『監察医 朝顔』(第2シーズン)第13話完全版

朝顔(上野樹里)たちは、覚せい剤の過剰摂取で死亡し、変わり果てた姿になった22歳の女性・松野紗英(依田ゆい)を、何とか元の姿に戻せないかと苦慮していた。

するとそこに、興雲大学法医学教室を去った元教授の茶子(山口智子)が突然現れる。茶子は、若林昭信(大谷亮平)と一緒だった。

実は若林は、遺体に防腐処理を施して生前に近い状態に戻すエンバーマーだった。茶子はヘッドハンティングされ、若林が興した会社のアシスタントエンバーマ―になっていた。若林の会社は、エンバーミングだけでなく、大切な存在を失った人たちが抱える深い悲しみに寄り添う「グリーフケア」を目指しているのだという。

エンバーミングには遺族の同意が必要になるため、朝顔は茶子とともに紗英の両親に会いに行く。母親の翠(黒沢あすか)は朝顔たちの提案に感謝するが、父親の武弘(住田隆)は家出した挙句、薬物中毒で死んだ娘のことがまだ許せていないようすだったが、紗英が戻りたい姿にしたい、という朝顔や茶子の熱意に心を動かされ、エンバーミングに同意する。

高橋(中尾明慶)は、愛菜(矢作穂香)の髪の毛から、覚せい剤の陽性反応が出たことを朝顔や藤堂(板尾創路)らに伝えると、朝顔とともに野毛山署を訪れ、強行犯係の山倉(戸次重幸)に検査結果の資料を提出した。

山倉は、愛菜がかつて覚せい剤の売人をしていた暴力団の構成員・木嶋と交際していたことから、売買にも関わっていた可能性もあるとして、愛菜がパンの移動販売をしている興雲大学に向かい、彼女の身柄を確保するよう忍(ともさかりえ)に指示する。

高橋は、山倉に願いでて、身柄を拘束される前に愛菜と話す機会を得る。最初は薬物の使用を否定していたが、友人だった紗英の死を知り、ショックを受ける愛菜。彼女は、木嶋が悪い男とだとわかっていたが、別れられなかったのだという。

同じころ、茶子と若林は、朝顔たちの立ち合いの下で紗英のエンバーミングを行う。注射痕や変色した皮膚を脱色し、髪の毛を染める茶子たち。朝顔は、最後の化粧は相談しながら仕上げたいと翠たちに伝えた。しかし、2年間も会っていなかったため、どうすれば良いのかわからずに戸惑う翠たち。そこで朝顔は、山倉たちに連行されようとしていた愛菜に協力を求めた。

朝顔は、協力してくれた愛菜に礼を言い、翠たちが喜んでくれていたことを伝えた。続けて朝顔は、薬を止めたかったという愛菜に、紗英も同じだったと告げる。紗英の注射痕はいずれも古いものだったのだ。

だが、その反動で禁断症状が出てしまい、多量の薬物を摂取して脳出血を起こしていたのだ。生きているからまだ間に合う――朝顔は、そう愛菜に伝えた。高橋も、連行されていく愛菜の背中に向かって、「頑張れ!」と声をかけた。

一方、平(時任三郎)は、認知症に関する書籍を読んでいた。部屋には、至るところにスケジュールなどのメモが貼られていた。桑原は、平に電話をして、会いに行きたいと伝える。しかし平は、心配してもらう必要はないと電話を切ってしまう。

その夜、藤堂は、落ち込んでいる高橋を誘って飲みに行く。あくる朝、朝顔たちが出勤すると、結局一晩中楽しんだという藤堂と高橋がぐったりしていた。藤堂は、朝からの講義には出られないと言い出し、朝顔に代役を頼んだ。

朝顔が大教室へ向かうと、最前列に陣取っていた学生が慌てたようすで席を移ろうとする。何とその学生は、元検視官の丸屋(杉本哲太)だった。丸屋は、朝顔たちに触発され、興雲大学の臨床検査学科に入っていたのだ。

丸屋は、朝顔たちに挨拶しようと何度も法医学教室を訪れていたが、その度に解剖の依頼などが入っていて機会を失っていたらしい。藤堂は、一緒に働きたいという丸屋の申し出を受け、彼を法医学教室でアルバイトさせることにする。

そんな折、朝顔たちの元に、65歳の独居女性・高木春江の解剖依頼が入る。二型糖尿病の既往歴があるという春江は、手足の指だけでなく、内臓も壊死していた。解剖を担当した朝顔は、可能なら春江の部屋を訪れて、水質検査など周辺環境を調べたいと申し出る。

丸屋とともに春江の部屋を訪れた朝顔は、ひとり暮らしにしては多すぎる量の作り置き料理や、大量の牛肉が冷凍保存されていることに不審を抱く。その際、朝顔たちは、春江の隣室に住む宮田市郎(赤楚衛二)が、前夜、春江からハヤシライスのルーをもらっていたことを知る。

朝顔は、宮田からそのルーを預かり、検査することにする。さらに丸屋は、宮田の部屋にあった春江の料理や、冷凍保存されていた肉などをすべて運び込み、高橋たちと一緒に調べ始める。

そのころ忍は、食材を持って、ひとり暮らしをしている桑原を訪ねていた。桑原は、神奈川県警に戻る道を模索していたが思うように事が運ばず、忍に「警察、やめようかな」とメッセージを送っていたのだ。警察を辞めて別の仕事をするしかない、などという桑原に、忍は、それで朝顔は喜ぶのか、と投げかけ、遠くにいても助け合えるのが家族なのではないかと告げた。

検査の結果、春江は、劇症型溶血性レンサ球菌が原因で敗血症を起こしたことが明らかになる。朝顔と丸屋は、宮田のもとを訪れて、借りていた料理には問題がなかったことを伝えて、返そうとした。

だが宮田はそれを受け取らず、処分してほしいと言って部屋のドアを閉めてしまう。実は春江は牛肉アレルギーだった。彼女が宮田に届けていた数々の料理は、余りものなどではなく、宮田のために作ったものだった。丸屋は、ドア越しに宮田にそれを伝え…。

仕事を終えた朝顔は、平に電話して、ケンカしてしまったときのことを謝った。平もまた、怒鳴りつけたことを朝顔に詫びると、明日の朝、病院で検査を受けると約束する。

あくる日、朝顔が平に電話をすると、平はいま起きたところだという。しかも平は、前夜の電話で病院に行く約束したことすら覚えておらず…。

<『監察医 朝顔』は、FODで配信中(最新話は期間限定で無料)>