日本時間2024年7月27日、夏季五輪史上初となるスタジアム外での開会式で開幕したパリオリンピック。
今回は、開会4日目までに日本が魅せた“3つの大逆転劇”に迫ります。
大逆転① なでしこジャパン 19歳の救世主が魅せたスーパーゴール
大会3日目の日本時間7月29日未明、初戦で優勝候補の世界ランキング1位のスペインに1-2で惜敗したサッカー女子日本代表のなでしこジャパンは、負ければ予選リーグ突破が絶望的となる中、サッカー王国ブラジルと対戦。
日本は前半アディショナルタイムにペナルティキックを獲得するも、相手キーパーの好セーブに阻まれ、絶好の得点機を逃します。
0-0のスコアレスで迎えた後半11分。
カウンターから右サイドを崩され、先制ゴールを奪われてしまいます。
その後、日本は流れを変えるべく、後半12分、25分、35分と積極的に交代のカードを切ります。
そして、後半44分。途中交代で入った19歳の谷川萌々子(たにかわ・ももこ)選手のペナルティーエリア内でのドリブルに対し、スライディングした相手ディフェンダーの手がボールに触れたとして、日本にこの試合2回目のペナルティキックが与えられます。
キッカーはキャプテンの熊谷紗希(くまがい・さき)選手。
3度目のオリンピックとなるベテランがここを落ち着いて決め、同点とします。
さらに後半アディショナルタイム6分。敵陣中央付近で相手のパスミスを見逃さなかった谷川選手が、やや前に出ていた相手ゴールキーパーの頭上を抜くループ気味のロングシュートでゴールネットを揺らしました。
試合はそのまま2-1で終了。19歳の救世主・谷川選手の活躍で後半アディショナルタイムに2点を奪い、なでしこジャパンが大逆転勝利をおさめました。
大逆転② スケートボード堀米雄斗が連覇達成
大会4日目には2つの逆転劇が生まれました。
まずは、日本時間30日午前0時過ぎに行われたスケートボード男子ストリート。45秒間でコース全体を使って自由に競技を繰り出す「ラン」と、障害物1つを選択し技を決める「ベストトリック」の合計点で競う競技です。
連覇を目指す堀米雄斗(ほりごめ・ゆうと)選手(25)は「ラン」を終えた時点で、89.90の高得点をマークし暫定4位に。
そして、勝負の「ベストトリック」の1本目でいきなり堀米選手が魅せます。
大技を決め94.16という高得点をマーク。これには解説を務めた瀬尻稜さんも思わず「うわあ、出たー!やっぱすげぇな。」とコメント。
しかし、世界のライバルたちも次々に高難度の技を成功させていき、上位との差を詰めることができず、2回目の演技開始時点で堀米選手は3位となります。
その後、堀米選手は3回連続で失敗してしまい、この時点で暫定7位とメダル圏外となってしまいます。
そして迎えた5本目。まさに土壇場。金メダルには96.98以上の高得点が求められる中、難易度MAXの大技「ノーリーバックサイド270ブラントスライド」を決め、97.08をたたきだした堀米選手。喜びを爆発させボードを蹴り上げます。
2位のジャガー・イートン選手(アメリカ)を0.1ポイント上回り、見事大逆転で金メダルを獲得。オリンピック連覇を決めました。
大逆転③ 体操男子団体総合 2大会ぶりの金メダル
日本時間30日の午前0時半に行われた、体操男子団体総合の決勝戦。メンバーは2大会連続出場の橋本大輝(はしもと・だいき)選手、萱和磨(かや・かずま)選手、谷川航(たにがわ・わたる)選手と初出場となった岡慎之助(おか・しんのすけ)選手と杉野正尭(すぎの・たかあき)選手の5人です。
団体競技は、「ゆか」「あん馬」「吊り輪」「平行棒」「跳馬」「鉄棒」の6種目で構成され、各種目とも3人が演技し、その総得点で争われます。
最初の種目は「ゆか」。エースの橋本選手がG難度の大技「リ・ジョンソン」を決めるなど、3人全員が安定した演技で好スタートを切り、ライバル中国に0.734点差をつけます。
2種目目の「あん馬」では、主将の萱選手と杉野選手が高得点をたたき出す中、橋本選手がまさかの落下。大幅な減点となり、逆に中国に0.5点のリードを奪われる展開に。
続く3種目目は日本が苦手とする「吊り輪」。中国が高得点を連発し、差は3.1点まで広げられてしまいます。
その後、4種目目の「跳馬」では、谷川選手が世界最高難度の大技「リ・セグァン2」に挑戦するも認定されず、得点を思うように伸ばせません。
しかし、5種目目の「平行棒」では常にチームを鼓舞し続けてきた主将の萱選手が“美しく失敗しない”安定感抜群の演技を披露。高難度の技や着地も見事に成功させ、雄叫びを上げます。
続く岡選手と谷川選手も高得点をマークし、5種目目終了時点で中国と3.26点差の2位につけ、最終種目の「鉄棒」へ。
金メダルは絶望的かと思われていましたが、中国の選手がまさかの2度落下で大幅減点。
一方、日本は杉野選手、岡選手がほぼノーミスで演技を終え、優勝への望みをつなぎます。
そして最後に登場したのは鉄棒のスペシャリストでエースの橋本選手。
予選では着地を失敗しており、大きなプレッシャーがかかる中、「リューキン」「カッシーナ」「コールマン」などの難度の高い手放し技を次々に決め、着地もしっかりと止めて13.566の高得点をマークします。
その結果、日本は6種目合計259.594点で、中国に0.532点差をつけ大逆転優勝!2大会ぶりの金メダルを獲得しました。
“あきらめない気持ち”が生んだ奇跡の逆転劇。
まだまだ始まったばかりのパリオリンピック。
今後の日本代表の活躍からも目が離せません。
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