラマとか、ちょっと、もうね…、そういう歳じゃないしね…、おっさんだし、萌えとかそういう感情を持つ時代に生きてないし…ってなもんだったから、「恋愛ドラマを主軸にしたドラマは苦手です!」…なーんて、ちょっとカッコつけてたんですよ。だけどさ、これさ、もうさ、この恋愛の分量さ、正真正銘、THE恋愛ドラマじゃん!!そいで、まんまと自分、全力で胸、ときめいちゃってるじゃん!!そういや自分、恋愛ドラマ、好きだったんじゃん!!『東ラブ』(『東京ラブストーリー』)も『ロンバケ』(『ロングバケーション』)も好きだったじゃん!!思い出させてくれてありがとう!!『知ってるワイフ』ありがとう!!!

っと、おっさんが恋愛ドラマ、実はすっごく好きだったとか知らんがなって話ですが、1話の時点で恋愛シーンが素敵すぎるってのはわかってはいたけど、こうも毎回、素敵恋愛シーンが挟まってくるとはね…。で、そのメインとなってる、元春(大倉忠義)と澪(広瀬アリス)の恋愛時代の描き方の素晴らしさと純度の高さよ。そのシチューションからセリフから、それを放つ声から表情から、何から何まで無駄なく全てのピースがはまりすぎてて、「私と先生はどういう関係なの?」からの抱き寄せキッス!にはもう軽く失神したよね。萌えってこういう気持ちなんだね?ってなったよね。で、ついでに現代パートの津山(松下洸平)と澪のシーンでトドメ刺してきたよね。

銀行員だってのに、給与口座の開設に行っただけだってのに、工場の荷積み作業を手伝い、男だろうが女だろうが、たとえ工場の兄ちゃんだろうが、誰にだって分け隔てなく、爽やか1000%の笑顔を振りまき、御礼をさせてくださいという工場の兄ちゃんに「缶コーヒーをブラックで!」とか言っちゃう、イケメン地獄津山を目の当たりにした澪が、

「付き合いますッ!…津山主任と付き合いますッ!!!」

っておいーー!仕事中じゃろがい!!!てか、そこ、出先じゃろがい!!何を二人の世界に入っとんじゃいーー!!!

加えて終盤。元春があまりにも大胆に道のど真ん中に駐車するもんだから、仕方なくその前で一旦停車し、助手席に眠る澪を見つめる津山…、まじまじ見つめる津山…ああ、こらキスしちゃう感じね、目の前はみんながいるコテージ…、みんなが見てるかもしれないコテージ…、だけどそんなの関係ないよね、こらもう、キスしちゃう流れだもんね…、とめられないよね…、すっごい顔近づいてきた!シートベルトに手を掴んでまで顔近づけてきた!!…!!元春、それを目撃!!

ってしてないんかーーい!!いい大人が、プラトニックすぎるやろーーッ!!だけどここで津山がキスしちゃったら、みんなが見てるかもしれない目の前でおっぱじめちゃったら、津山“やりおる認定”(プレイボーイの意、僕命名)するとこだったけど、ホントにどこまでもオトコマエよな!!そして、咄嗟に抱き寄せてキスしちゃう元春と、目の前のついそこまで来てんのにキスしない津山との対比よな!!さぁ、真のオトコマエは、どっち!?

っとまあ、こんな感じで(?)、それら恋愛パートをマジに見ちゃう恥ずかしさを紛らわすかのように、ついついツッコミをいれてしまう自分。…うん、これこそが、恋愛ドラマを楽しむ、醍醐味だよね!!??

そしてお待たせしました!(?)今週の沙也佳(瀧本美織)!!

前回のラスト…、キターーー!沙也佳キターーー!って、極上のロマンティック&サスペンス!!で盛り上がり、今回の冒頭も、沙也佳が「なにしてるの?」って元春と澪を心底蔑んだ目で見つめ、その表情の巧みさに、やっぱり美織イズ ジーニアス!!って昇天しかけたんだけど、次の瞬間。そっからとてつもなく尋常じゃない悲しみの表情に切り替わる…、その振れ幅が凄まじかったもんだから…途端、同情モードに入っちゃって、ごめんな、沙也佳…沙也佳をただただモンスターキャラとして消化して、茶化して、笑っちゃって…沙也佳ごめんな…(お前は誰)、沙也佳も沙也佳なりの鬱屈を抱えてるし、何より目の前の旦那が、沙也佳に対して一切感情がない…心無いの、実はわかってるんだよね…、つらいよね…沙也佳…いや美織、俺の美織、ごめんな(ホント誰)…ってなった…。

…っていうのに、やっぱり、案の定、そんなこっちの同情お構いなしに、いっさいがっさいチャラにしてくる、“沙也佳お嬢様in庶民キャンプ”のくだり、最高だったよね!!

振り返ってみましょう。

(到着した瞬間)疲れたからちょっと休みたいわッ!リビングは奥?(奥はない)

ステーキは!?こういうバーベキューはじめてッ!!(お肉至上主義の沙也佳家なめんなよ)

あ、それが、庶民どもがたしなむっていう焼酎ですの?なかなかねッ!(脳内意訳が過ぎる)

ああ、もう最高。しかもその前のシーンで「(澪は)そこそこきれいよねッ!」でホップ、「(澪が)異動してきてすぐ付き合うなんて、(フッ)結構軽いのねッ!」でステップと丁寧に段階踏んじゃってたもんだから、“沙也佳お嬢様in庶民キャンプ”での美しすぎる大ジャンプ、飛距離でまくりだったよね。とか言いつつ僕的“今週のベスト沙也佳”は、ステップパートだったね。「異動してきてすぐ付き合うなんて、(フッ)結構軽いのねッ!」の(フッ)!!あんなナチュラルに小馬鹿にしたような(フッ)出せる女優います?沙也佳の造形、最高過ぎません?やっぱり、オフコース!美織イズ、ジーニアス!!裏切らない俺たちの沙也佳(美織でも可)!!来週もヨロシクな!!

っとまあ散々盛り上がっといて今更ですが、今週はいよいよ『何なん!?元春・第三章~マジ最低~』に突入しましたね。

これまでジワジワ気付かされてきた、“あのときの澪”。どうして気付いてあげられなかったのか…気付けなくてごめんよ…取り戻したい…だから…、もう一度…、タイムスリップしよー!!って、何なん!?元春!!マジ最低。

いくらタイムスリップが起点となるドラマで、そうしないとドラマは生まれないとはいえ、そんなのわかっちゃいるんだけど、銀行にまで行って必死こいて“平成22年”の500円玉探すわ、前回はファミリーワゴンだったのに、今回は高級SUVに飛び乗って、あのタイムスリップポイントまで一目散…な元春、一体、何なん!!??最低過ぎんだろ!!!

…なん…だけど、さ…。ラスト、あのポーカーフェイスがいつまでも揺るがなかった元春がさ、ちょっと泣いた…いや、結構本気で泣いて、後悔して、反省して…っての見ると、うん、元春…いいよ、自分もさ、そういう勝手なとこ…、あると思うしさ…、同じ立場になったら、僕もそうなると思う…ってなっちゃう、たっちょんマジックすごない!?(大倉くんが“たっちょん”とファンの間で呼ばれていることを知りまして、ついつい言いたくなりました。)

設定だけ見たらただただマジ最低で、普通の俳優さんならもっと真っ当にコミカルに仕上げて、それが逆に身勝手極まりない男へと拍車かけまくりだったと思うんだけど、大倉くんは大倉くんにしか出せないオリジナリティ“温度を感じさせない演技”をこれまでずっとしてたもんだから、ちょっと泣いた=温度を感じる演技を見せた…ってだけで許せちゃう…たっちょんマジックすごない!?

っと、言ってはみたものの…。結論、タイムスリップができない!ってことを知り、やっぱ俺、沙也佳と最高の夫婦になるわ!!!って次回予告でなってる元春、マジで何なん!?切り替え早すぎ!最低過ぎ!!!

だけど、これこそが物語としては最高なんだよね。そんな簡単にタイムスリップされちゃあねぇ、面白くないもの。始まる前はタイムスリップ、バンバンしまくるものだと思ってたし、それがないとただの夫婦の入れ替わりって話だから、ちょっと地味じゃないか…てか話もたなくない?!とまで思ってたのに、“タイムスリップしないこと”が面白さにつながるなんてね…。ああ、もう、そんなのどうだっていいや!つまりは次回も気になりすぎるッ!!

text by 大石 庸平 (テレビ視聴しつ 室長)