2015年のレギュラー放送開始から10年で、4月からは11年目に入る『全力!脱力タイムズ』。“報道番組風”のニュースバラエティとして、挑戦的な企画を放送し続けています。

このたび、アリタ哲平としてメインキャスターを務め、番組の総合演出も手がける有田哲平さんが取材に応じ、10年を振り返っての思いや、番組制作の裏側、今だから明かせるエピソードを語りました。

『脱力タイムズ』は“安住”せず、毎回新番組作っているような感覚

アリタ哲平

――スタート当初、番組が10年続くと思っていましたか?また、この10年を振り返っていかがですか?

いやいやいや、もうまさかですね。まさか続くとは思っていませんでした。レギュラー放送の前に一度特番をやって、その後レギュラーが始まったのですが、当時は、海外のオモシロニュースのVTRをスタジオの専門家が解説したり、斬ったりする番組だったんです。

でも、そのうちにスタッフも自分たちもちょっと飽きてきちゃって、「このVTRは絶対に見なきゃダメなのかな?」と聞いたら「いや、別に。いっそのこと使わなくても」と言われたので、「じゃあ、スタジオだけでやろう」みたいになって、全部変えたんですよ。

それが今の形の原型のようになって、そこから方向性がバシッと見えてきたのかなって感じています。

――10年続いた秘訣はどんなところにあると思いますか?

これまで何度もちょっとくじけそうになるというか、「もしかしたら次の春(には終わる)かな。秋かな」という時期がありました。テレビですからいろいろありましたけど、そこを乗り越えてくれたスタッフの頑張りや、もうちょっと踏ん張ってみようとこらえてくれたフジテレビもあると思うんですよね。

あとは、フォーマットを作って、そこに合わせてポンと作っていけるようならよかったんですけど、それをせずに、その都度ゼロから「これが面白い」「これをやったら、みんな驚くかな」というものを作ろうとするスタッフ一同。毎回、新番組を作るような感覚でやっている気がしています。

だから結構、現場でちょっとしたいざこざはあるんですよ。(企画会議に出ていない)現場のスタッフからすれば、「え、それってどういうことですか?」「またそんなことやるんですか?」みたいな企画もありますから。でも、そういう“安住していない感じ”は(続いた秘訣として)あるのかなと思いますね。

アンタッチャブルを復活させた伝説回の裏話

――ちなみに、アリタさんは番組のどんなところが好きですか?

いや…今の時代にホントに信じられないんですけど、会議室で3、4人で雑談していて、ポロッと出た話が、1週間後とか2週間後に「オッケー出ました」ってなるんですよ。

例えば、ある女優さんに「こんなことやってもらったら面白いけど、まあ無理だよね」なんて言っていたことが、次の会議で「できることになりました!」みたいになる。

他局だと普通は無理なんですよ。「面白いかもしれないけど、ちょっとそれは…」ってなるんです、みなさん大人だから。だけど、この番組は、冗談のように言ったことを調整したり、企画にしたりする力がすごい。面白いこと、くだらないことを突き詰める機動力がすごいなと思いますね。

アリタ哲平

――機動力ということですと、アンタッチャブル(山崎弘也さん、柴田英嗣さん)の復活を演出したり、渡部建さんとも思われる覆面姿の芸人が登場したりと大きな話題になる企画もありました。

自分たちが一緒に仕事をしている芸人が何かの事情で、テレビに登場できないといったときに、この番組だったら(何かできるんじゃないか)という気持ちはすごくあります。

(この番組なら)何もしゃべらなくてもいいし、それこそ覆面をかぶって立っているだけでもいいわけですし。

ちなみに、アンタッチャブルの復活(※)と言いますけど、あれは、山崎ではなく、“山崎によく似た小手伸也さん”ということになっていますからね(笑)。

※柴田英嗣さんの謹慎以来、アンタッチャブルとしての共演はなかったが、2019年11月29日の放送で、相方の山崎弘也さんに似ているということで、柴田さんは、俳優の小手伸也さんと漫才を披露。途中、小手さんがネタを飛ばしたため舞台袖に戻ると、今度は小手さんとしてなんと山崎さんが登場。そこから10年ぶりに本物のコンビで漫才を披露した。

ほかにも、寸前までいったのに、結局実現しなかったものはめちゃくちゃたくさんあります。ただ、出しちゃいけない人を出すとか、出られない人をここで復活させるとか、そういうサプライズを狙っているわけではなくて、みなさんが「やっぱりこの番組だけは、金曜日にちゃんと見ておこう」と思ってもらいたいという気持ちでやっているかもしれないですね。

番組10年を振り返っての印象的なエピソードや、伝説回と言われるアンタッチャブル復活について話してくれた有田さん。インタビュー後半では、出演希望を断ろうとしていたという木村拓哉さん回の裏話が飛び出します。