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使い勝手の良さと気分の良さ。素材と機能とデザインを考えぬいた本当に使いやすいミニ財布「Mollet」誕生秘話

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A.Y.Judie企画担当・デザイナーの土屋順子です。


私は2006年にA.Y.Judieを立ち上げ、2年ほど小売業を営み50歳の時にものづくりを始めました。スマホポーチやカードケース、超軽量のミニショルダーバッグなど、現代人が持ち歩くツールを身につけ、気軽に外出をするためのアイテムをデザインしています。

今回は私が初めて手がけたミニ財布「Mollet」の開発ストーリーをお話ししたいと思います。

https://www.makuake.com/project/a_y_judie3/


「使い勝手がよいこと」と「持っていて気分が良いこと」の2点を満たす財布が見つからない。それならば自分で作ろうと決意。

私は2012年にスマホと硬貨、カードや鍵だけ入れられるスマホポーチを企画し、販売してきました。その間にスマホポーチは他社からも発売され、最近は機能も充実したものが出回っています。


一方で長財布ユーザーにも身軽な暮らしを提案したいと、2022年に長財布とスマホが入るミニショルダーバッグを作りました。


ミニショルダーバッグは長財布とスマホ以外にもう少し小物が入ります。ハンカチやティッシュ、鍵、ペンなど、こまごましたものを入れてもファスナーさえしてしまえば落とすこともありません。浅型なのでどこに何があるかがぱっとわかります。軽量で、体に沿う横型なので体への負担がありません。


身軽な外出がトレンドになっている昨今、衣類のポケットやスマホポーチまたはミニショルダーに入るミニ財布があったらもっと身軽かもしれないと、遅ればせながらミニ財布を探し何個か購入し使ってみました。


二つ折り・三つ折りタイプや、ファスナー式・ホック式、小ささや薄さが際立ったものなど、各社便利さに磨きをかけて次から次へと良い製品が開発されています。しかしなぜか、何個買っても私の満足感を満たすものが見つからないのです。どうしてなのか。


それはミニ財布に限らず、私が持ち物に大切だと感じることが2点あるということに気付いたからで、その2点両方を満たすものがなかったのです。


その2点とは、

1. 使い勝手が良いこと

2. 持っていて気分が良いこと


1については硬貨・紙幣・カードの収納量や使う時の手の取り回しなどです。

そしてそれ以上に重要なのが、2つ目の持っていて気分が良いことです。


それは財布が放つ雰囲気や手にした時の収まりの良さ、毎日使っていてどんな気分かなどだと思います。簡単に言えば好みという言葉になると思うのですが、意外と好みのものが見つからないことに気づきました。

そこで自分で作ってみようと思いました。

素材の美しさを最大限に表現し「気分が良い」財布をつくるために繰り返した、素材と機能とデザインの観点での試行錯誤

今までは素材として素人でも扱いやすいナイロンや人工皮革しか使用したことがなく、品物としてもパスケースやカードケースが中心でした。一度だけ外部委託で本革を使用したIDカードホルダーを作った経験がありましたが、財布を作ったことはありませんでした。


何となく財布は本革製が当たり前だと思っていたので、財布を作る気もなかったというのが本音です。しかし手元にある材料でできるだけのことをしてみようと思い、人工皮革を使って試作をスタートしました。2022年秋のことです。


どうしたら持っていて気分の良いものが作れるのか?「気分が良い」は人それぞれ違い個人的なものなので、何が正解かもわからない。それなら自分が持ちたいものを作ろうなどと、そもそもの部分にも立ち返りながら試行錯誤を繰り返しました。


私は物を作るにあたり、素材の美しさを最大限表現したいと思っています。パーツの量は少なく、ミシンなどの工程も減らしてシンプルにすることがその素材の美しさに繋がると思っています。


例えば中に入れた硬貨を見やすくするのに、硬貨入れを広げると四角い壁が立ち上がるが、必要だろうか?とか、カードを一枚一枚分けて入れるポケットは必要だろうか?などです。


構造の中で材料を追加しなくても、その役目を果たせるならば材料も少なくなるし工程も減らせるのでは?と思うのです。

そういったことを機能と同時に考える日が続きました。

素材と機能とデザインを満たすポイント探しのような感じです。


”財布に入れるもの”の要素を整理することで見つけた、”カード”と”硬貨”を分ける配置

そこでまずは要素を整理することにしました。


【財布に入れるもの】

    カード:プラスチックで硬質。薄い。紙幣・硬貨との併用は少ない。重ねて収納するものと一枚ずつ分けて収納する財布と両方ある。
    紙幣:紙製。薄い。細長い。硬貨と一緒に使用することが多い。何枚も重ねて持ち歩く。
    硬貨:一つ一つが小さくて細かい。ぱらぱらと財布の中にいるのを拾いあげて使う。


【そこでわかった欲しい機能】

    カードを使う場合は、紙幣と硬貨を使わない場合が多いので、カードだけを簡単に出し入れできると便利。
    カードには頻繁に使うものと、携帯する必要があるがめったに取り出さないものがある。
    カードを何枚持つかは、その人の好みによる。
    紙幣は畳まないで、さっと出し入れしたい。財布にある紙幣から選び取って使用するので、どの種類が何枚入っているかすぐわかることが必要。
    硬貨は見やすく取り出しやすいことが必要。どんどん増える傾向があるので、細かく使う必要がある。


【カードと硬貨を分ける】

カードの前後に硬貨を入れるとなると、カードが硬いのでマチなどで開口部分を別途追加しないと入れにくい。私はマチのない財布を作りたかったので硬貨の場所はカードと離す。紙幣は薄いので、カードと収納しても硬貨と収納しても問題がない。


二つ折り財布を広げたときに、紙幣の大きさより少し大きくなるようにする。

半分にカード入れ場を、もう片側に硬貨入れ場を、と配置が決まりました。



大容量の収納とぷっくりしたデザインを両立させたのは、モモンガのようなシルエット

見やすく出し入れしやすい硬貨入れを作る。これが一番苦労した点です。なぜかというと、私は硬貨入れのマチが好きでなかったからです。機能としてはとても便利ですが、普段は隠れている存在です。としたらその機能さえ満たされれば、マチは必要ないのです。


そこでまずは皮革を丸め込み縫製を使わないポケットを作りました。曲げた丸みで十分な硬貨入れの場所が確保されます。


そのポケットから硬貨を見やすく出しやすくするために、開口部が立体になる構造を作りました。両側から押すと、皮革を三枚重ねた部分が台形に立ち上がるような設計です。


本体生地を広げると、まるで「モモンガ」が飛ぶときのような形です。


Molletの名称はこのモモンガから由来しています。Momonga(モモンガ)+Wallet(ウォレット=財布)の造語で「Mollet(モレット)」。フランス語で「柔らかい」という意味もあるこの名称は、商品の特徴を的確に表現しています。


この緻密に設計された「モモンガフォルム」が組み立てられて、ゆとりのスペースが生まれます。そして、この構造のおかげでマチがなくても大容量の収納が可能となりました。



指を入れて硬貨を直接取り出すことも容易ですが、下へ傾けると硬貨がスライドして現れて取り出しが容易になります。硬貨はフタの返しのポケットでこぼれ落ちる心配がありません。


マチがなくても硬貨をたっぷり入れられ、見やすさも出しやすさも確保することができました。


そして何よりもポケットを作るときに皮革を三方から丸めている、そのぷっくり感がデザインの大切な要素になってくれました。



硬貨入れと紙幣入れの仕切りを共有することで、紙幣の出し入れがスムーズに

紙幣の収納には、二つ折りの財布を広げた時のほぼすべての面積が必要になります。そこで硬貨入れの下に紙幣を入れることにしました。そこで硬貨入れと紙幣入れの仕切りを硬貨ポケットと兼用することにします。仕切りの取り付けは縫製でなく、紙幣の差込口の両側に金属の丸いカシメを用いてその二か所で固定することにしました。コインが入っている部分の仕切りはあえて固定していません。それによりコインポケットを両側から押すときに、中の仕切りは若干動きます。それが形状をきれいに見せてくれます。



また紙幣の長辺の約半分が硬貨ポケット背面の紙幣ポケットに入っているので、片手で紙幣の種類や枚数が確認できます。紙幣より8mmポケットの幅が広いので、出し入れも簡単です。


紙幣ポケットの反対側に紙幣をひっかけて固定するミニポケットがついています。紙幣の下に指を入れて引き抜けば簡単に出したり差し込めます。それにより紙幣の種類や枚数を簡単に確認でき、出し入れもスムーズです。


カードはすぐに出せるものと出し入れしないものを分ける

支払いで毎日使うカードは、直接出せる外ポケットに入れます。そして免許証など提示を求められる機会が少なく、頻繁に使わないものは紙幣の後ろにカード入れを作りました。


それぞれ2~3枚、合計で4枚~6枚の収納が可能です。


皮革のプロのノウハウが加わることで、イメージ以上に使いやすく気分が良いミニ財布が完成。

そうして出来上がったプロトタイプを、以前からお付き合いのある皮革小物を美しく作ってくれる野村製作所に持ち込み、プロの視点からの評価を仰ぎました。


形状に興味を持っていただいたようで、「いわゆる一般的な財布はこのような作り方はしない。でもそこがいいんじゃないか」とのこと。


一緒に試作を何度も繰り返し、皮革の種類や革独自の技術など、私の知らないノウハウを入れ込んでいただきました。


今まではすべて自分で形にすることで製品を作ってきましたが、皮革のプロのノウハウが入り、私がイメージしていた以上に使い勝手が良く、持っていて気分が良いミニ財布ができたと思っています。

長年の経験と情熱の詰まった「Mollet」。多くの方に愛されることを願う

ミニ財布「Mollet」は私の長年の経験と情熱が詰まった製品です。これからも多くの方に支持され、日常のお供として愛されることを願っています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


■A.Y.Judieについて

長野県小諸市に本社を置く、A.Y.Judie(エイワイジュディ)は身の回りの小物を提案するブランドです。使い勝手とスタイリッシュで上品なデザインにこだわり、オリジナルで企画・製造しています。

ホームページ・自社ECサイト https://ayjudie.com/


■Makuake応援購入プロジェクトは7月29日(月)まで実施中です

「直感的に使えて、心地よい。見た目も使いやすさも妥協しない、本革二つ折りミニ財布」

URL:https://www.makuake.com/project/a_y_judie3/




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