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働きやすさの次のステージ「キャリア」へ ~ワーママたちが声をあげた育児勤務制度改革ストーリー~

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 三井住友トラスト・パナソニックファイナンスは、三井住友信託銀行とパナソニックホールディングスを株主に持ち、信託銀行系ならびにメーカー系のリース・クレジット会社の双方の特長を併せ持っています。両親会社が持つネットワークを活かし、法人から個人まで幅広いお客さまに対して、リースや各種ファイナンスなどさまざまな金融商品・サービスを、お客さまのニーズに合わせて提供しています。


 近年の日本社会は、少子高齢化の進行等により、多くの企業が人手不足の課題に直面しています。なかでも、育児や介護のために離職してしまったり、キャリアを諦めてしまったりする人を1人でも減らそうと、多くの企業が育児勤務制度等の改革に取り組んでいます。


 昨今は、家事や育児の夫婦分担が当たり前という時代になってきましたが、依然として女性のワークライフバランスとキャリア選択において、出産・育児は大きな分岐点です。子どもが保育園に通いだし、産育休から職場に復帰すると待ち受けているのは、いわゆる「保育園の洗礼」。働きたいという意思に反して、仕事を休まざるを得ない日が続いて、精神的なしんどさが蓄積。何とか保育園の時期を乗り越え、小学校に入学して一安心と思ったら、保育園に通っていた時よりも帰宅時間が早くなり、学童に預けようとしても、共働き世帯が増えている影響もあり、預け先が見つからないなど、新たな壁にぶつかります。


 こうした現代の事情を踏まえて当社では、ワーキング・マザー(以下、ワーママ)やパパの働き方、キャリア選択をサポートする制度の拡充に取り組んでおり、2024年1月には、育児勤務制度を改定。最長で子どもが小学校を卒業するまで「育児短時間勤務(以下、時短勤務)」を延長できる制度や、フルタイム勤務の場合でも残業なしで働ける制度を新たに設けました。


 今回のストーリーは、当社の育児勤務制度の改定に奮闘した、2人の社員へのインタビュー等をお伝えしていきます。




―「育児勤務制度改定」に取り組んだ原動力は、周囲に気を使いながら働いているワーママの気持ちを「体験」したこと


 大阪事務所で勤務する武藤さんは、2020年4月に産育休から仕事に復帰し、内勤営業の部署で約2年間、時短勤務をしていた中で、育児と仕事の両立の難しさを痛感した一人です。そこで、2022年4月に人事部へ異動したことを機に、「仕事と育児の両立」で悩みを抱える社員をサポートできる制度づくりへ動き出しました。


武藤さん:

 当社の育児勤務制度は、以前からかなり整備されていて、部署のフォロー体制も整っていましたし、「子育てをしているからまともに仕事を任せない」という雰囲気もなかったので、恵まれた環境でした。しかし、突然保育園からの呼び出しで仕事を途中で切り上げることになったり、子どもの体調不良で仕事を休んだりすることが度々あり、その都度、部署の仲間にフォローしてもらうことばかりで、申し訳ないという気持ちが日増しに強くなっていきました。周囲の方は、「事情があるのはお互いさまだから気にしなくて大丈夫だよ」と、優しい言葉をかけてくれます。しかし、部署の仲間にフォローしてもらってばかりいる状態は、心苦しいものでした。


 実際に自分が育児休業から復帰してみて感じたことは、子育ての悩みに加えて、職場でも周囲に気を使いながら働いていくワーママの大変さです。そうした時に人事部に異動することになったので、私と同じような悩みを抱えながら働いている社員のお役に立てることはないかと考え、まずは全国の時短勤務社員と面談を行い、悩みや困り事をヒアリングすることにしたのです。


面談の結果、大きく分けて2つの課題が見えてきました。


【課題1】時短勤務=残業NGという規程があるが、残業できる日もある。もっと柔軟に勤務時間の調整ができれば、部署の繁忙期等に役に立てる


武藤さん:

 時短勤務は働く時間を短縮する働き方ですから、残業するのは矛盾していますよね。それは当然のことだと思います。しかし、「普段、子育ての事情で部署の仲間に支えられているからこそ、仲間が大変な時には支える側になりたい」という想いを持つ社員が多いことが分かり、そうした想いに応えられる制度が必要だと考えました。


【課題2】子どもが小学校3年生を卒業すると、学童保育の終了と同時に時短勤務もなくなってしまうので、働き続けることができないかもしれない、という不安がある


武藤さん:

 昨今は夫婦共働きが当たり前の時代です。子どもが小学校4年生に上がり、学童保育が終了するのと同時に親もフルタイム勤務になってしまうと、「放課後の子どもの居場所がなくなる」という不安の声が多く上がりました。いわゆる「小4の壁」です。加えて、フルタイム勤務に移行すると、当時の規程上、所定外労働(残業)が発生する可能性がありました。子どもは、小学校4年生になったからといって、急に成長して一人で留守番ができるようになる訳ではないので、こうした不安から、働きたい意思はあるのに退職せざるを得ない社員がいると分かりました。





―活動のきっかけは、自分と同じ境遇にあるワーママのキャリアについて、何かしたいという想い


 2023年4月、東京本社の人事部では、産育休から大橋さんが復帰しました。育児休業期間、育児の合間をぬってキャリアアップにつながる資格取得の勉強に励んでいた大橋さんは、復帰後、キャリアアップを諦めてしまうワーママの気持ちを痛感。そこで、働くママのキャリアのために何かしたいと決意しました。


大橋さん:

 私にとって、仕事は人生を充実させ、自己成長を実感させてくれる、大切なものの1つです。ですから、産育休の期間中、同期の昇格や、会社が大きく変化しているといった話題を耳にするたび、早く復帰しなければ…と焦りを感じていました。


 そうして、待ちに待った復帰。いざ働きだすと、育児とキャリアアップの両立がどれほど大変なことなのか、と思い知りました。例えば、大事な仕事がある日に子どもが発熱して出社できなかったり、出社しても保育園からの急な呼び出しによって、急遽仕事を抜けたりすることはざらにありました。また、仕事と育児が絶え間なく続いて疲労が抜けない状態にもかかわらず、時短勤務ということから常に時間に追われる感覚を持ちながら働いていました。職場の上司、同僚にサポートをしてもらいながら何とか一日一日を乗り切っていましたが、正直、これ以上のパフォーマンス向上、キャリアアップは目指せないかも…と、考えてしまう時期もありました。


 しかし、そうした時期を乗り超えて、次第に心の余裕が生まれ、私と同じような境遇にあるワーママのキャリアについて、何かできることはないかと考えるようになりました。とくに、「キャリアアップを考えながらも、育児を理由にそれを諦めてしまう社員をなくしたい」という想いから、まずは、ワーママが日頃から感じている悩みを共有し、キャリアアップへのモチベーションにつながる情報が得られる場として、「働くママのキャリアを考える会」と題した交流会を企画しました。


―武藤さんが進めていた「育児勤務制度改革」の取り組みに、大橋さんの想いが融合


武藤さん:

 制度の改定には、時短勤務者以外の社員の理解が必要になりますので、全社員へのアンケートを実施しました。一部、「小学校を卒業するまで時短勤務を延長する必要性」に対する意見もありましたが、約9割の社員から、制度改定に「賛成」という意見を得られましたので、その後押しを支えに、会社に対する提言に臨んでいきました。


 会社とのディスカッションにおいては、「最長で子どもが小学校を卒業するまで時短勤務を延長できる制度」については、比較的スムーズに議論が進みました。一方、時短勤務者も柔軟に残業ができる制度については、賛否が大きく分かれました。私としては、「時短勤務を選択しているけど、もう少し働ける日もある!」という声に柔軟に応えられる意味で、時短勤務者も残業ができる制度が必要と考えていましたが、やはり、時短勤務は働く時間を短縮する働き方なので、残業は矛盾している、という懸念がどうしても残りました。


大橋さん:

 「働くママのキャリアを考える会」の意見の中でも、「もっと働きたい」という声がありました。ただ、時短勤務を解除してフルタイム勤務に復帰した場合に、「お迎えのタイムリミットがあるので絶対に残業はできない。」という声もあり、その議論を進める中で「残業なしのフルタイム勤務」という働き方のアイデアが出てきました。





武藤さん:

 私自身も、時短勤務を解除してフルタイム勤務に挑戦したいと思っていましたので、「残業なしのフルタイム勤務」という働き方は魅力を感じました。さらに、当社は元々、「フレックス勤務制度」を導入していますので、「残業なしのフルタイム勤務」と「フレックス勤務」を組み合わせて働けるようにすることで、より柔軟に働き方を調整できると思いました。

 ただし、「時短勤務を解除してフルタイム勤務に復帰したけれども、やはり家庭の都合で、今はフルタイムを続けていけない」というように、考え方が変わる社員もいるかもしれません。ワーママが、子どもが小さいうちからフルタイム勤務で働くためには、夫婦での家事育児等の分担が不可欠です。例えば、朝、子どもを保育園に送るのはママが担当、パパは保育園のお迎えを担当。ママは夜の食事を担当して、他の家事はパパが担当する、といった具合に協力体制を敷いていかないと生活が続かないからです。


 そこでもう一つ上がったアイデアが、「時短勤務とフルタイム勤務が切り替え可能な制度」です。以前の制度は、一度時短勤務からフルタイムに戻すと、再び時短勤務に変更することができず、フルタイム復帰へのブレーキとなっていました。今回の制度改定で、フルタイムにトライした後、ダメなら時短勤務に戻れるようになりましたので、「もっと働きたい!」と考えるワーママの挑戦の後押しになったと思っています。


―そして、2024年1月、次の3点を要点とした新しい育児勤務制度が実現


1.最長で子どもが小学校を卒業するまで時短勤務を延長できる

2.残業なしのフルタイム勤務、という働き方ができる

3.時短勤務とフルタイム勤務の切り替えができる


 当社では、育児勤務制度を改定してから約9カ月が経過しましたが、この間、時短勤務を延長した社員が3名、時短勤務から残業なしのフルタイム勤務に変更した社員が6名。さらに、思いきって時短勤務から通常のフルタイム勤務へ変更した社員も4名いるなど、当社のワーママの働き方には、着実に変化が見え始めています。


―年中から小学生までの4人の子どもの育児をしながらも、時短勤務からフルタイム勤務に変更した融資部の黒山さんは、次のように話しています。


黒山さん:

 子供が成長するにつれ、家事の時間配分や経済面など、様々な変化が起こります。

自分はこの先、どういう働き方をするのがベストなのか悩んでいたところ、1月から制度改定される旨が発表になりました。私の家庭では、朝はどうしても9時半よりも早い時間での出社が難しい状況でしたが、当社にはフレックス勤務制度があること、また、以前は時短勤務からフルタイム勤務への変更は1度きりでしたが、今回の改定で、事情によっては時短勤務に戻れるようになりましたので、思い切ってフルタイム勤務に復帰してみました。


 現在は、会社に出社する時は短い時間の勤務とさせていただき、在宅勤務の時には長めに勤務をする、という働き方を選択しています。トータルの勤務時間は時短勤務の時よりも長くなりましたが、在宅勤務時は片道1時間程の通勤時間が掛からないので、時間を有意義に使えています。会社に出社した時は、なるべく部署のメンバーとの対面でのコミュニケーションが必要な業務を集約して、在宅勤務時は、一人で集中する必要がある業務を行うなど工夫することで、以前よりも効率よく働けている感覚があります。



 このほか当社では、ワーママやパパの働き方、キャリア選択をサポートするための施策の一環として、2024年8月には、「ベビーシッター補助券」も導入しました。この施策の導入も、「働くママのキャリアを考える会」等で上がった意見を踏まえたものです。小学生の子どもを育てる社員へのアンケートでも、導入を希望する声が多くありました。


 今回のストーリーでは、ワーママの「もっと働きたい!」という想いに対応する制度改革をお伝えしました。当社は今後も、育児に奮闘しながら働く社員への支援拡充をさらに充実させていき、仕事と育児の両立支援・キャリア選択の支援において、ファイナンス業界のリーディングカンパニーを目指していきます。




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